BWP ボルスク
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2022年、試験中のボルスク試作車 | |
| 基礎データ | |
|---|---|
| 全長 | 7.6m |
| 全幅 | 3.4m |
| 重量 | 28.0t(基本装甲) |
| 乗員数 | 3名+下車歩兵6名 |
| 乗員配置 | 車長、砲手、操縦士+兵員6名 |
| 装甲・武装 | |
| 装甲 | 鋼鉄製車体 |
| 主武装 | Mk44 30mmチェーンガン×1 |
| 副武装 | UKM-2000C 7.62mm機関銃×1、スパイクLR連装発射基×1 |
| 機動力 | |
| 速度 | 整地速度65km/h、水上速度8km/h |
| エンジン |
MTU 8V199 TE20エンジン 720PS |
ボルスク (Borsuk)は、PGZ (国営防衛産業) の子会社であるHuta Stalowa Wola (HSW) によって開発された水陸両用歩兵戦闘車(NBPWP,Nowy Bojowy Pływający Wóz Piechoty)である[1]。
ボルスクはポーランドが開発した水陸両用機能を有する歩兵戦闘車であり、ソ連脱退後に砲塔・車体部ともにポーランドが独自開発に成功し量産までこぎつけた最初の装甲戦闘車両である[注 1]とともに、事前の準備作業無しで戦場の河川を徒渉可能なNATO域内で唯一の装軌式歩兵戦闘車である[6][注 2]。
浮上航行能力を有する旧ソ連製BWP-1の後継車両として開発されており[2][3][4]、トリムベーンを展開するだけで事前準備無く浮上航行が可能[7][8]で、ウォータージェット推進により8km/hで航行する事が可能[9]である。
砲塔部は国産のZSSW-30遠隔操作無人砲塔[9]、車体部は「汎用モジュラー式装軌プラットフォーム(UMPG)」で構成されており[9]、各種派生型の開発が予定されている。
ポーランド軍第16機械化師団を中心に配備され、潜水徒渉能力に優れるK2/K2PL戦車とともに、小河川が多い現地地形に応じて防御と攻撃を担う機動性の高い部隊を編成する事が期待されており[10]、2025年12月より量産型が装備開始され[11]、各種派生型含め1400両の調達が予定されている[6]。
設計
ボルスクはBMP-1の後継として高い火力・防護能力と浮上航行能力を両立する事を要求されており、開発時においてもっとも困難な課題とされるとともに最大の技術的特徴となっている。これはスウェーデンのCV-90やドイツのリンクスといったNATO域内製の競合車両には不可能な特性[4][6]であり、西側IFV全体でもこれが可能なのは韓国のK21歩兵戦闘車などごく少数にとどまる[注 3]。
無人砲塔

ポーランド国産の遠隔操作無人砲塔「ZSSW-30」を有し、Mk44 30mmチェーンガン×1、UKM-2000C 7.62mm機関銃×1を装備し、選択式として砲塔右側面にスパイクLR連装発射基×1基を搭載可能である[9]。
基本状態でSTANAG 4569レベル2の防護性能を有しており、追加装甲を装備する事でレベル4まで向上させることが可能で、部分的には口径23mmまでの砲弾及び口径152/155mmの榴弾の破片に対する防護力を有する[8]。同砲塔はロソマク装輪装甲車の後期生産型にも搭載されている。
車体
ポーランド国産のOBRUM製「汎用モジュラー式装軌プラットフォーム(UMPG)[注 4]」を使用しており[9]、28トン(砲塔搭載状態重量)の基本装甲状態で車体正面がSTANAG 4569レベル4、車体側面がレベル3の防護能力を有する[4][注 5]。
車体は鋼鉄製であり、追加装甲としてセラミック複合材プレートを装着可能である[2]。浮上航行時は車体前面上部のトリムベーンを展開し[14][7]、ウォータージェットにて航行する[8]。
駆動系
エンジンにMTU 8V199 TE20エンジン(720馬力)[4]、トランスミッションは試作車がパーキンス X300[8]、量産型はX300を発展させたアリソン製3040MXを搭載する[15][5]。履帯はより静粛で軽量な複合ゴム履帯と、高強度な鋼鉄製履帯の2種類を選択装備可能である[2]。最高速度は整地において65km/h、浮上航行時8km/hとなる[9]
開発史
ポーランド軍は、1960年代の旧ソ連時代に設計され陳腐化が著しく、現代の戦場の脅威に対処するに不十分なBWP-1歩兵戦闘車を、より近代的で武装の優れた装備に更新する必要性に迫られていた[2]。このため、1990年代初頭にBWP-1の近代化改修版であるBWP-75を開発し、ほぼ同時期にBWP-2000を発表するなど、後継となる装備を構想していたものの、長らく新規開発が実現する事はなかった[4]。このBWP-1歩兵戦闘車を更新する為に開発開始された物がボルスクである[3]
ZSSW-30の開発
- 2013年3月29日、遠隔操作無人砲塔指揮30mm機関砲システム「ZSSW-30」の開発契約が締結、HSW SAとWB Electronics SAの2社を代表とするコンソーシアムを構成し開発を開始した[6]。
- この砲塔は先行して開発しているロソマク装輪装甲車に搭載されているイタリア製HITFIST-30P無人砲塔の後継として要求された[16]。
- 2015年に工場試験開始、2016年にはロソマクに搭載したZSSW-30からスパイクLR射撃試験に成功[注 6][6]
- 2020年1月に適格性試験が開始され2021年9月に完了。2022年7月5日に70基のZSSW-30を17億ズウォティで納入する最初の実行契約が締結[6]
- 2023年12月、ZSSW-30量産型を搭載のロソマク装輪装甲車の納入が開始された[6]。
新型水陸両用歩兵戦闘車「ボルスク」

- 2014年10月24日、HSWを筆頭とするコンソーシアムと、国立研究開発センターの共同出資により『新型水陸両用歩兵戦闘車「ボルスク」[注 7]』開発契約が締結[16]
- 2016年、概念設計と技術的および経済的分析を開発、2017年にZSSW-30無人砲塔の試作型を搭載したデモンストレーション機がMSPO(国際防衛産業展示会)で発表、予備試験が開始[6]。
- 2019年、MSPO2019にてボルスク試作車が発表、2020年には最終試作車が承認・建造しフィールドテストが開始[6]。
- 2022年7月に適格性試験を開始し、2024年秋に完了[6]。
- 2023年2月28日、派生型含む1400両を導入する枠組み契約(法的拘束力無し)を締結[6]。
- 2025年3月27日、歩兵戦闘車型111両を購入する第一次執行契約(法的拘束力有り)を65億ズウォティで締結[6][17]。
- 2025年12月4日、第一次執行契約で契約した111両のうち最初の15両がポーランド軍第15機械化旅団/第16機械化師団に納入。今後2025~2029年にかけて納入される[注 8][11]。
重歩兵戦闘車(CBWP,ciężki BWP)「ラーテル」
ポーランド陸軍は第18機械化師団に集中配備されるM1A2/A1戦車を中核とした重装甲で衝撃力の強い部隊の構築を企図し、エイブラムスと連携するための重装甲歩兵戦闘車の導入を図っている[18]。
- 2023年8月、ポーランドのマリウシュ・ブワシュチャク国防大臣(当時)はポーランド企業HSWと、第18機械化師団用の重歩兵戦闘車(CBWP,ciężki BWP)700両を調達する枠組み契約を締結。国産ZSSW-30無人砲塔と「AHSクラブ[注 9]」車体を組み合わせた国産装備品案が構想された[19][20]。
- 2024年前半、ポーランド国内外の設計に基づく耐弾試験及び地雷防護試験及びパワーパック選定に係る分析・調整を開始。耐弾試験に関しては各種サンプルをSTANAG4569レベル6まで、地雷防護に関してはレベル1~3までの試験を実施、さらにSTANAG 4569レベル4の対地雷防護構造の設計・試作を行った[21]。
- 2024年後半、非公式情報であるが、CBWPは前面STANAG 4569レベル6、側面レベル5の防弾能力を有し、更に非常に高度な耐地雷性能を要求されていると報道された。この際報道機関が入手した予想図では車体の転輪は7対[注 10]であり、予想重量は42~48トン、既存のボルスク歩兵戦闘車、AHSクラブ両方の設計の特徴を一部ずつ取り入れた派生型としつつも新規設計の物となる可能性が示唆された[22]。
- 2025年8月、CBWPのニックネームが「ラーテル[注 11]」と公開された[23]。
- 2025年9月、MSPO2025にてCBWPラーテルの1/4スケールモデルが公開された[24]。
派生型
「汎用モジュラー式装軌プラットフォーム(UMPG)」に基づくファミリー車両として各種派生型が提案されている[12]。
採用・決定済
2023年2月28日の枠組み契約によりポーランド軍への導入が予定されている物(合計340両)[17]。
- ŻUK(偵察戦闘車)
- OSET(装甲指揮車)
- GOTEM(装甲救急車)
- GEKON(装甲回収車)
- ARES(NBC偵察車)
その他メーカー提案の一例
その他各種ファミリー車両が提案されている[25]。

- Rak(自走迫撃砲)
- M69砲塔を搭載した120mm自走迫撃砲型で、MSPO2024にてデモンストレーターが公開されている。
- GTRI
- GTWI
- PTI
- TMN(地雷散布車)