金属天井

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金属天井

金属天井(きんぞくてんじょう)とは、建築材料の一種で、ブリキなどの金属の板プレス成型した天井板である。

金属板で仕上げられた天井は、19世紀後半-20世紀初期のヴィクトリア朝時代のアメリカで非常に人気があった[1]。また、オーストラリアでも人気があり、「メタルシーリング」または(オーストラリアの大手メーカーであるワンダーリッヒ社にちなんで)「Wunderlich ceiling」の名で知られていた[2]。南アフリカでも使われていた[3]

金属天井は、ヨーロッパの家屋で使用されている漆喰細工の安価な代替品として北米に導入された。1800年代後半、アメリカ人が洗練されたインテリアデザインを求めるようになるに従って人気を博すようになった。金属天井は、家庭や事業所のオーナーにとって手っ取り早く取り入れることができる機能的で魅力的なデザイン要素であると同時に、耐久性・軽量性・耐火性に優れている点をアピールした。しかし、ジョン・ラスキンジョージ・ギルバート・スコットチャールズ・イーストレイクウィリアム・モリスと言った有名な芸術評論家によって、プレス機で作った偽物の素材が建築に使われるという点が議論の的となった。これらの批評家は、別の素材を模倣することは道徳的に間違っている、つまり「偽装」であると思っており、金属天井を使うことは社会を誠実な建築ではなく「悪魔の芸術」へと導く堕落だと非難した[4]。にもかかわらず、金属天井は漆喰天井よりも長持ちし、手入れが簡単だったので普及した。言うなれば、金属天井は民主主義の思想をカプセル化し、当時の機械産業を支持した中産階級の大衆でも上流階級のような装飾を利用できるようにせしめたと言える。

装飾的なデザインを施された金属天井は、1870年代初め頃よりアメリカで使われるようになった[5]。金属天井の材料は、当初は鉄板が使われていたが、ヴィクトリア朝時代末期には圧延ブリキ板が大量生産されるようになった。「ブリキ」とはを溶かしたドブ漬けしたもので、元々は錆を防ぐための物であった。その後、よりコスパの良いソリューションとして、鉄の代わりに鋼が使われるようになった。金属天井の材料としてはブリキが多かったが、銅、鉛(ターンプレートとして知られる)、そして亜鉛も一般的な建築材料として業界でよく使われた。

1890年から1930年にかけて、アメリカでは約45社が金属天井を販売していた。ほとんどのメーカーはオハイオ州・ペンシルベニア州・ニューヨーク州の、鉄道の路線沿いにあり、鉄道はプレス加工された金属製品を土建業者に直接配送するための主要な経路として機能した。ウェストバージニア州ホイーリングにあったWheeling Corrugating社は、現代においては歴史的建築の「en:Wheeling Corrugating Company Building」で知られているが、元々は1800年代後半の大手金属天井メーカーであった。当時のWheeling Corrugating社は大型の製鉄所で、自社の鋼板を使って屋根材や外壁材なども製造していた[6]

当時のプレス成型は、ロープ吊り下げ式のハンマーと鉄製のモールドを使って、ブリキの板金を1度に1枚ずつスタンピングするという方法で行った。金属天井はこの製造方法を利用して板金に装飾文様を付けたもので、金属は2つの連動機構の間に挟みこまれる。つまり、上部の機構(上ラム)を、ロープ又はチェーンで釣り上げた後、モールドめがけて落下させ、下にある板金を打ち付けることで、ブリキ板に複雑なパターンが恒久的に刻み込まれることになる。この近代的機械の芸術的可能性を評価したのは、フランク・ロイド・ライトであった。『Architectural Record』誌から出版された"The Art and Craft of the Machine"(「機械時代のアートとクラフト」)および"In the Cause of Architecture"(「建築のために」)と題する記事において、ライトは科学と芸術に関する近代的理論と未来の芸術において機械が果たす役割とを詳しく述べている。

個人の邸宅に設置された金属天井。オーストラリア、クイーンズランド、1906年

金属天井は伝統的に白く塗られており、手彫りの漆喰細工のように見える。それらは、住宅の居間やパーラー、学校、病院、商業施設などにも設置され、また塗装されたブリキが腰壁の羽目板として使用されることもあった。

第二次世界大戦中の金属くず回収運動によって、1930年代に入ると金属天井が一般的ではなくなり始め、鉄が不足し始めた。多くの板金会社は、商売を続けるために別製品を作り始めた。しかし21世紀に入ると、金属天井に新たな関心が寄せられるようになっている。元々は古い建築物の改修に携わるリノベーション業界における動きだったが、そこから「Turn of the century(世紀の変わり目)」の時代に対するノスタルジアへと波及した。W.F. Norman Corporationは、現在もなお1898年当時と同じロープ吊り下げ式のハンマーを使って、ブリキの板金に装飾文様を付けた金属天井を作り続けている[7]。また、昔のデザインの金属天井を現代の天井にフィットするような形で提供しているメーカーも存在する。

修復

現代の金属天井

参照

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