平胸類
From Wikipedia, the free encyclopedia
平胸類(へいきょうるい、学名 Ratitae)は、現生鳥類の中で原始的なグループである古顎類の中で、完全な地上生に進化したグループである。走鳥類(そうちょうるい)、走禽類(そうきんるい)とも。また、ダチョウ目を平胸類と同じに定義する説もある。
古顎類には平胸類のほかに、不完全な地上生のシギダチョウ科が含まれる。まれに平胸類や走鳥類にシギダチョウ科を含めることもある[1]が、ここではシギダチョウ科を含めないグループについて述べる。ただし、後述のようにシギダチョウ科を含めない平胸類は多系統であり、現代の遺伝学に基づいた分類学上は支持されない。
特徴
分布
南半球にのみ分布する。
ダチョウ(アフリカ大陸)、レア類(南アメリカ大陸)、ヒクイドリ(ニューギニア島・オーストラリア大陸)、 キーウィ(ニュージーランド島)。
系統
様々な大陸に似たような平胸類がいることから、かつては浜辺で産卵する平胸類がいるため共通の祖先の卵が波に流され漂着先で種が分岐していった、さらに20世紀にプレートテクトニクス説が現れると今度はゴンドワナ大陸に共通の祖先がいてゴンドワナ大陸の分裂後に各種が各大陸で発展していったとも考えられた[2]。
しかし、絶滅種の骨を含めたDNA解析からニュージーランドのキウィバードとマダガスカルで絶滅したエピオルニスが近く、共通祖先種があらわれたのが4千万年前から6千万年前であることが分かり、ゴンドワナ分裂後であることが分かった[2]。現在では、共通祖先は空を飛べ、その後両方とも空を飛ぶ能力を失ったと考える説が出ている[2]。また、ニュージーランドのモアは中南米の飛べるシギダチョウ科に近く、6千万年前に分岐したと考えられている[2]。
従来主流だった説では、平胸類は古顎類の残りであるシギダチョウ科(主に地上性だが、竜骨突起があり飛ぶことはできる)と姉妹群であり、シギダチョウ科と分化した後に竜骨突起を喪失したと考えられてきた。そのことは、Sibley & Ahlquist (1981) のDNA-DNAハイブリダイゼーションでも確認され、彼らはそれを分類に反映し、平胸類全体をダチョウ目に分類した[3][4]。
しかし平胸類の単系統には、古生物学や動物地理学の面から Bock & Bühler (1990) や Elzanowski (1995) によって疑問が出された。最終的に Harshman et al. (2008) の分子系統により、古顎類の中で最初に分岐したのはダチョウ科であることが判明した。つまり、平胸類は多系統であり、竜骨突起の喪失は平胸類の進化の中で複数回起こった平行進化である[5]。
初期の平胸類は、北半球に7000万年前に棲息していたリトルニス科であると考えられている。その後しばらく不明の時期があり、そこで様々な種に分岐し、そこで、まるで巨大な恐竜存在の生態系の跡を埋めるかのように巨大化、それに伴い飛ぶ力を失う等の似たような形の収斂進化を起こしながら進化したとする説である[2]。
分類
科・種
- キーウィ科 Apterygidae (ニュージーランド)
- Apteryx australis, Brown Kiwi, ブラウンキーウィ
- Apteryx mantelli, North island Brown Kiwi
- Apteryx owenii, Little Spotted Kiwi, コマダラキーウィ
- Apteryx haastii, Great Spotted Kiwi, オオマダラキーウィ
- Apteryx rowi, Okarito Brown Kiwi
- ダチョウ科 Struthionidae(アフリカ)
- Struthio camelus, Ostrich, ダチョウ
- ヒクイドリ科 Casuariidae(オーストラリア)ヒクイドリとエミューを別の科にすることもある
- ヒクイドリ族 Casuariini
- Casuarius casuarius, Southern Cassowary, ヒクイドリ
- Casuarius bennetti, Dwarf Cassowary
- Casuarius unappendiculatus, Northern Cassowary
- エミュー族 Dromaiini
- ヒクイドリ族 Casuariini
- レア科 Rheidae(南アメリカ)
- Rhea americana, Greater Rhea
- Rhea pennata, Lesser Rhea
- †エピオルニス科 Aepyornithidae(マダガスカル、絶滅)
- †モア科 Dinornithidae(ニュージーランド、絶滅)
目
目の分類には、以下の2つの説が主流である。なおここでは、現生4科(エミューはヒクイドリ科に含める)についてのみ述べる。
- 4科をそれぞれ別の目にする。クレメンツ分類やピーターズ分類などの伝統分類で採用されている(ただしクレメンツではキーウィはモアと共にモア目に属する)。
- 4科全てをダチョウ目とする。Sibley & Ahlquist (1981) など。
このほか、ダチョウ科とレア科のみをダチョウ目に、他の2科をそれぞれ独立目にする[6]説などがある。