2-ピリドン
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| 2-ピリドン | |
|---|---|
Pyridin-2(1H)-one | |
別称 2(1H)-Pyridinone 2(1H)-Pyridone 1H-Pyridine-2-one 2-Pyridone 1,2-Dihydro-2-oxopyridine 1H-2-Pyridone 2-Oxopyridone 2-Pyridinol 2-Hydroxypyridine | |
| 識別情報 | |
3D model (JSmol) |
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| ChEBI | |
| ChEMBL | |
| ChemSpider | |
| ECHA InfoCard | 100.005.019 |
| EC番号 |
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| KEGG | |
PubChem CID |
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| RTECS number |
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| UNII | |
CompTox Dashboard (EPA) |
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| 特性 | |
| 化学式 | C5H5NO |
| モル質量 | 95.1 g mol−1 |
| 外観 | 無色の結晶性固体 |
| 密度 | 1.39 g/cm3 |
| 融点 |
107.8 °C |
| 沸点 |
280 °C(分解) |
| その他溶媒への溶解度 | 水、メタノール、アセトンに溶ける |
| 酸解離定数 pKa | 11.65 |
| λmax | 293 nm (ε 5900, H2O soln) |
| 構造 | |
| 直方晶系 | |
| planar | |
| 4.26 D | |
| 危険性 | |
| 労働安全衛生 (OHS/OSH): | |
主な危険性 |
刺激性 |
| GHS表示: | |
| Danger | |
| H301, H315, H319, H335 | |
| P261, P264, P270, P271, P280, P301+P310, P302+P352, P304+P340, P305+P351+P338, P312, P321, P330, P332+P313, P337+P313, P362, P403+P233, P405, P501 | |
| NFPA 704(ファイア・ダイアモンド) | |
| 引火点 | 210 °C (410 °F; 483 K) |
| 関連する物質 | |
| その他の 陰イオン |
2-ピリジノラート |
| その他の 陽イオン |
ピリジニウムイオン |
| 関連する官能基 | アルコール, ラクタム, ラクチム, ピリジン, ケトン |
| 特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 | |
2-ピリドン (英: 2-pyridone) は分子式C5H4NH(O)の有機化合物である。この無色の結晶性固体はペプチド合成に使われる。水素結合を利用した構造を形成し、RNAやDNAで見られる塩基が対になった構造にいくぶん似ている。また互変異性を示すので、昔から研究の対象にされてきた。
互変異性
窒素に結合した水素は酸素に転位することができる。この転位が起こると互変異性体である2-ヒドロキシピリジンが形成される。このラクタム-ラクチム互変異性は類似した構造を持つほかの分子でも見られる[1]。
固体状態
固体状態ではほとんどが2-ピリドンとして存在する。これは、X線回折により水素は酸素より窒素に近いことが確認され[注 1]、赤外分光法によりC=O結合の振動は検出されたがO-H結合の振動は検出されなかったことから確認された[2][3][4][5]。
溶液
溶液中でもどちらの互変異性体のほうが優勢なのか調べられ、これを扱った多くの研究結果が公表された。異性体間のエネルギー差は非常に小さく、溶媒の極性に左右されることがわかった。無極性溶媒では2-ヒドロキシピリジンが優勢で、アルコールや水などの極性溶媒では2-ピリドンが優勢であった[1][6][7][8][9][10][11][12][13]。
気相中での2つの異性体間のエネルギー差が赤外分光法によって測定され、固体状態で2.43 - 3.3 kJ/mol、液体状態で8.95 kJ/mol または 8.83 kJ/molという数値が出た[14][15][16]。
互変異性化機構A
2-ピリドン単分子での互変異性は、禁制である1,3-スプラ型遷移状態を経るため、この機構での異性化には高いエネルギー障壁(理論計算により、125または210 kJ/molと見積もられている)が存在する。よって分子内のプロトン移動による互変異性はエネルギー的に不利であり、ほかの互変異性化機構が提案されている[16]。
二量体
2-ピリドンと2-ヒドロキシピリジンは水素結合を利用して二量体を形成することができる[17]。
固体状態
固体状態では二量体を形成しない。2-ピリドンは水素結合によってらせん構造を形成する。5-メチル-3-カルボニトリル-2-ピリドンのようないくつかの置換2-ピリドンは固体中で二量体を形成する。これらの構造は決定は全てX線回折によってなされ、水素は窒素ではなく酸素の近くに位置していることが確認された[1][2][3][4][5]。
溶液
溶液中では二量体を形成する。二量化する割合は溶媒の極性に大きく左右される。プロトン性極性溶媒は水素結合に介入するので、ここでは単量体の割合が高くなる。無極性溶媒での疎水性相互作用は二量体の形成を促す。また、互変異性体の割合も溶媒に依存する。全ての可能な二量体や互変異性体の間には平衡が成立しており、全ての平衡定数を正確に測定するのは非常に難しい[17][18][19][20][21][22][23][24][25][26]。
都合よく片方の平衡を無視して計算することはできない。たとえば無極性溶媒中の2つの互変異性体間のエネルギー差を計算するとき、ほとんどが二量体を形成していると仮定すると、誤った値が導かれる。
互変異性化機構B
直接的な互変異性化はエネルギー的に不利であるが、2つのプロトンに支えられた二量体では、水素結合を介して互いにプロトンを交換することで互変異性化が達成できる。プロトン性溶媒ではプロトン転位がさらに起こりやすくなる。

