感覚
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刺激の受容と感覚
感覚は、動物が外部からの刺激を受けることで生じるものである。この時、刺激を受け取る器官を受容器といい、これは往々にして感覚器官とも言われる。動物は様々な感覚器官を持ち、それぞれがある範囲の種類の、ある範囲の強さの刺激だけを受け取ることができる。たとえば、ヒトの眼は、短波長側が360 nm - 400 nm、長波長側が760 nm - 830 nmの電磁波(可視光線)だけを受け取ることができる。受容器で受け取ることが可能な最適な刺激を適刺激(adequate stimulus)、又は自然刺激(natural stimulus)といい、さらに受け取れる強さの幅を閾値という[1]。それぞれの受容器はこのように限られた刺激しか受け取れないので、動物は多数の種類の受容器を持ち、それらは1,2個しかないものもあれば、全身に無数に持つものもある。
いずれにせよ、受容器が受けとった刺激は脳へ伝えられ、そこで動物が外界に反応するための情報として利用される。ここで受け取られた刺激から動物は自分の外の世界を知るのであり、それが感覚である[要出典]。
ヒトの感覚分類
現在までに知られている主な感覚
太字はいわゆる五感を示している。
- 体性感覚:皮膚感覚(表在感覚)と深部感覚。
- 内臓感覚:内臓に分布した神経で、内臓の状態(動き、炎症の有無など)を神経活動の情報として感知し、脳で処理する仕組み。
- 特殊感覚:視覚(目で見る)、聴覚(耳で聞く)、味覚、嗅覚、平衡感覚がある。
- 視覚:光を網膜の細胞で神経活動情報に変換し、脳で処理する仕組み。感覚器細胞の違い(桿体細胞、錐体細胞)から、明暗感覚の光覚と色彩感覚の色覚に分けることがある。
- 聴覚:音波を内耳の有毛細胞で神経活動情報に変換し、脳で処理する仕組み。
- 味覚:食べ物に含まれる化学物質(水溶性物質)の情報を、舌、咽頭、喉頭蓋などの味覚細胞で神経活動情報に変換し、脳で処理する仕組み。
- 嗅覚:鼻腔の奥にある嗅細胞で、空気中の化学物質(揮発性物質)情報を神経活動情報に変換し、脳で処理する仕組み。
- 平衡感覚:内耳の前庭や半規管などで、頭部の傾き、動き(加速度)などを神経活動情報に変換し、脳で処理する仕組み。特に、前庭についての仕組みを前庭感覚という。
他の感覚
- 固有感覚(運動感覚):体に対する意識(筋、腱内の受容器による筋、腱、間接部の緊張の変化)の知覚である。ヒトが大きく依存する感覚であり、しかしながら頻繁に意識されない感覚である。説明するより更に簡潔に明示すると、固有感覚とは、体の様々な部位の位置する場所を感じているという"無意識"である。これは目を閉じて腕を周りに振ることで演示することができる。固有感覚機能が正確だと思い込んで、どの他の感覚にも感知されていないにもかかわらず、直ぐに実際にある手の位置の意識が無くなるだろう。
- 什痒感:いわゆる「痒み」の感覚。長い間「痒みは“痛み”の軽いもの」と思われていたが、近年[いつ?]、独立した感覚である可能性が示された[2]。
ヒトにはない感覚
ヒトの感覚に類似するもの
他の生物も上記で挙げたような周りの世界を感じとる受容体を持つが、そのメカニズムと能力は幅広い。
- 視覚
- トンボなどの複眼は視細胞の集まり方がヒトの水晶体眼と違うが、どちらもレンズ的な要素を獲得した意味では類似しており、収斂進化の一つと言える。
- ヒトの視覚と仕組みは異なるが、ミツバチは紫外線(ヒトの目には見えない波長の短い光)を見ることができ、マムシやボアは赤外線(ヒトの目には見えない波長の長い光)を見ることができる。
- ネコなどの夜行性動物は、網膜の後ろに「タペタム」と呼ばれるヒトにはない反射膜を持ち、光を反射して増幅することでヒトよりも暗闇でよくモノを見ることができる。
- 聴覚
- コウモリやクジラは、超音波(ヒトの耳には聞こえない高い周波数の音)を発し、反響定位を利用して、自分や獲物の位置を知ることができる。なお、下記に述べられている通り、反響定位自体はヒトの感覚に類似しないものである。
- 嗅覚
- イヌやクマの嗅覚の仕組みはヒトと同様であるが、ヒトよりはるかに鋭い嗅覚を持つ。例えば、イヌの嗅覚はヒトの数千から数万倍とされるが、その能力は有香物質の種類によっても大きく異なり、酢酸の匂いなどはヒトの1億倍まで感知できる。
- 昆虫は嗅覚受容体をその触角に持つ。
- フェロモン受容器
- トカゲやヘビ、多くの哺乳類は、嗅覚とは別に「ヤコブソン器官」と呼ばれるフェロモンを受容する専用器官を持つ。ヒトにも発生初期には存在するが、胎児期に退化してしまうため機能していない。
ヒトの感覚に類似しないもの
- 反響定位(エコーロケーション)
- コウモリやクジラなどは、自分が発した音の反射音によって周囲のものと自分との距離や位置関係を知ることができる。音にはまっすぐ進み反射しやすい特徴をもつ超音波が用いられる。クジラは「メロン体」と呼ばれる器官で反響定位で使用される音の焦点を合わせていると考えられている。洞窟や深海のような暗黒の世界では視覚が役に立たないため、代わりに反響定位が視覚に近い役割を担う。
- なお、上記に述べられている通り、聴覚を用いた反響定位は、ヒトの感覚に類似する。
- 更に、類似するしないを問わず、反響定位はヒトにはない感覚である。にも拘らず、一部のヒト個体にはこの感覚がある。詳細は人間の反響定位を参照。
- 電気感覚
- サメ、エイ、ナマズなど一部の水生動物は電場を感知する器官を持つ。サメには「ロレンチーニ器官」と呼ばれる微弱な電場を感知する器官があり、これにより光の届かない深海や海底の泥に隠れている獲物を発見し捕えることができる。電気の受容によって周囲の物体の位置を特定することを電気定位(エレクトロロケーション)という。サメのように他の動物がつくった電場を感知するタイプ(受動的な電気定位)と、デンキウナギのように自ら発電して体の周囲に電場を作りレーダーのように電場内の異物を検知することで周囲を知るタイプ(能動的な電気定位)がある。デンキウナギは数種類の発電器官を持ち、電気定位のための発電と電気ショック攻撃のための発電は別々の器官で行う。なお、ヒトの感電は電気の受容ではない。
- 磁気感覚
- 帰巣本能を持つ伝書鳩や渡り鳥など一部の鳥は、特定の方向に向かって正確に遠距離を移動する能力を持つが、これは地磁気と呼ばれる地球の磁場を感知することで位置や方角を知ることができるからだと考えられている。ただし、感知の仕組みについては諸説あり、解明されているわけではない。
- 赤外線受容器
- マムシやボアなど一部のヘビは「ピット器官」と呼ばれる赤外線を熱線として感知する器官を持つ。ヘビの獲物である小動物は、自身の体熱により赤外線を出しているが、左右にあるピット器官で赤外線の発生源までの距離や位置を知ることができる。これによりヘビは夜間でも獲物を発見し捕えることができる。