通信詐欺罪

From Wikipedia, the free encyclopedia

通信詐欺罪(Wire Fraud。電信詐欺罪と称されることもある。)は、詐欺計画の実行目的で通信手段を利用することを処罰する規定である。合衆国法典18巻1343条(18 U.S.C. § 1343)に定めが置かれている。関連条文は、以下のとおりである。

合衆国法典18巻1343条

詐取し、又は欺まん的な見せかけ、表現、若しくは約束によって金銭若しくは財産を取得するための計画若しくは技巧を企て、又は企てようとしている者であって、当該計画若しくは技巧を実行する目的で、州際若しくは外国通商における電信、電波、若しくはテレビ通信を通じて、書面、署名、信号、図画若しくは音声を送信し、又は送信させた者は、本章の規定に基づく罰金又は20年以下の拘禁刑若しくはその両方に処する。(後段は省略。一定の行為について法定刑を長期30年以下の拘禁刑に加重している。)

Whoever, having devised or intending to devise any scheme or artifice to defraud, or for obtaining money or property by means of false or fraudulent pretenses, representations, or promises, transmits or causes to be transmitted by means of wire, radio, or television communication in interstate or foreign commerce, any writings, signs, signals, pictures, or sounds for the purpose of executing such scheme or artifice, shall be fined under this title or imprisoned not more than 20 years, or both.


合衆国法典18巻1346条

本章において、「詐取するための計画若しくは技巧」は、他者から誠実なサービスを受ける無形の権利を詐取するための計画又は技巧を含むものとする。

For the purposes of this chapter, the term “scheme or artifice to defraud” includes a scheme or artifice to deprive another of the intangible right of honest services.


合衆国法典18巻1349条

本章に規定された違反行為に及ぶことを試み、又は共謀した者は、当該試み又は共謀の目的である違反行為に定められた刑と同様の刑に処する。

Any person who attempts or conspires to commit any offense under this chapter shall be subject to the same penalties as those prescribed for the offense, the commission of which was the object of the attempt or conspiracy.


本罪の趣旨は、米国内の電信通信が詐欺的に用いられることの防止である[1]。行為要件(actus reus)としては、通信手段の使用行為を立証すれば足り、後述のとおり、通信手段の使用行為が欺罔行為そのものを構成している必要はない。また、主観的要件(mens rea)としては、「計画若しくは技巧」を企てる意図を立証すれば足りる。連邦検事にとってのストラディバリウスに例えられるように[2]、本罪はその適用範囲の広さゆえ、幅広く用いられている。

なお、本罪と同様の規定として、合衆国法典18巻1341条に、郵便詐欺罪(mail fraud)が定められている。郵便詐欺罪は、詐欺計画の実行目的で郵便を使用する行為を処罰しているところ、通信詐欺罪と同様の主観的要件が定められているため、郵便詐欺罪の「詐取する意図」要件の解釈は、通信詐欺罪にも同様に妥当するものと解されている[3]

(1)    行為要件

本罪は、行為要件として、「電信、電波、若しくはテレビ通信を通じて、書面、署名、信号、図画若しくは音声を送信し、又は送信させた」ことを要求している。郵便詐欺罪と同様、本罪は、あらゆる詐欺行為を処罰対象としているのではなく、通信の利用が詐欺の実行の一部(“a part of the execution of the fraud”)を成している詐欺行為のみを処罰対象とし、それ以外の詐欺行為の規制は州法に委ねている[4]。そのため、通信詐欺の成立には、単に通信手段を利用するだけでは足りず、通信の利用が詐欺の実行の一部を構成していることを要する。例えば、自己費消目的での小切手の振出行為後に行った現行への当該小切手の郵送行為[5]や、クレジットカードの不正使用後の加盟店からの請求書の郵送[6]は、詐欺計画の完遂後の行為にすぎないことから、詐欺行為の一部を構成しているとは認められないとされている。

もっとも、通信の利用は、詐欺の必須要素である必要まではなく、詐欺行為の本質的部分に伴っているか(“incident to an essential part of the scheme”)、詐欺の筋書きの一歩(“a step in the plot ”)であれば足りる[7]。連邦最高裁は、被告人が、中古車の走行距離計の数値を改ざんした上で、販売業者に対し、当該中古車を改ざん後の走行距離を前提とする価格で売却するという詐欺計画を継続的に実行したという郵便詐欺の事案において、当該販売業者が、当該中古車の再販売に当たり、顧客に権利を移転するために州交通局に「権原申込フォーム(title-application form)」を郵送する行為は、顧客への権利移転が当該詐欺計画の永続性を保つ上で必須の行為であることから、詐欺行為の本質的部分に伴うものであり、詐欺の実行の一部に該当すると判断した[5]

(2)    管轄要件

本罪は、「州際若しくは外国通商」における電信通信等を通じた送信行為のみを処罰対象としている。「州際若しくは外国通商」に該当しない通信行為の規制は、連邦政府の権限として認められていないためである[8]

本罪には、「州際若しくは外国通商」という文言が定められているものの、それ以外に域外適用を明確に示す文言が存在しないことから、本罪の域外適用は認められない[9]。もっとも、通信の発信地又は目的地が合衆国内であれば、行為者が合衆国外に所在していたとしても、本罪の適用は妨げられない[10]。1349条による未遂ないし共謀の処罰についても同様である[5]

2 詐取するための計画若しくは技巧

3 誠実なサービスを受ける無形の権利(honest service fraud)

脚注

Related Articles

Wikiwand AI