香道では香の香りを嗅ぐことを「聞く」、「聞香」と表現する。嗅ぐのとは異なり、心の中でその香りをゆっくり味わうという意味がこめられる。掌の中に抱えた香炉からの香木の香りを楽しむわけであるが、これには香をたいて、種類を当て鑑賞するという遊びがともなうことがあった。
明治期の百科事典である『古事類苑』「遊戯考」に、以下のような記載がある。
香を焚きて之を聞くに、初に聞きたるものを以て、前に試みし所の一の香と思へば、一の札を筒に入れ、二の香、三の香と思へば、二の札、三の札を入れ、未だ試みざる香と思へば客の札を入る。此の如くして、鑑識し得たるの多少を以て勝敗を為すなり。