飛翔
空中を進むこと
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概説





3億年前には数十センチメートルもある大きなトンボが地球上を飛び回っていたという[1]。
化石などの研究によって、ジュラ紀(約1億9960万年 - 約1億4550万年前)には鳥類が誕生したことが判っている。樹木の上からの滑空のように、比較的簡単な飛行から始め、長い年月をかけて、より能動的な飛翔方法を身につけたと推測されている。
現代でも、トンボなどの昆虫や鳥類などが、みずから飛行・飛翔を行っている。またムササビやモモンガのように滑空するような飛行を行う種もいる(→#動物)。植物でもアルソミトラなどは滑空する種子を持つ。
ギリシア神話には、イカロスやダイダロスを主人公とした 人が空を飛ぶ物語があり、他の世界各地の民族にも、飛ぶ話や鳥と自分を重ねる話が語り継がれている。こうしたことに関する記録は、人類学者の研究成果などに含まれている。キリスト教などで伝えられる天使、飛行に対して人類が共同で抱いている憧れや空想が投映されている、と指摘する研究者もいる[2]。
875年にイスラム世界の学者アッバース・イブン・フィルナスが素朴なハンググライダー状の器具で飛ぼうとして失敗して怪我をした、という話が伝わっている。11世紀にイギリスの修道士マルムズベリーのエイルマーが滑空するのに成功はしたと推定されることがある。動力飛行に関しては、レオナルド・ダビンチ (1452年- 1519年)は、鳥に似せて翼を上下に動かし飛行する機械や、回転するらせん状の羽根を持つ機械の図を残したもののコンセプト図に終わり、実際に飛ばすことができなかった。レオナルドも固定翼の滑空装置の制作に力点を移し、友人で協力者のTommaso Masiniの操縦により、フィレンツェ近くの小山(丘)の上から街に向かって、距離にして1000mほど滑空してみせた記録が残っている[3]。なお、最後の着陸の瞬間に両脚を骨折してしまった、とも残されている。日本では、江戸時代中期に備前の浮田幸吉が翼を製作して滑空実験を行い約50m飛んだという[4]。
1783年、フランスのモンゴルフィエ兄弟が6月5日に熱気球の実験を行い、11月には有人飛行を行った。それによってフランスを中心としてヨーロッパで一大気球ブームが起きた。基本的に進む方角が決められず風まかせであるが、遊覧飛行や冒険飛行が頻繁に行われた。1852年9月23日にはフランスのアンリ・ジファールが比重の小さなガスによって空中に浮かび動力で進む飛行船で初飛行を行った。これによって、おおむね望む方角に向かって飛行できるようになった。
固定翼で動力飛行が実現したのは20世紀初頭である。ライト兄弟が動力つきの「ライトフライヤー号」を制作し、1903年12月17日に飛行することに成功した。
現在では航空機を用いて空を飛ぶことは、極めてありふれたことになっており、世界中で、民間機・軍用機の飛行をあわせれば、1日あたり数十万回以上は飛行が行われているだろう、と推計されている[5]。( →#人工物の飛行)
以下、動物の飛行(飛翔)から始め、後半では人類が道具・乗り物を使って行う飛行まで、飛行(飛翔)の具体的について説明してゆく。
動物
しばしば、動物の飛行(飛翔)は翼や翅を羽ばたかせるそれと、羽ばたかせないものに大別されている。
羽ばたかせることで推進力を生み出すのは「羽ばたき飛行」と分類され、羽ばたきを行なわないほうはさらに細分化され、滑空(グライディング)と「帆翔」(ソアリング、上昇気流を利用した飛行)に分けられている。
なお、前後に移動することなく、空中の一点に静止する行動は「ホバリング」(停止飛翔)と呼ばれる。ホバリングは一般的に、羽ばたいたり、向かい風を受けることによって行われている。
飛行(飛翔)方法の分類
動物の飛行(飛翔)の仕方を表にまとめると、例えば次のようになる[要出典]。
| 羽ばたき飛行 | 鳥類の多く、昆虫類、コウモリ、翼竜[6] |
| 羽ばたきによるホバリング | ごく小型の鳥類や、昆虫の一部 |
| 帆翔 | 大型の鳥類の多く、翼竜(プテラノドン)[7] |
| 滑空 | モモンガ、ムササビ、フクロモモンガ、ヒヨケザル、トビトカゲ、トビウオ、トビイカなど |
大型の渡り鳥がV字型や斜め一直線に編隊を組んで飛翔しているのが見られるが、前を飛ぶ鳥の翼端渦による吹き上げによって後続する鳥のエネルギーの節約になっている、などと言われる。
昆虫の飛行(飛翔)


3億年前には既に数十cmもある大きなトンボが地球上を飛び回っていたことが化石から判明している。
昆虫の翅は基本的に2対4枚で構成されており、飛び方も多様である。
トンボは前後の翅を別々に動かして飛ぶ方式をとっており、原始的特徴を多く残しながらも全ての昆虫の中でも高度な飛翔を行う。チョウでは、前後2対の翅を同時に上下させ、上昇と滑空を繰り返して移動する。これによって激しく上下するのでチョウの飛翔はしばしば「ひらひら」という擬態語で表される。翼面荷重がとても小さく落ちる速度が遅いので、直接下向きの気流を発生させている。他の多くの昆虫も、前後の翅を同時に動かすことによって実質的に1対の翅として使う。
ネジレバネやハエの仲間では、前翅または後翅が平均棍に変化している。ハエ目の昆虫が極めて高度な飛翔を実現しているのはこの平均棍を持つことによると考えられている。
また、コウチュウ目の昆虫は飛行時に鞘翅と呼ばれる固化した前翅を広げる。鞘翅は主に揚力を増やす役割を担っているが、左右の迎え角を変えることにより体勢を整えたり、風を受けてエアブレーキの役割を果たしたりするので、飛翔能力に長けていない甲虫にとって不可欠なものとなっている。これに対し、ハナムグリ亜科に属する多くの甲虫は、鞘翅をわずかに持ち上げて腹部との間に隙間を作り、その下から後翅を広げて後翅のみで飛翔する方式をとる。これによって他の多くの甲虫と比べて格段に機敏な飛翔が可能になっている。
鳥類といった動物が体を水平にして飛翔するのに対し、カブトムシは体を垂直にして飛翔する特徴がある。
体重の軽い脊椎動物の飛行(飛翔)
体重が1kgより軽い脊椎動物では、飛翔は羽ばたきによって行なわれる。ずっと羽ばたいて直線的に飛ぶものと、羽ばたきと翼を閉じての滑空とを繰り返して波状に飛ぶ(波状飛行、バウンディングフライト)をするものとがある。小型の鳥においては空気中で翼を傾けながら上または下に打ち下ろし、翼を前方に滑らすことによって推力を得ている。
もっと軽いアナホリフクロウやハチドリでは、ホバリングが行なわれる。スズメやヒタキなどでも瞬間的にホバリングが行われることもある。すべての飛翔をホバリングでこなすためには、体重が10g以下であり常に栄養を取っていなければならない。ハチドリが花の多い熱帯から生息地を広げられないのはこのためである。
体重の重い脊椎動物の飛行(飛翔)

体重が重い脊椎動物では、離陸するときに飛行機のように滑走してから飛び立ったり、高いところから飛び降りたりするものが多い。平常時も羽ばたくことはほとんどなく、滑空(滑翔)したり、グライダーやハンググライダーのように上昇気流を利用したりするものがある。これは、体重が重いほど羽ばたきづらくなるためである。
ワシタカ科の大型の鳥では太陽の熱で暖まった地面から発生する上昇気流を翼で受けて飛翔する。そのため、翼は単位面積あたりで発生する空気力(翼面荷重)が小さい。羽ばたきによる飛翔は数秒から数十秒しか持続できない。
カモメなどの海鳥は長時間の滑空を行うが、こうした鳥はアスペクト比(縦横比)の大きな翼をもつとともに、翼と胴体の継ぎ目などが滑らかであり、揚抗比が大きく滑空比が高い。また、海からの風が船べりや防波堤、崖などにあたってできる上昇気流で空中にとどまる(斜面滑翔)こともある。観光フェリーなどにカモメが集まるのは、海上が障害物に乏しく、地熱による上昇気流もないためである。このほか、ミズナギドリ目の鳥が行う、動的滑翔(ダイナミックソアリング)と呼ばれるウィンドシアを利用した滑空がある。

タカ科の鳥はアスペクト比がそれほど大きくないが、初列風切羽を広げることによって翼端渦を効果的に整形ないし抑制し、揚抗比を高めているとも言われている。単純に翼幅が大きくならなかった理由としては、開けた場所での飛行が多い海鳥と違い、林間など障害物の多い所での飛行に適応したためなどと推測されている。
プテラノドンなどの大型翼竜は体重と翼の大きさから、滑空しかできなかったと考えられていた時代がある。しかし、研究が進むと、数分に一回程度の割合で、羽ばたきをしているとの研究も出てきている[8]。
羽ばたきの回数
建築家ピーター・S・スティーヴンスの著書『自然のパターン』[9]によれば以下の昆虫類および鳥類の、羽ばたきの回数は下記のごとくである。単位はいずれも「回 / 秒」。
人工物の飛行
人類が、人間の乗らない物体を飛ばすことは古来行われてきた。ある程度長い時間滞空できるものとしては、凧や小型の熱気球(天灯)がある(後者は「風船の歴史」も参照)。
人間の身体には空を飛ぶための羽根・翼が備わっておらず、生身では飛行できない。自分が乗り込んで空中を移動できるような装置が多数作られるようになり広まったのは18世紀のことであり、それは大型の熱気球であった。
動力によって推進される固定翼機による飛行が実現したのは20世紀に入ってからである。ライト兄弟が固定翼方式の機体にエンジンをつけたライトフライヤー号を制作して、1903年12月17日に初飛行を行った。
飛行を研究する工学の一分野を航空工学と言う。
飛行の歴史(航空史)
英語では飛行のための装置を設計・開発・製造・利用すること等々を広く指してaviationと言い[10]日本語では航空という用語をあて、aviationの歴史をaviation historyと言い、日本語では「航空史」と言う。
熱気球での飛行
飛行船での飛行

グライダーでの飛行

グライダーでは滑空を行う。固定翼機と似た機体であるが、動力無しで飛ぶ。グライダーというのはglide グライド(滑空)するもの、といった呼称である。
空気中をほぼ水平だがわずかに斜め下方向に、滑るように進むように設計されている。
中世にヨーロッパで制作されたことがあるとされる滑空装置などはあまり滑空性能は良くなかっただろうと推察されている。ただし17世紀のオスマン帝国の学者ヘザルフェン・アフメト・チェレビは、数千メートルほども滑空するのに成功したとの話が伝わっている。
1m下がる間に何mほど前に進めるか、という値を「滑空比」と言うが、近年のグライダーは空力性能が向上しており、一般的な機体では、数十対1程度の滑空比でとぶことができ、 競技用のグライダーでは40対1程度の滑空比で飛行できるように設計されている。実際に降下する率は、機体の設計やその時々の気象条件や操縦方法によって異なっている。

上昇気流のある空間を飛行すると、グライダーが空気に対して下降していても、空気が上方向に移動した分、翼が下方から力を受け機体も上へ持ち上げられる。十分に大きな上昇気流が起きている空間を飛べば、上昇してゆくことができる。
一般に、グライダーの飛行では、地表が太陽の熱で温められて生じる、眼には見えない柱状の上昇気流を見つけては、その柱状の空間内でらせん状に上昇して高度をかせぎ、やがて上空でその柱が消えたあたりで直線的な飛行に移り、再度上昇気流の柱状の空間を見つける、ということを繰り返す。
グライダーの連続航行距離の世界記録は、アンデス山脈で作られたもので3,000kmを越えている。



動力付固定翼機での飛行
基本原理
基本的に固定翼機は、前方へ押されること(推進すること)によって、空気が前方から翼に当たり力を生じる。翼に迎え角がある場合、下側の面に空気が当たり、それによって後斜め上の方向への力が発生する。その力は一般に、地面に対して垂直方向の力(=揚力)、および進行方向と反対の方向の力(=抗力)に分解して理解されている。機体は、重力が生む下方向の力を、翼が生む垂直方向の力(揚力)によって打ち消すことで、自由落下に陥ることを免れる。
平らな板状のものでも迎角があれば揚力は発生する。ただし、上面は曲面にしたほうが、揚力はいくらか大きくなる。翼から空気の流れが離れて乱流が発生しまうことを防ぐことができ、そのほうが、翼で発生する揚力は大きくなるからである。迎角は補助翼によって生む力で機体の前後の傾きを変化させ調整する。
ライトフライヤー号

ライト兄弟は、ライトフライヤー号に12馬力と推定されるエンジンを搭載し、2つのプロペラを駆動し推進力を作り出し、固定された2枚ののたわみ翼で揚力を作りだし飛行した。補助翼は主翼の前にあり、現在の一般的な飛行機が補助翼が主翼の後ろにあるのと比べ前後が反対である。操縦者はふせる姿勢でレバーを握り飛行の姿勢を制御した。地表から数十cmの高さを水平に飛行させ、4回の飛行を繰り返し、記録を伸ばし、4回目に59秒間で260mの飛行を行った。
ライトフライヤー号では、ほぼ直線的な飛行しかできなかったが、やがて旋回ができる機体が開発されることになった。
第一次世界大戦初期、飛行機による敵地の偵察が開始された。最初は武器も搭載せずパイロット同士はのどかに手を振り合うなどしていたが、やがて飛行中に空中で物を投げつけたり、互いに拳銃で撃ち合ったりするようになった[11]。第一世界大戦中には機関銃を搭載した戦闘機による空中戦が戦術として定着した。
飛行技術の高度化は様々な方向で行われ、一つには空中で自在に動くことを目指した。機体の改良と操縦テクニックの発達により宙返り、ローリング、背面飛行などが可能となった。空中戦で、敵機に対して有利な位置をとるために用いられた。
別の目標としては高速化があった。1947年には米国のベル社のX-1で水平飛行での音速を超える水平飛行(超音速飛行)を実現した。
なお現在のジェット旅客機は、巡航時に10,000m(30,000フィート)ほどの高度を飛行するが、その巡航速度は対気速度で言えば860km/m前後で、音速のおよそ0.83倍に相当する。なお高高度では空気が極端に薄くなるため、揚力が下がり、中・低速では飛ぶことができない。また旅客機は一般に音速で飛べるようには設計されておらず速度に上限もある。
回転翼機での飛行
(左)シングルローターのヘリによる飛行(ロビンソン R22)(右)ツイン・ローター機による飛行(ボーイング・バートル CH-47) | ||
回転翼機は、いくつか変遷を経たがヘリコプターが代表的である。
ヘリコプターでは機体の上方で翼を回転させることで揚力を発生させて飛行する。大きな特徴のひとつは、ホバリングができることである。
メインの回転翼(ローター)が一つのタイプ(「シングル・ローター」という)のヘリコプターでは、メインローターによって機体に反作用が生じて回転することをテールローターによる逆向きの力で防ぐ。
前進・後進・横方向などへ移動は、メインローターの回転面を進行方向へ傾けさせることで行う。メインローターは回転の角度に応じて、素早く迎角の変化(フェザリング)を繰り返すように出来ており、例えば機体の後方あたりで迎え角が大きくなるようにし揚力が大きくなるようにすると、回転面が前に傾くので、機体は前方に進みはじめる。
主たる回転翼が2つのものはツインローターと呼ばれており、2つのローターが逆方向に回転することで、反作用を互いに打ち消す。前後左右に移動する原理は、シングルローターのタイプと同じである。
電動マルチコプターの飛行
- 無人機
3つ以上のローターを備えた回転翼機のことをマルチコプターと言う。小型の電動のマルチコプターが2000年代、特に2010年代以降に急激に普及し、空中撮影などにさかんに活用されている。
- 有人電動マルチコプター

人を乗せて飛行させるマルチコプターも、2011年ころから実験機やプロトタイプなどとして開発が行われ、パイロット無しで、行き先を告げたり設定するだけで自立的に目的地まで飛行する、いわば「自動操縦の空中タクシー」のようなマルチコプターを2017年に導入する計画をUAEのドバイが発表したり[12]、また2018年には大手航空機メーカーのボーイング社も最大積載量200kg超のマルチコプター機の開発に乗り出したり[13]、中国で有人マルチコプターの製作や試験飛行に成功するなど[14]、いくつもの国で開発が精力的に行われている。エアバス社も参入し、電動モーターで飛行するが、航空会社の強みを生かすために主翼をそなえたデザインを採用している。

アメリカのオープナー・ブラックフライ(Opener BlackFly)はすでに実用的な乗り物として販売が行われている。機体の重さがわずか142 kgなので、アメリカでは免許不要で飛べ、価格も日本円で数百万円相当なので、主に富裕層をターゲットに新しくて便利な乗り物として販売が行われ、2022年時点で大量生産および納品が行われている。
スウェーデンの会社Jetsonが開発した一人乗りの電動マルチコプターも2021年時点ですでに、普通に、販売が行われている[15]。日本は有人電動マルチコプターの開発に関しては少し後手にまわったが、愛知県豊田市で設立されたSkyDriveが2020年8月電動マルチコプターの実験機SD-03の有人実験飛行に成功した[16]。
中国では早い段階から自動操縦機能を搭載したものが開発され、2022年時点ですでに実用化しており一般を乗客にした遊覧飛行が行われている。
これらの機体が実際に飛行する様子はYouTubeに、各メーカーが公式動画をいくつもアップロードしている[17]。各社の公式ページに自社の機体の飛行の動画が掲載されていることも多い。
有人電動マルチコプターは2022年時点ではまだ始まったばかりの段階であり、機体全体のデザインや構成に関して「典型的なパターン」や「正解のパターン」のようなものが定まっていない。
ハンググライダー
パラグライダー、パラモーター
「鳥人間」的な飛行

飛行機などに乗るのではなく、できるだけ鳥のような感覚で飛ぶ方法があり、一つはジェットエンジンのついた小さな固定翼だけを背中に背負い、「人間ジェット機」になって飛ぶものである。元スイス空軍の戦闘機パイロットで現在は旅客機のパイロットをしているイブ・ロッシーが、趣味としてジェットウィングの開発・改良を重ね、2008年9月26日にはドーバー海峡をフランスから英国側までおよそ35kmほど飛行することに成功した。小型飛行機に乗り、フランス側の高度2500mでスカイダイビングの要領で空中へ飛び出しジェットエンジンを始動。水平飛行に移り、時速200km/hを超える速度で英国へと飛行し、目的地上空へ近づいた段階でジェットエンジンを停止し、パラシュートを開いて着陸した。およそ10分ほどの飛行であった。翼は形が変化する箇所(フラップやエルロンなど)は一切なく、飛行姿勢の制御は、ロッシー自身が自分の手や脚の角度をかすかに変化させることで行う。飛行速度が200km/hと十分に高速であるため、手のひらをわずかに動かすだけでも激しくロールし、足のつま先をわずかに動かすことが飛行機の尾翼の操作に相当する。

また、グライダーを極端に小さくしたようなウイングスーツで「人間グライダー」のように滑空を楽しむこともできる。1999年にはフィンランドのBIRDMAN社からウイングスーツが初めて市販された。崖の上から空中に飛び出して滑空したり、飛行機から空中に飛び出して滑空に入る。2011年5月28日には、米国カルフォルニア州で伊藤慎一が、上空9,754mから降下し水平距離としては23.1km(=23,100m)、これを5分で滑空したという。
その他の手段による飛行
マリンスポーツの一種「フライボード」では、ホースから噴出させた水の圧力で、最高10m近くまで空中に浮かび上がることができる[18]。
飛行の動きに関する用語
参考文献
- ユッタ・シュトレーター-ベンダー『天使 ― 浮揚と飛行の共同幻想』 青土社、1996年