超音波顕微鏡
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概要
超音波の伝播速度が組織や素材によって異なる事を利用する[1]。従来の光学顕微鏡であれば生物の組織を検査する時に染色処理などが必要だったが、染色する過程で細胞は死滅してしまう例が多々あったが、超音波顕微鏡であれば試料をそのような処理をせずにin vitroで可視化できる[1]。周波数が100MHzから3GHzの超音波パルスを試料に照射してその反射波や透過波を圧電素子で受信して試料表面や光学的には不可視の内部構造などを観察する[2]。空間分解能は周波数に反比例するので、高周波数超音波を用いることで高解像度の生体組織、内部構造の画像化が可能になる[1]。分解能は超音波周波数に依存し、水カプラを用いた場合、1GHzで1μm程度の分解能をもつ。
走査型超音波顕微鏡
超音波インピーダンス顕微鏡
従来の超音波顕微鏡は無染色の組織に音響的に色付けすることが可能になったものの、試料を薄く切る必要があったので光学顕微鏡用試料の作成と同様の特別な器具と手間が必要だったが、従来の超音波顕微鏡での組織を透過してガラス面で反射した超音波を捉える方法とは異なり、超音波インピーダンス顕微鏡ではプラスチック板を透過して組織の表面で反射した超音波を捉える[1]。
超音波力顕微鏡
半導体検査への応用
半導体産業では、走査型超音波顕微鏡は封止パッケージの信頼性評価における標準的な検査手法となっている。IPC と JEDEC が共同で制定した規格 J-STD-035 は、非気密プラスチック封止部品の剥離・クラック・ボイドを超音波顕微鏡で検出する手順を定めたもので、1999年に初版が発行され、2022年に J-STD-035A として改訂された[10]。半導体の微細化・多層化・高密度実装の進展やウェーハ接合プロセスの普及に伴い、検査対象はパッケージ部品から接合済みの300 mmウェーハへと広がり、量産ラインでは搬送・検査・判定・仕分けまでを自動化したインライン装置が実験室用装置と併用されている[11][12]。パワー半導体分野では、DCB・AMB セラミック基板とチップ・ベース板との接合層のボイド検査に用いられる[13]。
半導体業界ではこの種の装置を走査型超音波断層撮影装置(scanning acoustic tomograph、SAT)と呼ぶことも多く、日立パワーソリューションズは FineSAT シリーズをこの名称で製品化している[12]。一方、C-SAM の名称は米国 Sonoscan(現 Nordson SONOSCAN)に由来する[14]。
用途
- 生体組織の観察
- 非破壊検査
- 半導体パッケージ・ウェーハの内部欠陥検査
主な製造企業
| 企業 | 国 | 主な製品と特徴 |
|---|---|---|
| Nordson SONOSCAN | アメリカ合衆国 | 「C-SAM」の名称を生んだ Sonoscan が前身で、2018年に Nordson に買収された[14]。 |
| 日立パワーソリューションズ | 日本 | FineSAT シリーズ。「Scanning Acoustic Tomograph」の製品名を用い、2022年時点で累計約2,400台を販売したと発表している[12]。 |
| PVA TePla Analytical Systems | ドイツ | SAM 300・400・1000/2000 シリーズと全自動の SAM Auto Line。5〜400 MHz の探触子を用いる[15]。 |
| MIT Co., Ltd.(エムアイティ、韓国) | 韓国 | SFSAT シリーズ。複数のプローブを同時に駆動する全自動インライン装置で、ディープラーニングによる自動判定と非浸漬方式を採用していると報じられている[16][17]。 |