苫米地英人
日本の認知科学者、計算機科学者、人工知能研究者
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苫米地 英人(とまべち ひでと、1959年9月7日 - )は、日本の認知科学者、計算機科学者、人工知能研究者。専門は人工知能、自然言語処理、認知科学、超並列計算アーキテクチャ、サイバーセキュリティ、認知安全保障および国家安全保障の領域にわたる。日本および国際的に、30年以上にわたり研究と政策プロジェクトを主導・助言してきた。
苫米地英人 | |
|---|---|
| 生誕 |
1959年9月7日(67歳) 東京 |
| 国籍 | 日本 |
| 出身校 | カーネギーメロン大学 |
生い立ち・学生時代
1959年、東京生まれ。1972年、米国にて13歳で大学数学を履修[1]。その後、駒場東邦中学校・高等学校[2]、マサチューセッツ大学を経て、上智大学外国語学部英語学科(言語学/国際関係専攻)を卒業し、三菱地所株式会社に入社した。
1985年、フルブライト全額給付生としてイェール大学大学院計算機科学科博士課程に留学し[3]、「人工知能の父」と呼ばれるロジャー・シャンクに師事。イェール大学人工知能研究所(Yale AI Project)および同大学認知科学プロジェクト(Yale CognitiveScience Program)に所属し、両研究所の研究員を兼任した[4]。
2年間のフルブライト奨学期間を経て、1987年、カーネギーメロン大学奨学生として博士課程に転籍[3]。同大学計算機科学部、機械翻訳センター(Center for MachineTranslation、現 Language Technologies Institute)、計算言語学研究所など複数のプロジェクトにおいて、米国政府予算等による研究に従事した[4]。
在学中の1989年、三菱地所によるロックフェラーセンター買収に財務担当として従事した。
1993年、カーネギーメロン大学において、全米で4人目、日本人としては初の計算言語学博士号(Ph.D. in Computational Linguistics)を取得した[4][1]。
カーネギーメロン大学での初期研究(自然言語処理・AI)
1986年、カーネギーメロン大学機械翻訳センターにおいて、英語と日本語の音声通訳システムの開発に成功した。これは記号的言語処理と音声対話のリアルタイム統合の最初期の事例であり、世界初の音声通訳システムとされる [5] [6]。1980年代後半から1990年代初頭にかけては、ニューロ・シンボリック型のハイブリッド・アーキテクチャの研究に従事し、最初期の生成AI開発を行った[7] [8] [9] [10]。
1990年、カーネギーメロン大学からの滞在研究先であるATR(国際電気通信基礎技術研究所)において、生成AIと記号AIの並列稼働によりニューラルAIの記号的演繹制御をする「MONA-LISA」アーキテクチャを、密結合共有メモリ型並列マシンSequent Symmetry上に並列プログラミング言語Allegro CLIPで実装することに成功した[11]。ニューラルネット学習による準記号処理の誤りを記号的知識AIの並列稼働で避ける最初期のアーキテクチャ[12]。
1991年に体系化されたMONA-LISAフレームワークは、演繹的な記号処理と神経生成系が並列に動作するハイブリッド構造を持つものであり、後年の生成AIにおけるハルシネーションや構造的不整合の問題、とりわけミッション・クリティカルな応用における課題を先取りするものであったと、現在のカーネギーメロン大学CyLab公式バイオで評価されている[4]。
1988年、カーネギーメロン在籍中に、世界でも最初期、日本では初の人工知能研究開発専門企業であるコグニティブ・リサーチ・ラボラトリィズ株式会社(現 コグニティブリサーチラボ株式会社)を設立した[13]。
その他、1980-90年代初頭の研究業績は、コグニティブリサーチラボ創立時の研究業績[14]で多くの論文、技術報告書を読むことが出来る。
帰国後の学術・産業界での活動
博士号取得後、徳島大学知能情報工学科助教授に就任。続いて、当時日本最大級のソフトウェア企業であったジャストシステムに招かれ、研究開発担当ディレクター兼基礎研究所所長として全社のソフトウェア開発を統括した。同社ピッツバーグ研究所取締役、通商産業省情報処理振興審議会専門委員などを歴任した。
1990年代には、ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院との合同研究において、世界最初期の機能脳科学研究に従事した。
1998年から現在に至るまで、日本政府のプロジェクトとして、計算機科学・人工知能分野における複数の政府予算研究開発の代表を務めている。
機能脳科学と脱洗脳研究
単調・非破壊的データ構造と半減期通貨
カーネギーメロン大学時代の研究において、苫米地は単調・非破壊的データ構造に関する研究を行った。文法的・意味的構造を単調なデータ構造として表現し、ネットワーク上を安全に流通させながら、破壊的な書き換えを行わずに線形時間で整合性検査を行う構想を展開した(後に「Bechi Unit」として知られる概念に発展)。
1995年、この概念は通貨システムとしてジャストシステムにおいて実装された。同時に苫米地は、次世代型貨幣システムおよびユニバーサル・ベーシックインカム理論を扱う新たな経済モデルとして「半減期通貨(Half-Life Currency)」を考案した。
2022年、日本ベーシックインカム学会において、「半減期通貨による信用創造とユニバーサル・ベーシックインカム」と題する基調講演を行い、この研究を公開した。
国防・サイバー安全保障分野での活動
2000年代から2010年代にかけて、政府関連研究、サイバー防衛、国家安全保障の領域に研究の比重を移した。
2008年、カーネギーメロン大学CyLabフェローに就任[15]。サイバーセキュリティ、暗号通貨関連政策、人工知能、認知安全保障に関して、各国政府機関および民間部門に対して助言を行っている。
2014年から2019年3月まで、河野克俊統合幕僚長(当時)直轄の自衛隊サイバー軍(自衛隊サイバー防衛隊)の創設に、カーネギーメロン大学側の代表として協力。同期間、日本の自衛隊とカーネギーメロン大学との連携によるサイバー防衛能力強化のプロジェクトを主導した。
2019年、ジョージ・メイソン大学C5I(指揮・統制・通信・コンピューティング・サイバー・インテリジェンス)センター研究教授に就任。米国における初の認知戦研究専任教授となり、現在に至る。
「認知戦(Cognitive Warfare)」概念の提唱
2007年、苫米地は、戦争領域が認知領域に拡大することに警鐘を鳴らし、研究および教育活動の文脈において「Cognitive Warfare」という英語の用語を造語し、同時に「認知戦」という日本語訳も自ら造語した[16]。
近年の研究では、認知戦を単なる偽情報や影響工作としてではなく、認知科学・可能世界意味論・最適制御・認知安定性の数理構造に基づく体系的な認知制御として定式化している。
2023年8月、米インド太平洋軍司令官ジョン・C・アキリーノ海軍大将(当時)に対して、世界初の「認知戦コモン・オペレーショナル・ピクチャー(COP)」システムを実証したことが後の著書にある[17]。
これに続き、2025年2月、米インド太平洋軍のパパロ現司令官が基調講演を行ったHonolulu DefenseForumにおいて、同軍のラッド副司令官が座長を務める冒頭パネルで、米軍およびワシントンD.C.関係者に対し認知戦講義を行った[18][19]。また、インド太平洋軍関連の2023年8月世界初の認知戦システム実演と2025年2月の並びに2025年8月の認知戦講義については、2026年4月22日のワシントンDCスティムソンセンターでの公開講義にて、Cogntive Warfareという用語を、元々使っていたBrainwashing Warefareに変えてアメリカでの講義用に2007年に造語したことを説明したのに合わせて話している。これは海外参加者にもオンライン配信されアーカイブ(https://www.stimson.org/event/cognitive-warfare-ai-and-security-insights-from-east-asia/ )で現在も確認することが出来る。
このほか、ヘリテージ財団(ワシントンD.C.)、米国防大学(NDU)、スティムソン・センターなどで認知戦、AI、安全保障に関する講義を行っている。これはカーネギーメロン大学CyLab公式バイオに記述されている。これらの講義で使用されたスライドは「ドクター苫米地ブログ」(https://tomabechi.jp/archives/51661612.html)で公開されている。
コーチング普及活動
コーチングの元祖と称されるルー・タイスの晩年において、その右腕として、米国認知科学の研究成果を盛り込んだ最新の能力開発プログラム「TPIE」「PX2」「TICEコーチング」などの開発を担当。
その後、ルー・タイスとともに全世界での普及活動を行い、現在もルー・タイスの遺言により、その後継者として、コーチングの普及・発展に尽力している。
人道支援活動(地雷保護プロジェクト)
2025年2月より、国連UNIDO(国際連合工業開発機関)次世代型人道的地雷保護プロジェクト代表として、非戦地における民間人の犠牲を全世界で防ぐことを目的とした「ドローンを活用した空中地雷探知およびデジタル警告システム」の研究開発リーダーを務めている[20]。
国土の約4分の1にあたる17万4,000平方キロメートルに、2,500種類の地雷が埋設されているウクライナにおいて、2025年7月、最初のフィールドテストに成功。コグニティブリサーチラボ独自開発のレスキューリンクシステムにより、有事や自然災害による大規模停電、通信網やインターネット切断、GPS切断時にも、正確な地雷位置をセキュアに民間人へ提示する技術の実証に成功した[21]。
現職
- カーネギーメロン大学 CyLab フェロー
- ジョージ・メイソン大学 C5I(指揮・統制・通信・コンピューティング・サイバー・インテリジェンス)センター 研究教授
- 国連UNIDO 次世代型人道的地雷保護プロジェクト 代表
- コグニティブリサーチラボ株式会社 創業者・CEO 兼 基礎研究所長
- 株式会社ドクター苫米地ワークス 代表(CEO)
- 公益社団法人日本ジャーナリスト協会 会長
- 一般社団法人日本外交政策学会 会長
主な著書 (出版年順)
人工知能、認知科学、コーチング、経済学、安全保障、社会論などの分野で、200冊を超える著書を執筆している。
- 『洗脳原論』春秋社/2000年
- 『脳と心の洗い方 ―「なりたい自分」になれるプライミングの技術』 フォレスト出版/2006年/ISBN 978-4-89451-232-0
- 『英語は逆から学べ! ―ネイティブ脳を一瞬でつくる新メソッド』 フォレスト出版/2008年
- 『残り97%の脳の使い方』 フォレスト出版/2008年
- 『テレビを見てはいけない』 PHP新書/2009年
- 『脳と心の洗い方』(Forest2545新書版) フォレスト出版/2009年
- 『お釈迦さまの脳科学 ―釈迦の教えを先端脳科学者はどう解くか?』 小学館101新書/2010年
- 『コンフォートゾーンの作り方【聴くだけで目標達成できる!CD付】 ~図解TPIEプログラム~』 フォレスト出版/2010年
- 『自分のリミッターをはずす! ~完全版 変性意識入門』 ビジネス社/2010年
- 『バイリンガルは二重人格』 フォレスト出版/2010年
- 『経済大国なのになぜ貧しいのか? ―新聞・メディアが伝えない「洗脳経済」の真実』 主婦の友社/2010年
- 『「婚活」がなくなる日 ―結婚=幸せという洗脳』 主婦の友社/2010年
- 『アファメーション』 (ルー・タイス著/苫米地英人 監訳) フォレスト出版/2011年
- 『クロックサイクルの速め方 ~脳が2〜32倍速になる特殊音源トレーニングCD付~』 フォレスト出版/2011年
- 『「頭のゴミ」を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!』 徳間書店/2012年
- 『「イヤな気持ち」を消す技術』 フォレスト出版/2012年
- 『「言葉」があなたの人生を決める』 フォレスト出版/2013年
- 『ドクター苫米地の「脳力」の使い方』 徳間書店/2013年
- 『苫米地英人、宇宙を語る』 角川学芸出版/2013年
- 『苫米地英人の金持ち脳 ~捨てることから幸せは始まる~』 徳間書店/2013年
- 『本当はすごい私 ―一瞬で最強の脳をつくる10枚のカード』 講談社/2013年
- 『性格のカラクリ―"イヤな他人"も"ダメな自分"も一瞬で変えられる』 誠文堂新光社/2019年/ISBN 978-4-416-51875-5
- 『苫米地英人コレクション1 洗脳護身術』 開拓社/2019年
- 『苫米地英人コレクション3 「頭のゴミ」を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!』 開拓社/2019年
- 『超悟り入門』 徳間書店/2022年
- 『新版 コンフォートゾーンの作り方』フォレスト出版/2025年
- 『自衛隊認知戦軍創設提案 ~戦略的影響力のパラダイムシフト~』 開拓社/2025年10月
- 『オーセンティック・コーチング2026 ~本物のコーチング~』 開拓社/2025年
- 『老い方をいますぐ、アップデート 老害にならずに「第二の人生」を生きるヒント』TAC出版/2026年3月
- 『見えない戦争の正体 ―米中露が仕掛ける「認知戦」』 佐藤優 共著/フォレスト出版/2026年4月
受勲
聖マウリッツィオ・ラザロ騎士団 大十字騎士(Knight Grand Cross of the Orderof Saints Maurice and Lazarus)