終天教団
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DMM GAMESとトゥーキョーゲームスとの協業による新規IPのアドベンチャーゲーム[3]。人類の終焉を待ち望む新興宗教・終天教の教祖が自らを殺した犯人を捜すというストーリー[3]。「マルチジャンルADV」と銘打たれた本作では、容疑者である5人の教団幹部から疑う相手を選ぶことで物語の内容だけでなく、ゲームシステムも分岐する仕組みが取られている[3]。
なお、発売に際して公開された動画配信ガイドラインでは2025年9月30日まで5つのルート以外のプレイ映像やシナリオ解説の公開および配信が禁じられている[4]。
あらすじとゲームシステム
プロローグが終わった後、プレイヤーは任意の順番でルートを選ぶことができる[5]。ルートによって明かされる謎は異なるため、ルートの進め方によって開示される謎の順番も変化する[5]。また、いずれのルートも、プレイを通じて犯人に近づく内容となっている[5]。
作中では、零が祈れば「神の力」による奇跡が起こるというシステムがあり、たとえば「黙示」は祈りによってゲームシステムが変化するという特徴である[6]。ただし、その効果を自由に選べないことに加え、みだりに使うことはできず、いつ何が可能で何が不可能なのかは、プレイヤーには示されていない[6]。
プロローグ
人類が滅亡の危機に瀕する中、それを肯定する新興宗教“終天教”が登場した。この教団は勢力を伸ばし、ついには“終天教国”という小さな国が生まれた[3]。
教国の建国記念日である1月1日、終天教の教祖が何者かによって殺され、バラバラにされた遺体は聖遺物として5人の教団幹部が持ち帰った[5]。その後教祖は「神の力」という奇跡によって不完全な形で蘇生し、記憶を失っていた上、その命は4日しかもたなかった[5]。教祖の元へ、神の使者である天使を名乗る2人組が現れ、真の復活には、「神の試練」、すなわち自分を殺した相手を殺すことが必要だと告げる[3]。教祖は「下辺零」という偽名の元、犯人探しに乗り出す[3]。
法務省ルート
- あらすじ
- 零は法務省の幹部・犬神 軋が犯人だと疑い、遺体発見現場である中央公園を調べていた。そこへ犬神本人が現れるが、意外にも気さくな反応を示す。彼が作成を担当した遺言書の公開に立会人として同席するよう頼まれた零は、手掛かりが得られると思い、引き受ける[6]。
- 亡くなったのは教団の大物であり、九々里 陽一をはじめとする子どもたちやその配偶者だけでなく、使用人の水野 従にまで遺産が分配されていたため、彼らの間で争いが生じる[6]。そのさなか、相続人のひとりである星三が何者かに殺される[6]。
- システム
- ジャンルは「推理アドベンチャー」。捜査や聞き込みを通じて得た情報を深掘りし、集めた証拠を基に犯人を突き止める内容となっている[3]。
- 本ルート独自のシステムとして、気になった事象やキーワードに対して指を鳴らして深掘りする「スナッピング」が存在する[6]。成功すると解決に必要な情報を得られる一方、対象を誤ると「信頼度」が減り、ゼロになるとゲームオーバーとなる[6]。
保健省ルート
- あらすじ
- 零は保健省の幹部・丑寅 幽玄が犯人だと疑う。彼女は幽玄が経営する終天総合病院に赴き、患者を装って接触する。しかし、そこで異教徒の襲撃に遭い、気がついた時には2人ともデスゲームヘの参加を強制させられる[5]。
- システム
- ジャンルは「極限脱出アドベンチャー」。デスゲームが展開されており、他の参加者と協力したり衝突しながら謎の閉鎖空間からの脱出をめざす[3]。
- また、デスゲームの内容はネットで配信されているという設定であり、「神の力」で観客の視点から視聴することも可能である[6]。
科学省ルート
- あらすじ
- 零は科学省の幹部・伊音 テコを犯人として疑う。ネットのメッセージで探りをいれると、彼が所長を務める研究所での面会を約束される。しかし、研究所に到着早々零は捕えられてしまう。神の力で脱出に成功するが、程なく異教徒の集団により研究所全体が占拠されてしまう。異教徒を撃退するため、零はテコと一時的に協力関係を結ぶ。
- システム
- ジャンルは「マルチ視点ザッピングノベル」。視点となるキャラクターが複数存在するノベルゲームであり、時系列で分岐するフローチャートを駆使しながら物語を進める仕組みとなっている[3]。
- 以上のことから、このルートのみ、主人公以外のキャラクターを操作する場面がある[5]。
文部省ルート
- あらすじ
- 零は文部省の幹部・黒四館 仄を犯人として疑う。早速文部省に向かうと、意外にもあっさりと面会を許可される。しかし、そこで仄は零に一目ぼれし、毒を盛ったうえで「学園ラブ」を強制する[5]。その後、仄の部屋に残された手がかりから「終天学園」を訪れた零は、「黒四館」を名乗る見た目も性格も異なる3姉妹と出会う[3]。本物の仄を突きとめ、恋に落ちれば解毒剤を渡すと言うゲームのため、零は恋に奔走する羽目になった[3]。
- システム
- ジャンルは「恋愛アドベンチャー(?)」[3]。システムは一般的な恋愛アドベンチャーに準拠する[5]。告白シーンの選択肢には時間制限があり、即断即決が求められる場合もあれば、あえて時間切れに持ち込むのが正解の場合もある[6]。ただし、選択肢を誤るとキャラクターの怒りゲージが上昇し、最大値に達すると、告白失敗となる[6]。また、本作には「爆弾」の概念があり、一定ターン以上零に会えない状態が続くと、キャラクターの抱えている「爆弾」が爆発してバッドエンドとなってしまう[6]。加えて、物語が進むと、3姉妹全員が独占欲と嫉妬に狂うヤンデレと化する[6]。
警備省ルート
- あらすじ
- 零は警備省幹部・伏蝶 まんじを犯人として疑うが、暴力的かつ直情的な彼女に対して自白を引き出せるのか不安を覚える。しかし、警備省が伝説の殺人鬼・ネフィリムによる襲撃を受け、警備省そのものが機能しなくなってしまう。使えるものはなんでも使うという判断のもと、零はまんじと行動をともにすることとなった。
- システム
- ジャンルは「ステルスアクションホラー」。殺人鬼ネフィリムに見つからないよう3Dマップを探索する内容となっている[3]。
登場キャラクター
メインキャラクター
- 下辺零 (しもべ れい)
- 声:斎賀みつき[7]
- 本作の主人公[5]。何者かに殺された後、不完全な形で復活を果たした[5]。また、教祖をしていたころは個性的な幹部たちをまとめていたが、彼女の死により各人の関係が悪化している[5]。
- ヒメル
- 声:悠木碧[8]
- 天使を自称する小柄な少女。せっかちな性格で遠慮しがちな零の行動を急かす。名前も思い出せない零に対して、「しもべ」と「奴隷」をもじった「下辺零」の名前を与えた。
- ミコトル
- 声:森川智之[8]
- 天使を自称する伏し目がちな男性。スーツ姿に天使の羽がついたリュックを背負っている。落ち着いた性格でヒメルを諌めたり、零のサポートを行う。
教団幹部
- 犬神軋(いぬがみ きしる)
- 声:小野大輔 [9]
- 法務省の最高幹部[9]。トラブル解決を得意としており、「白亜の調停者」の異名を持つ[9]。つかみどころのない性格をしており、言動も奇抜である[5]。また、薬物中毒者でもある[注釈 1][5]。
- 丑寅幽玄(うしとら ゆうげん)
- 声:小野友樹[10]
- 保健省の最高幹部であると同時に、終天総合病院の院長を務めており、医者としての技能から「今際の門番」の異名を持つ[10]。また、生前の教祖の健康管理も担っていた[11]。
- 一見まともそうに見えるが、神経質で押しつけがましい一面もある[5]。
- 伊音テコ(いおん テコ)
- 声:村瀬歩[12]
- 科学省の最高幹部として教団内の技術を管轄する傍ら、発明家でもある[5]。明晰な頭脳を持つ反面協調性に欠けており、良かれと思ったことを推し進めた結果問題に発展することもある[5]。また、幼い見た目に反して老練なところがある[5]。
- 黒四館仄(こくしかん ほのか)
- 声:水瀬いのり[13]
- 文部省の最高幹部[5]。文部省は国の教育と情報を管轄する部署だが、本人はコミュニケーションをあまりとらない[5]。また、表面的には思慮深くふるまうも、実際は腹黒い性格をしており、教祖の座を狙っている[5]。
- 伏蝶まんじ(ふしちょう まんじ)
- 声:伊藤静[14]
- 警備省の最高幹部[5]。この部署のスタッフたちの例にもれず、暴力的な性格をしており、異教徒との戦いで一般人を巻き込んでも気にしない[5]。一方、部下思いでもあることに加え、教祖に対しては絶対的な尊敬と信頼を置いている[6]。
法務省ルート
- 九々里陽一(くくり よういち)
- 声 - ハリィマン
- 九々里家の長男で、九々里化学薬品工業の役員[11]。尊大な性格で、遺産は自分に多く分配されると思っている。
- 九々里美木(くくり みき)
- 声 - 鈴木麗子
- 陽一の妻。遺産は長男である陽一が継ぐのが当たり前と思っている。
- 九々里月二郎(くくり つきじろう)
- 声 - 前島清志
- 九々里家の次男。自宅での投資で金を稼いでいるというのが本人の弁。嫌味な性格。
- 九々里星三(くくり せいぞう)
- 声 - 安芸此葉
- 九々里家の三男。遺言書の発表の前にボートの上で死体となって発見される。
- 九々里清政(くくり きよまさ)
- 声 - 古殿弘平
- 九々里家の当主で、九々里化学薬品工業の元会長。故人。
- 水野従(みずの より)
- 声 - 赤堀美華琉
- 九々里家に仕えるメイドで、清政が亡くなるまで甲斐甲斐しく世話をしていた[11]。優しいが気弱な性格で、九々里家の人々からは厳しい仕打ちを受けている[11]。
- 土門鎌土(どもん かまど)
- 声 - 駆動良
- 九々里家に仕える使用人。大柄だが気が弱い。
- 鈴丸男(すず まるお)
- 声 - 長野伸二
- 九々里化学薬品工業の役員。遺産は会社のために活用されるべきだと主張しており、兄弟に継がれることを快く思っていない。
- 白鳥雅火(しらとり みやび)
- 声 - 平野隼人
- 九々里家のかかりつけ医。清政とはビジネスパートナーだったとしており、深い思い入れは無い様子を見せる。
保健省ルート
- 福音のあ(ふくね のあ)
- 声 - 合田明日佳
- デスゲームの主催を名乗る配信者。ゲームの様子を生中継で配信しており、実況している。挨拶は「こんにちのあ〜!」。
- 橘花あぐ(たちばな あぐ)
- 声 - 吉村美紅帆
- デスゲーム参加者の一人。天才を自称する少女。配信用のカメラを壊そうとしたため、のあによって粛清と称して死亡する。
- 冬乃セリナ(ふゆの せりな)
- 声 - 藤崎桃子
- デスゲーム参加者の一人。終天総合病院の看護師長で、冬乃家の長女。真面目な性格で、妹たちが生き残れるなら自分が死んでもいいとさえ思っている。
- 冬乃ハコベラ(ふゆの はこべら)
- 声 - 松舞奈
- デスゲーム参加者の一人。終天総合病院の看護師で、冬乃家の四女。明るい性格。
- 冬乃スズシロ(ふゆの すずしろ)
- 声 - 中川真由美
- デスゲーム参加者の一人。終天総合病院の看護師見習いで、冬乃家の末っ子。猫耳のついたパーカーを着ている。
- 賢木食丸(さかき たべまる)
- 声 - 眞對友樹也
- デスゲーム参加者の一人[11]。保健省の経理を担当している。自宅で花を育てており、生存にこだわる理由とも関連している[11]。
- 第一ゲームで、冬乃ナズナ(声 - 開道結子)と冬乃コオニ(声 - かとうまりな)を殺害した。
- 奈良夜の助(なら よるのすけ)
- 声 - 野々井爽
- デスゲーム参加者の一人。終天総合病院の看護師。小柄な男性で、感情の起伏が激しい。
- 斧寺おこめ(おのでら おこめ)
- 声 - 伊藤麻菜美
- デスゲーム参加者の一人で、女子高生。語尾に「ちろ」を付ける。
- 牡羊光一(おひつじ こういち)
- 声 - 谷川誠
- デスゲーム参加者の一人で、無職の男性。素直な性格。
- 白猫山あゆみゅ(しろねこやま あゆみゅ)
- 声 - 大垣理香
- デスゲーム参加者の一人で、女子高生。斧寺とは小学校時代の同級生。情緒が不安定であり、恋愛に依存している[11]。恋人を第一ゲームで亡くしている。
- 朱瓜鏡子(しゅうり かがみこ)
- 声 - 中山まなか
- デスゲーム参加者の一人で、女子高生。ギャルのような見た目だが、オタク気質。
- 炭裏裏(すみ うらら)
- 声 - 勝野里奈
- デスゲーム参加者の一人で、保健省職員。第一ゲームで丑寅の命を狙っていた。
科学省ルート
- アラレ
- 声 - 山口勝平
- テコが開発したサポートロボット[11]。臆病で見栄っ張り[11]。
- 開発したテコ自身もなぜこのような性能になったのか疑問を抱くほどのポンコツだが、パートナーとして信頼を置いている[6]。また、アラレ自身もテコを大事に思う一方、彼の間違いに対しては諫言する場面もある[11]。
- 大月空(おおつき くう)
- 声 - 阿部茂雄
- 研究所の第2エリア担当職員。義理堅い性格で、かつては浮浪者や浮浪児たちをまとめていた[11]。
- ひき逃げの罪で刑務所に収監されており、その役務として派遣されていた。自分を気遣う零に憧れを抱き、忠誠を誓うようになる。
- 江崎瀬恋(えざき せれん)
- 声 - 咲谷怜奈
- テコと肩を並べるほどの才能を持った科学者。かつては研究所の副所長を務めていたが、ある罪を犯したことで収監されてしまう。しかし、そこで事業を立ち上げて刑務所の実質支配権を獲得した。
- 乙姫(おとひめ)
- 声 - 音羽里奏
- 研究所のナビゲーターAI。地球を模したマスコットの姿をしている。
文部省ルート
- 黒四館美衣(こくしかん みい)
- 声 - しろたのぞみ
- 終天学園の生徒[11]。図書委員をしており、ほとんどの時間を図書室で過ごしている。基本的には真面目でクールだが、妄想を膨らませて暴走することもある[11]。詩を書くことが趣味。
- 黒四館菊花(こくしかん きっか)
- 声 - 梶山美紀
- 終天学園の生徒。感情の起伏が激しく、本人も制御できていない[11]。ギターを弾くことが趣味だが、人前ではいつもミスしてしまう。
- 黒四館結愛(こくしかん ゆあ)
- 声 - 小澤麗那
- 終天学園の生徒で、のんびりした性格。人形劇が趣味で、人形を通して意思疎通を行う[11]。だが、男の子の人形の扱いに苦戦している。
- 久遠失華(くおん しっか)
- 声 - 矢野優美華
- 文部省の職員で、仄を通して零を支援するために派遣された。独自の「恋愛四十八手」をアドバイスとして零に教える。
警備省ルート
舞台設定
本作に登場する終天教団は、人類の滅亡を肯定しているが、人間を皆殺しにするのではなく、緩やかな終焉を期待する平和主義者の集団であり、作中の舞台である終天教国は彼らによる国である[5]。また、1月1日が建国記念日であるため、本作キャッチコピーにも使われている「ハッピーニューエンド…よい終焉を」というフレーズは、現実世界の正月のあいさつに相当するものであり、世界が終焉に近づいたことへの祝いの言葉でもある[5]。
作中世界には教団の考えを否定する「異教徒」もおり、話し合いが通じないうえ、放置すると信者を洗脳したり街を荒らしたりするため、教団からは危険視されている[5]。教団では殺人や暴力はタブー視されている一方、教団の対異教徒組織である警備部は唯一暴力が許されており、幹部の伏蝶 まんじをはじめ荒っぽい性格の者が多い[5]。
教団においては、「神の力」による奇跡は禁忌とされている[6]。
制作
企画
本作のプロットは、『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』の前身となる作品のプロジェクトが止まった後、『デスカムトゥルー』(2020年6月発売)のシナリオを構築している間にストックされていたものである[5]。
その後、トゥーキョーゲームス代表の小高和剛とDMM GAMESの稲垣順太たちの間でこの二者でなにかできないかという話し合いが行われ、その中でトゥーキョーゲームス側が提出した本作のプロットを稲垣が気に入り、DMM GAMES内にいる小高のファンからの評判が良かったため、共同制作が決まった[5]。
小高はプロットの段階から宗教をテーマに据えることと、シナリオが分岐した後のエピソードといった全体的なプランを練っており、出来上がった小高のプロットを見たトゥーキョーゲームスの面々はとがったテーマとルートごとに異なるシステムというアイデアに驚かされたものの、本気で作ったら面白いだろうと考えていた[5]。小高は「ファミ通」とのインタビューの中で、宗教を選んだ理由については定かではない[注釈 2]としつつも、教団による国家での共同生活という特殊な環境の中で、自分達と異なる常識というギャップを使って何かできないかと考えたのではないかと答えている[15]。
スタッフィング
稲垣は元々日本国外作品のローカライズや『刀剣乱舞無双』でDMM GAMES側のプロデューサーを務めた経験はあるものの、新規IPのプロデュースは本作が初めてである[5]。
中澤工はディレクションおよびシナリオ執筆、およびすべてのシナリオの最終的な調整および監修を担当した[5]。
小高は企画原案とシナリオ構成、一部シナリオを担当した。2025年4月に発売された『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』とはシナリオ制作の時期が被らないように調整していたものの、最終的にマスターアップの時期が被ってしまったと小高はのちに振り返っている[5]。
物語のうち、教祖殺しの事件は小高らによる世界設定を踏まえたうえで、『ニューダンガンロンパV3』などでトリック作成に協力した推理作家の北山猛邦が加わりプロットが制作された[16]。5つのルートのシナリオは複数のライターが分担して執筆し、中澤が全体をチェックした後、関連付ける情報を追記していった[注釈 3][5]。5つのルートのうち、法務省ルートのシナリオは北山が手掛けた[5]。
また、宗教のイメージのままデザインを考えると不気味になりがちなため、正反対の明るいカラリングを得意とするしまどりるがデザイナーとして起用された[5]。
当初、劇伴BGMは複数人で制作することも想定されたが、破綻を防ぐ観点から、最終的には高田雅史が全体を監修し、トゥーキョーゲームスのスタッフがヘルプとしてかかわる形となった[15]。
セッティング
本作の登場人物たちは全体的に若者が多く、20代から30代が中心である[5]。 主人公である下辺零の性別は教団内でも限られた人物しか知られていないという設定であり、一部のシナリオではそれが要となっている[5]。当初は全く伏せることも考えられたが、それではフェアではないということで、シナリオ執筆の段階で方針が変更された[5]。一方、稲垣は英訳する際に些かややこしかったと述懐している[5]。また、零は記憶喪失という設定であり、プレイヤーと同じ視点でゲームを進めることになる[5]。また、ルートによっては零の人間的な成長が変化することを中澤はファミ通とのインタビューの中で認めており、たとえばデスゲームによる命の駆け引きを体験した場合、生命に対してまじめに考えるようになるという[1]。
小高による初期プロットでは零を導く存在は一人だけだったが、『レインコード』と重複するため、早い段階で二人組に変更された[1]。試行錯誤の末、幼女のヒメルと中年男性のミコトルが誕生した[1]。彼らは一般的な天使のイメージに合わせて設定されており、怪しいけど行動を共にせざるを得ない関係性が構築された[5]。この二人組について中澤は強引だからこそ彼女をゴールまで導けるとファミ通殿インタビューの中で語っている[5]。
小高が最初に5つのアドベンチャーゲームを思いついたことから、幹部もそれに合わせて用意された。ルートによって描くキャラクターはっきりしていた分、描きやすかったと小高は述懐している[1]。うち法務省ルートは推理アドベンチャーということから、小高がある程度キャラクターの情報を用意してから、ざっくりとしたアイデア出しが行われた[1]。法務省幹部の犬神軋は零を振り回す役回りで登場する[5]。
本作は架空の宗教団体を題材としており、トリックもそれにちなんだものとなっている[1]。一方、小高と稲垣は、実際の宗教に少しでも抵触する内容だったら本作は誕生しなかっただろうとファミ通とのインタビューの中で話している[1]。
また、教団は平和主義者という設定であり、あまりの温厚さに中澤らシナリオライターがルールを忘れてしまい、整合性が取れなくなってしまったこともあった。実際、他作品では暴力で解決できるような場面であっても、本作ではそれによらない解決方法を考慮する必要があり、ライターがうっかりキャラクターに暴力を行使させてしまうミスが最も多かった[1]。
ビジュアル
本作ではパブロ・ピカソやアンディ・ウォーホルのような、抽象的な色彩が用いられており、キャラクターの見栄えを意識した差し色が割り振られた[15]。たとえば文部省の最高幹部・黒四館 仄の場合、キャラクターに合うという理由から、髪の色に虹色のグラデーションが入っている[15]。
主人公である零のロングパーカーはしまどりるの好み[注釈 4]が反映されているが、使用されている色数が多いため、カラフルでありながらも目が痛くなったり、浮いたりしないよう注意が払われた[15]。また、当初は少年誌に登場するようなヤンチャな少年っぽい表情も用意されていたが、女性であることが確定して以降はそのような表情は用意されなくなった[15]。一方、法務省の最高幹部・犬神 軋は白がテーマカラーに据えられているものの、裏腹に白く見えぬよう配色には注意が払われた[11]。保健省の最高幹部・丑寅 幽玄はシンプルなデザインながらも、和服にサングラスと言った医者らしくない要素で不気味さが出るようデザインされた[11]。科学省の最高幹部・伊音テコは白衣など王道な部分をおさえつつも、極端に裾の短い半ズボンや長すぎるネクタイなど、アンバランスさが強調された[11]。仄はマスクなどのアイテムで顔を覆い隠すことで、デザインを通じて本心を知られない存在であることを示した[11]。警備省幹部・伏蝶まんじも設定を反映するために、攻撃的で動きやすいデザインとなった[11]。
キャスティング
キャストの候補はDMM GAMESが出し、小高らのイメージと合っているか確認する形で選定が行われた[1]。 本作はフルボイスであることに加え、セリフ量も多かったため、ベテランを中心としたキャスティングとなった[1]。
ストーリおよびシステム構築
シナリオの分量に加え、システムも個別に独立したものが組まれているため、アドベンチャーゲーム1本分よりも労力がかかったと中澤は振り返っている[5]。また、他のトゥーキョーゲームス作品同様、ゲームシステムはシナリオへの没入感を高めたり、感情移入しやすくするための装置という位置づけであるため、何度かプレイすればクリアできる難易度に設定されたほか、各ルートにはヒントも用意された[5]。
保健省ルートはデスゲームを題材としており、担当ライターの提言によりキャラクターによる実況が取り入れられた[5]。
構想の時点では、科学省ルートは脱出ゲームになる予定だったが、保健省ルートのデスゲームと被るため、別ジャンルに変更することになった[1]。一時はタワーディフェンスも検討されたが、中澤がシナリオの扱いに苦慮する中で、サウンドノベルの存在に気づき、最終的にはそちらに変更となった[1]。とはいえ、シナリオライターが当初執筆した科学省ルートのプロットは長すぎたため、中澤がカットしたものの、シナリオ化された際にまた長くなってしまった[5]。最終的に、科学省ルートのテキスト量は通常のアドベンチャーゲーム1本分相当となった[5]。
警備省ルートは開発に時間がかかることが予見できていたため、5つのルートの中で最初に開発に着手した[5]。実際、ゲーム性が固まるまでに時間がかかり、アクション部分は開発の終盤まで調整が続いた[5]。また、フル3Dだったため、想定外のトラブルも頻発するなど、苦労の連続だった[5]。