閉包作用素
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定義
半順序集合上の定義
半順序集合 上の自己写像
が、任意の に対して次の三条件を満たすとき、 を 閉包作用素 という。[1]
- 拡大的(extensive, inflationary):
- 単調(monotone, isotone):
- 冪等的(idempotent):
を満たす元 を に関する 閉元(closed element)という。冪等性により、閉包作用素の像と不動点集合は一致する。[1][4]
冪集合上の定義
集合 の冪集合 上の写像
が、任意の部分集合 に対して
を満たすとき、これを 上の閉包作用素という。 を の 閉包 と呼ぶ。[1]
前閉包作用素
冪等性を課さず、拡大的かつ単調な自己写像だけを考えることもあり、これは 前閉包作用素(preclosure operator)と呼ばれる。通常の閉包作用素はその特別な場合である。[5]
閉集合系との対応
基本性質
例
位相空間における閉包
位相空間 において、各部分集合 にその位相的閉包 を対応させる写像
は閉包作用素である。[5] さらに
が成り立つ。この2条件を加えたものがクラトフスキーの閉包公理であり、位相的閉包作用素を特徴づける。[5]
線型包・生成部分代数
ベクトル空間 の部分集合 に対して、その線型包
を対応させる写像は閉包作用素である。同様に、群における生成部分群、環における生成部分環、普遍代数における生成部分代数を与える作用素も閉包作用素である。[1]
正規閉包
群 の部分集合 に対し、 を含む最小の正規部分群
を対応させる写像は閉包作用素である。[1]
凸包
実ベクトル空間の部分集合にその凸包を対応させる作用素
も閉包作用素である。[1]
順序イデアル生成
順序集合 の部分集合 に対し、それが生成する順序イデアル
を対応させる作用素も閉包作用素である。[1]
有限型閉包作用素
有限閉包系
含意系による記述
形式概念分析との関係
形式概念分析(Formal Concept Analysis, FCA)では、対象集合 、属性集合 、両者の二項関係 からなる 形式文脈(formal context)
を考える。対象の部分集合 に対し、 のすべての対象に共通する属性全体 を、属性の部分集合 に対し、 のすべての属性を共有する対象全体 を対応させると、これらはガロア接続をなす。[9]
このとき
は 上の閉包作用素であり、
は 上の閉包作用素である。[9]
FCA における 形式概念 は、 かつ を満たす組 として定義される。これらの全体は包含順序のもとで概念束(concept lattice)をなす。[9][10]
FCA において閉包作用素は、概念を定義するだけでなく、属性間の依存関係を含意として抽出する役割も担う。Ganter による Next Closure は、閉属性集合を辞書式に列挙する標準的手法であり、概念束の計算および含意基底の構成に広く用いられる。[8]
Horn 論理との関係
基底と正準基底
アルゴリズム的側面
ガロア接続との関係
完備束・代数的束との関係
閉包作用素全体の束
nucleus
内部作用素との双対
閉包作用素の双対概念は内部作用素(interior operator)であり、半順序集合上の自己写像
であって、
を満たすものである。冪集合上では補集合演算により閉包作用素と内部作用素は相互に移り合う。[1]