野宿火
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類話
寛保時代の雑書『諸国里人談』には「森囃」(もりばやし)と題して以下のような話が述べられており、『絵本百物語』の「野宿火」は、この「森囃」を描いたものと考えられている[5]。
享保時代初期。信濃坂(現在の岐阜県中津川市と長野県阿智村の境にある神坂峠)である年の夏、毎晩のようにどこからか囃子の音が聞こえ、笛や太鼓や数人の声が十町(約1キロメートル)四方に響くようになった。それらの音は近くの森の中から音がすることが次第にわかったが、その場所では篝火が焚かれているのみで、人の姿はなく、ただ囃子の音だけがしていた。翌朝にその場所を見ると、木の枝の燃えさし、1尺ほどに切られた竹などが捨てられていた。噂を聞いた人々は、面白がってこの怪異を目にしようと、その地に多くの見物人が集まるようになった。やがて、秋、冬と季節が流れるに連れて囃子の音は弱まっていったが、翌年の春頃には、謎の囃子の原因が一向につかめないことから人々は恐怖心を抱き、囃子の流れる夜になると決して外出しないようになった。春が過ぎると囃子の音は途絶え、ついに正体はわからないままだったという[6]。
脚注
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- ↑ 竹原春泉『桃山人夜話 絵本百物語』角川書店〈角川ソフィア文庫〉、2006年、64頁。ISBN 978-4-04-383001-5。
- ↑ 前掲『桃山人夜話 絵本百物語』64頁より引用。
- ↑ 水木しげる『図説 日本妖怪大全』講談社〈講談社+α文庫〉、1994年、357頁。ISBN 978-4-06-256049-8。
- ↑ 草野巧『幻想動物事典』新紀元社、1997年、231頁。ISBN 978-4-88317-283-2。
- ↑ 多田克己 編『竹原春泉 絵本百物語 -桃山人夜話-』国書刊行会、1997年、129頁。ISBN 978-4-336-03948-4。
- ↑ 菊岡沾涼 著「諸国里人談」、柴田宵曲 編『随筆辞典』 第4巻、東京堂、1961年、424頁。 NCID BN01579660。
