アメリカ合衆国の医療保険は、日本のように全国民に対して医療保険が用意されていない。公的な保険として高齢者向けのメディケア(Medicare)と低所得者向けのメディケイド(Medicaid)の2種類があるが、加入者は全国民の3分の1程度である。保険料が高いために保険に加入できない、またはできても加入しない無保険者の国民が約4,600万人いるが(2009年時点)、国民の半分強が民間の保険会社と医療保険契約をしている。
アメリカでは、日本のように治療費の患者負担率が一定ではなく、契約内容によって給付内容が異なる。掛け金は高いがどの医療機関でも受診できるもの、掛け金が安く指定の医療機関でしか受診できないもの、治療方法や薬の使用に制限のあるもの、歯科治療ためだけのもの、など様々である。
保険契約を行う保険会社が主だったところで3,000社以上もあり、その各社の中に数多くの種類の医療保険が存在している。医療機関は保険会社ごとに全く異なるフォーマットやコード番号で請求しなければならないので、請求の事務処理に大変な労力と時間が必要となる。
保険会社は請求ミスがあった場合、診療報酬請求債権を医療機関に戻し、また一定期間が過ぎると請求フォーマットやコード番号を変更することがあるため、医療機関独自で実際に回収できる金額は請求額全体の30%から35%程度と言われている。この回収率の低さは、アメリカでは日本の医療制度のように治療行為ごとに報酬が決められているわけではなく、医療機関や医師が勝手に報酬を設定できることも要因となっている。保険会社は自社が妥当と判断する報酬しか払わないため、医師が保険会社に請求する報酬と実際に保険会社から支払われる報酬の差が大きく、回収率が低くなってしまう。