蒸散
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蒸散に関わる要因
蒸散率・蒸散量
ある植物、特に農産物の生育期間における蒸散量の積算値を、その植物の最終的な乾燥重量で割った値を蒸散率という。主な農産物では、この値は200 - 1000程度である事が知られている (Martin, Leonard & Stamp 1976, p. 81)。蒸散量の計測には吸水計(ポトメーター、Potometer)が使われる。気温が高く乾燥した日には、一本の成木から1トン以上もの水分が蒸散により失われる。これは、根から吸収される水分のおよそ90 %に相当する。
砂漠の植物や針葉樹は、蒸散量を減らし水分を保持する為の様々な特徴、例えば発達したクチクラ層、小さな葉面積、埋没型の気孔などを備えている。多くの多肉植物は、葉ではなく主に多肉茎で光合成を行う為、植物体の表面積が非常に小さい。このような乾燥地帯の植物はCAM型光合成と呼ばれる特殊な光合成を行っており、昼間は気孔を閉じ、夜間に開いている。この方式により、CO2取り込みに伴う水分の損失を最小限に留めている。
蒸散と放熱
例えば直射日光に晒されている厚さ300マイクロメートルの葉は、熱の放散が全く無ければ1分間で100℃に達する。植物はこの熱を顕熱損失 (sensible heat loss) 及び潜熱損失(evaporative heat loss、=蒸発熱損失)として放散している。蒸散に伴う放熱は後者に相当する。一般的な植物では、太陽から入射する熱のほぼ半分は蒸散に伴って失われる。
顕熱輸送量の潜熱輸送量に対する比率(前者を後者で割ったもの)をボーエン比と言う。潤沢に潅水される農作物では蒸散量が大きく、従ってボーエン比は低い。一方、蒸散による水損失を抑えているサボテンでは潜熱損失がゼロに近く、ボーエン比は無限大に近づく。

