高純度鉄
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概要
純鉄の中には主にマンガン、リン、炭素、酸素、硫黄などの鉄以外の元素が多く含まれている。このため、今まで鉄の性質として捉えていたものは鉄本来のものではなく、これらの鉄以外の元素が含まれた鉄合金の性質とも考えることができる。これらの鉄中の不純物を限りなく低くすることで、鉄自身が持つ本来の性質を引き出すことが可能となる。現在、鉄を高純度化することで、延性が向上する、耐食性が向上する、合金化したときの加工性が良くなるなどの性質が確認されている[2]。今後もこれらの特性を生かした新規材料開発が期待されている。
超高純度鉄では純度99.9996%も達成されており、開発者(東北大学金属材料研究所元客員教授の安彦兼次)の名前から「ABIKO-iron」と命名されている。製造コストは高いものの、錆が出ず、塩酸にも溶けないうえ、哺乳類細胞の接着・増殖ができ医療用金属材料への応用できる可能性がある[1]。
製造方法
高純度鉄を製造する方法は大きく分けて2種類あり、乾式法と湿式法がある。乾式法は純鉄を真空中で溶解し脱ガスするVOD法や、純鉄を電極とし溶湯をドリップして精製するESR法などがある。一方、湿式法は酸を溶媒とし、鉄をイオン化させた浴にアノード電極(原料または不溶性陽極)とカソード電極(母板)を挿入し、電気を流してカソード側に鉄を析出させる方法がある。この電気分解を行う方法で特に純鉄をアノードとする方法を電解精製と呼び、これにより製造される高純度鉄を電解鉄と呼んでいる。
湿式法により精製された高純度鉄である電解鉄は日本国内で東邦亜鉛が唯一、工業規模で生産、販売を行っている。世界規模で見ても湿式法により精製された高純度の鉄において、トップシェアを誇る。