青天

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発行日 2026年2月20日
発行元 文藝春秋
ジャンル 青春小説・スポーツ小説
青天
アオテン
著者 若林正恭
発行日 2026年2月20日
発行元 文藝春秋
ジャンル 青春小説・スポーツ小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判
ページ数 304
公式サイト books.bunshun.jp
コード ISBN 978-4-16-392066-5
ウィキポータル 文学
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青天』(アオテン)は、若林正恭による日本の長編小説[1]。お笑いコンビ・オードリーのメンバーである若林にとって初の小説作品[1]

1999年(平成11年)の東京を舞台に、高校で2回戦どまりのアメリカンフットボール部に所属する主人公が引退試合で強豪校に敗れた後、自分自身の不甲斐なさにもがきながらも再びアメフトと向き合う姿を描く青春小説[1][2][ep 1][ep 2][ep 3][ep 4][ep 5]

2024年7月17日から2025年4月11日までnoteに掲載されたのち、大幅に加筆修正を加え2026年2月20日に文藝春秋より単行本が刊行された[1][2]

『青天』というタイトルは、アメリカンフットボール用語で「試合中に仰向けに倒されること」を意味する「アオテン」に由来する[3][4]

2025年12月6日にラジオ番組「オードリーのオールナイトニッポン」で出版が発表されると話題になり、予約段階で発売前重版が決定した[3]。発売直後から全国の書店で売り切れが続出し、2026年3月には10万部の重版が決定、発売2週間で累計発行部数が28万部を突破する異例のヒットとなった[4][5]。同年4月には6週連続でオリコン文芸書ジャンル1位を獲得している[6]

制作背景

若林はもともと、高校時代のアメフト部の仲間との会話の中で得た「試合の結果より、一瞬のプレーの方に永遠性がある」という感覚をエッセイで伝えようとしていたがうまくいかず、「300ページぐらい使わないと説明できない」と考え、小説という形式を選んだ[7][8]

また、2024年に行った「オードリーのオールナイトニッポン」の東京ドームライブを終え、時間に余裕が生まれたことも小説執筆を後押ししたという[4]。若林は「アメフトが好きだけど年齢的にもうプレーはできないので書くしかない」とその想いを語っている[4]

作品の舞台は1999年(平成11年)に設定されており、これは当時高校3年生だった若林自身の現役時代と重なる[4]。タイトルはアメリカンフットボール用語の「アオテン」を漢字で「青天」と表記したもので、編集者から「青天(セイテン)」としての出版を提案されたが、アメフト経験者として「アオテン」の読みにこだわり、カタカナ表記を採用したというエピソードがある[4]

登場人物には特定の実在人物をモデルにしたキャラクターはおらず、様々な人物の要素をひとつのキャラクターに丁寧に固めたと若林は語っている[9]。また、ストーリーを事前に考えることはなく、キャラクターが勝手に動いていくのを後から書き留めるような感覚で執筆したという[9]

あらすじ

総大三高アメフト部の中村昴(通称アリ)は、2回戦で姿を消す弱小チームの一員だった。3年生の春、引退試合を前に、チームメイトの河瀬と対戦相手の練習を隠し撮り、スペシャルプレーを練り万全を期したものの、強豪・遼西学園の前には力の差が歴然。あえなく敗退を喫する。

引退後、仲間たちがこぞって受験勉強に励むなか、アリだけはどこか心が定まらない。かといって不良に足を踏み入れる覚悟もなく、ただただ中途半端な日々を漂う。アリは自分の無力さに悶えながらも、新キャプテンに就任した後輩の高山に復帰を誘われたこともあり、再びアメフトと真正面から向き合う決断を下す。

チームに復帰したアリは、後輩たちとともにグラウンドに立つ。華やかさとは無縁の泥臭い練習を重ね、体をぶつけ続ける。

もはや試合の勝敗よりも、その一瞬のプレーにすべてを懸ける高校生たちのひたむきな熱量。そこには、結果を超えた場所で燃え上がる、青春そのものがあった。

登場人物

主要人物

アリ / 中村昴(なかむら すばる)
本作の主人公で視点主[ep 1]。総大三高のアメフト部員。ポジションはランニングバック。2回戦どまりの弱小チームにあって、アメフトに全てを懸ける。
引退試合で敗北した後、評定が悪く大学への内部進学の道もなく空虚な日々を過ごすが、再びアメフトと向き合う決意をする。
中学ラグビー部時代、背が小さくボールを持って走る姿がエサを運ぶアリの姿のように見えて「アリ村」と呼ばれ、いつしか村が抜けて渾名がアリとなった。
河瀬司(かわせ つかさ)
総大三高のアメフト部員[ep 1]。アリの同級生で友人。チームの戦術担当。ポジションはオフェンシブタックル。180センチと高身長だが細い体躯。テンションが低い。
父親がアメリカの大学出身でNFLは勿論、カレッジの試合のビデオテープを多数所有し、幼いころからそれを見続けてアメフトオタクに育つ。
高山(たかやま) / チョモ
総大三高のアメフト部員でアリの後輩[ep 1]。ポジションはクォーターバック。1年時、バイトで不在であった近野に代わり経験不足ながら試合でクォーターバックを務めた。
そのため練習後に荻窪のケンタでアリの開いた勉強会でプレイコールを教わり、彼を慕っている。3年生が引退後、キャプテンに就任。
岩崎
総大三高の女性倫理教師[ep 2]。アリからの倫理の質問を通して、「運命」や「自由」など人生の本質的なテーマについて深い対話をする。

総大三高

アメフト部

狭山(さやま)
キャプテン[ep 1]。アリの同級生。実家の家業が青果店。
近野(こんの)
アリの同級生[ep 1]。ポジションはクォーターバック。要のポジションながら、部活に対してのモチベーションが低い。
2年時の夏休みは、合宿以外は住み込みで海の家のバイトをし、丹波たち不良グループとツルみ部活に現れなかった。
岡本
アリの同級生[ep 1]。ポジションはセイフティ。中学時代はアリと同じラグビー部だった。
ディフェンスとしてアリにライバル心を持ち、大学でもアメフトを続けると宣言している。
秋山
アリの同級生[ep 1]。ポジションはディフェンシブエンドナインティナインのラジオ番組のファン。
ツル / 鶴田(つるた)
アリの後輩[ep 3]。ポジションはランニングバック。高山の提案でフルバックからコンバートしている。
ウーマ / 本間(ほんま)
アリの後輩[ep 3]。ポジションはランニングバック。高山の提案でワイドレシーバーからコンバートしている。アリの復帰を快く思っていない。
畠山(はたけやま)
アリの後輩[ep 3]。ポジションはラインバッカー。アリの復帰を快く思っていない。
松原(まつばら)
アリの後輩[ep 3]。ポジションはラインバッカー。ポジションリーダー。
クマ / 大隈(おおくま)
アリの2つ年下の後輩[ep 3]。ポジションはラインバッカー。 1年生で伸び代がある選手と目を付けられている。清春みたいな髪型。
ダイブツ / 大江(おおえ)
アリの後輩[ep 3]。ポジションはオフェンシブタックル。体がデカく、無口で無表情。大仏に顏が似ていることが渾名の由来。
アリと高山が続けた練習後の筋トレや朝練に、ただ一人黙ってやめずついてきたことから、アリからは高山と同じく伸びた選手と見なされている。

不良グループ

丹波圭之介(たんば けいのすけ)
アリの同級生[ep 2]。高校進学時に三高へ編入してきた外部生。ロン毛にカチューシャ、左耳にピアスをつけ、ファッション誌に取り上げられるなど目立つ存在。
不良グループの中心人物で、渋谷のクラブで開いた自身のバースデイパーティーでDJプレイを披露し、バイクを盗んで仲間内で共有して乗り回す。
北澤(きたざわ)
アリの同級生[ep 2]。アリ曰く、丹波の犬。アリ、近野、丹波たちとツルんで、学校帰りに大久保の雀荘で麻雀を打つ。

教職員

水田(みずた)
アメフト部顧問[ep 1]。付属中学の職員。アメフト未経験者。練習には一切現れず、夏合宿と公式戦の時だけ顔を出す。
只野(ただの)
古典教師[ep 2]。元予備校講師で、授業中に自分の講義で3人の東大生を輩出したと自慢話を始める。
川田
アリのクラス担任[ep 1]。日本史教師。
草間(くさま)
アリが2年生だった時のクラス担任[ep 1]。アリの出席日数が足りなかいことをごまかして、進級させてくれた。

遼西学園

伊部(いべ)
アメフト部のキャプテン[ep 1]。関東代表。ポジションはセイフティ。40ヤード走4・6秒。アリと同学年。
練習の隠し撮りがバレて逃走するアリの鳩尾にタックルして取り押さえ、アリの引退試合でも完膚なきまでに叩き潰す。

その他

珍来の店主
三高の正門正面にある中華料理店の店主[ep 1]。アリたち学生客を相手に常に冗談を振りまく。
ミサト
丹波の彼女[ep 2]。アリは彼女を渋谷のクラブで開かれた丹波のバースデイパーティーで見かける。
浦野
アリの中学ラグビー部の3つ上の先輩[ep 2]。アリが中学1年生の時からの付き合い。
アリは彼から日本語ラップを一から教わり、ゲーセン、カラオケ、ビリヤード、喫茶店、高円寺の古着屋、江ノ島、居酒屋など初めての場所に連れていってもらう。
日下部(くさかべ)
総大三高アメフト部OBで、アリの1年上の先輩。ポジションはクォーターバック。強肩で三高を都ベスト4に導いた立役者。

用語

アメフト用語

アオテン(青天)
試合中に選手が仰向けに倒されること。本作のタイトルの由来[3][4]
スクリメージ
実戦練習。
アサイメント
各ポジションに割り振られた役割。
プレーコール
オフェンスキャプテンが出す攻撃の指示。
ハドル
プレーごとに選手が円陣を組んで作戦を確認、指示する短い会議。
パント
4回の攻撃以内に10ヤードを超えられないと判断した場合、4回目の攻撃権を放棄してキックをして陣地を挽回すること。
カバレッジ
パスプレーに対してディフェンスがレシーバーやフィールドエリアを守る戦術。
スペシャルプレー
通常と異なる動きで相手ディフェンスを欺き、一気にロングゲインやタッチダウンを狙う奇襲戦術。トリックプレー。
リターナー
スペシャルチームでパントやキックオフのリターンを行うスペシャリスト。
オプション
ディフェンスの出方を見てクォーターバックがそのまま走るか、ピッチしてランニングバックを走らせるかを臨機応変に決めるプレー。
ピッチ
クォーターバックがランニングバックへボールを渡す際、サイドライン方向へ下手投げアンダースローで行う短いパス。
ブラスト
主にフルバックがリードブロッカーとなり、テイルバックが中央付近の走路を突き進むインサイドのランプレイ。
ホールディング
相手を掴む反則行為。
フォルススタート
ボールがスナップされる前にオフェンスの選手が動き出し、プレーを開始したと勘違いさせる反則行為。
ミラー
ボールを持ったラインバックとラインバッカーが10ヤード離れ、笛が鳴ったら全力疾走し正面衝突する練習メニュー。
チンスト
アメフト用のヘルメットを顎(チン)の下で固定するストラップ。チンストラップ。

作中に登場する高校

総大三高(そうだいさんこう)
本作の舞台となる中高一貫校。アメフトで2回戦敗退の弱小校。
遼西学園(りょうせいがくえん)
アリが春の引退試合で対戦したアメフトの強豪校。全国大会の常連。
神奈川光
総大三高が夏合宿の最後にアメフトの練習試合を行った神奈川2位の高校。
池ノ上学園
総大三高がアメフトの秋大会第1回戦で対戦する高校。部員にカラーギャングがいて、学内で幅を利かせている。

書誌情報

単行本:2026年2月20日発売[1]文藝春秋ISBN 978-4-16-392066-5

脚注

関連項目

外部リンク

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