衝動 (映画)
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あらすじ
兄が渋谷で起こした無差別殺傷事件の加害者となったことで周囲から偏見を受けた少年・ハチは、家を出て名前を偽り、東京・渋谷で違法薬物の運び屋としてネットカフェ暮らしを送っていた。ある日、仕事のトラブルで暴行を受けたハチは、声を失った少女・アイと出会う。筆談を通じて交流を深めた2人は、それぞれ孤独や喪失感を抱えながらも次第に互いをかけがえのない存在として意識するようになる。
アイは幼少期から父親による性的虐待を受けており、その父親はかつてハチの兄が起こした無差別殺傷事件の被害者だった。兄への複雑な思いを抱え続けるハチと、父親の死をきっかけに声を失ったアイは、それぞれの過去が思いがけず交錯していたことを知る。
現状から逃れるため、ハチは違法薬物の売買組織から薬物を盗み出し、アイとともに遠くへ逃げようとするが計画は失敗し、2人は組織に拘束され性的暴行を受ける。心身ともに追い詰められたハチは、衝動的に包丁を手に取り、通りがかりの男を刺してしまう。
我に返ったハチは逃走し、アイもその後を追う。渋谷の街を駆け抜け、川辺に辿り着いたハチは、思いの丈をアイに向かって叫び、アイはハチに対して声を出して答えるのであった。
登場人物
- ハチ
- 演 - 倉悠貴[2]
- 家出している福島出身の17歳。都内第8地区(渋谷)担当の運び屋。
- アイ
- 演 - 見上愛[2][3]
- 声を失っており、会話は筆談で行う出張ヘルス嬢。
- ショウヤ
- 演 - 見津賢[2]
- ハチに自分の仕事の手伝いを依頼する。
- ユウコ
- 演 - 錫木うり[2]
- ショウヤのツレ。
- ナイキ
- 演 - 工藤孝生[2]
- 都内第9地区(原宿)担当の運び屋。よく食べて、よく笑う。ハチと仲がいい。
- ヒナ
- 演 - 池田朱那[2]
- クラブの常連客。ハチを飲みに誘う。
- ヒカル
- 演 - 川郷司駿平[2]
- ハチの兄。刑務所に服役中。
- エミカ
- 演 - 山本月乃[2]
- ハチがよく行くネットカフェの受付。
- 肥田
- 演 - 佐久間祥朗[2]
- ハチが行っていたネットカフェの受付。
- リク
- 演 - 三村和敬[2]
- 家出少年。ハチが行っていたネットカフェに訪れる。
- サワダ
- 演 - 村上淳[2]
- 出張ヘルスの店長。
スタッフ
企画
本作は、監督・脚本を務めた土井笑生が学生時代に着想したシナリオを原案として企画された。当初は2019年頃から制作準備が進められていたが、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で一時中断し、その後制作が再開された。制作費の一部はクラウドファンディングによって調達された。土井は、本作では孤独な少年少女の出会いと「生への衝動」を描くことを構想したと述べている[4]。
製作
土井は、主演の倉悠貴をドラマ『his〜恋するつもりなんてなかった〜』での演技を見て起用した。主要人物については、劇中では描かれない過去や人物設定をまとめた「キャラクター表」を作成し、出演者と共有したという。また、作品の過激な描写について事前に倉へ説明したところ、倉は「覚悟はできています」と応じたという[5]。
なお、土井は倉について「計算のない演技」が持ち味であり、感情表現や目の演技に観客の想像の余地を与える俳優であると評している。クライマックスの撮影では、倉が役に深く没入し、カット後も感情が収まらず過呼吸を起こす場面があったといい、撮影終了時には倉自身が「初めて役者を辞めたいと思った」と語るほど精神的・肉体的に過酷な撮影だったことを明かしている[5]。