電気盆
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電気盆(でんきぼん、Electrophorus)とは、静電誘導を利用して電荷を集める器具である。発明は1764年にスウェーデンの教授ヨハン・ヴィルケ (Johan Carl Wilcke) によってなされた[1][2]が、1775年にそれを改良し、世間に広く知らしめたのはイタリア人アレッサンドロ・ヴォルタである[1]。ヴォルタはしばしば電気盆の発明者だと間違って言及される[3][4]。"elecrtoporus"という語はギリシア語の"ήλεκτρον(elektron)"と"ϕέρω(phero)"をヴォルタが組み合わせた造語で、「電気を運ぶもの」を意味する[5]。
電気盆は誘電体(元来はピッチやロウ、現代ではプラスティック)の円盤、金属製の円盤、絶縁体の取っ手から成る[6]。使用法は以下の通り。[2]
- まず、誘電体の円盤を毛皮か布で擦って摩擦帯電させる。
- 次に、金属円盤を誘電体円盤の上にかざす。すると誘電体円盤の電荷(下図ではマイナス)による電界が金属円盤中の電荷に作用して、誘電体円盤に近い側に異符号(プラス)、遠い側に同符号(マイナス)の電荷が現れる(→静電誘導)。
- そして、金属円盤の上面から電荷(図ではマイナス)を逃がしてやる(具体的には上面を指で触るなどすればアースできる)。そうすると、金属円盤には誘電体の円盤とは異符号の電荷(この場合ではプラス)だけが残ることになる。

金属円盤に残った電荷は放電させることが可能である。また2と3の手順は何度でも繰り返すことが可能であり、原理的には得られる電荷に上限はない。そのためヴォルタはこの器具を"elettroforo perpetuo"(elettroforo=電気を運ぶもの。perpetuo=永続的な)と呼んだ[7]。
かつて存在した最大の電気盆の例は、ドイツの科学者ゲオルク・クリストフ・リヒテンベルク(Georg Christoph Lichtenberg)が1777年に製作したものである[5]。それは約6フィート(約2m)の直径があり、金属の円盤部分は滑車で上下された。15インチ(約40cm)の火花を飛ばすことが可能だったと報告されている。リヒテンベルクはその放電を、リヒテンベルク図形(Lichtenberg figure)として知られる奇妙な樹形の模様を創り出すために使用した。