表度説

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表度説』は、明末の1614年に出版された、西洋天文学の概説書。イエズス会士サバティーノ・デ・ウルシス(熊三抜)の口述を周子愚·卓爾康ら筆記。種本は、クリストファー・クラヴィウスの『サクロボスコの天球論註解』と『グノーモニケス』。ただし、種本に比べると分量は各段に少なく、初等的な内容が中心である。後に『天学初函』、『四庫全書』に収録される。

西洋の地球球体説と、地球を中心とする天動説を簡単に説明し、グノモンを用いた観測の方法を数理的に説明する。多くの数表と図を含む。

筆受に携わった周子愚は、欽天監副だった際、ロンゴバルディ、ウルシスとともに西洋の天文学書を漢訳すべきことを上奏。これは、前年の1610年12月10日の日食の予報が30分ずれたことを受けてのことだったが、採用されなかった[1][2]

グノモンは中国では「表」と呼ばれ、伝統的にもっとも重要な観測器具の一つであった。しかし、周子愚「表度説序」によれば、「関係書がないため、理を窮めることができず、また用も明らかでない。」[3]。つまり、基礎理論が明らかでなく、そのために用途も限られていたという。そこで、「ヨーロッパ諸氏の図書の中にその理論書があるのを見て、ロンゴバルディ氏にその本を訳してもらって、本典を補いたいと請うた。」[4][5]

本書は次の五つの題を扱う[6]

第一題
太陽の周天運動は天頂を向いて上昇し、地平を向いて下降する。太陽は地球を等速に回転するので、地球の影も同じく等速に動く。[7]
第二題
地球は天の中心。[8]
第三題

地球は太陽よりも小さく、太陽からみれば地球は一点にすぎない。 [9]

第四題

地は丸い。[10]

第五題
表の端を地心とみなす。[11]

分量的には、第一題~第三題は上海交通大学出版社版で各々1頁程度、四庫全書版でも一葉の半分程度と短い。地球球体説を説明した第四題は同9頁と詳しく論じられている。それまでのイエズス会士による地球球体説の説明は概ね簡素であった。しかし、ここでは根拠がより多く上げられ、ありがちな疑問点(例えば対蹠地の存在が直感に反するなど)を意識して自然学に踏み込んで丁寧に説明されている[12]

第五題の後は、表の設置の方法や使用方法が具体的に説明される。この部分は数表を多く含むためもあって、それよりも前の部分よりも圧倒的に長い。末尾には、「柱晷」とよばれる円柱型の日時計(Cylinder en:Shepherd's dial)が記述されている[13]

第一題から第四題までは、主にクラヴィウス『サクロボスコの天球論註解』を、第五題とそれ以降は主にクラヴィウス『グノーモニケス』を種本にしている[14]

脚注

参考文献

外部リンク

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