BYD・ラッコ

BYDが開発した軽EV From Wikipedia, the free encyclopedia

BYD RACCO(ビーワイディー ラッコ)は、中国BYDが日本市場向けに開発した、軽自動車規格のバッテリー式電気自動車(BEV)である。2026年7月28日に日本で発売された[2]。5ドアの軽スーパーハイトワゴンで、全車が前輪駆動(FF)を採用し、左右に電動スライドドアを備える[2]

概要 概要, 製造国 ...
BYD RACCO
プロトタイプ
概要
製造国 中華人民共和国の旗 中国江蘇省常州市[1]
販売期間 2026年7月28日 - [2]
ボディ
乗車定員 4人[1]
ボディタイプ 5ドア 軽スーパーハイトワゴン
駆動方式 前輪駆動
パワートレイン
モーター 永久磁石同期電動機
最高出力 47 kW(64 PS)
最大トルク 160 N·m
車両寸法
ホイールベース 2,520 mm
全長 3,395 mm
全幅 1,475 mm
全高 1,800 mm
車両重量 1,160 - 1,230 kg
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海外の自動車メーカーとして初めて、日本の軽自動車規格に合わせて専用設計されたBEVと報じられている[3][注釈 1]コンセプトモデルは2025年のジャパンモビリティショーで世界初公開された[3]

開発

RACCOは、日本の軽自動車市場を前提として新規に開発された。BYDによれば、開発に先立って専門の調査チームを編成し、日本各地で軽自動車の利用実態を調査した。企画担当者の汪建偉(ワン・ジエンウェイ)は、日本市場について約2年間にわたり調査したとしている[6]

Response.』によれば、車両開発はBYDの本拠地である深圳の中国人エンジニアを中心とするチームが担当し、BYD Auto Japan側のエンジニアも日本の法規、道路環境、気候、軽自動車市場などについて要求や助言を行った。BYDの軽自動車開発ディレクターを務めた楊歩益(ヤン・ブーイー)は、開発スタッフが日本の道路、気候、法規や軽自動車技術を調査したうえで独自設計したと説明している[7]

2025年10月、ジャパンモビリティショー2025でコンセプトモデルが世界初公開された[3]。量産車は中国・江蘇省常州市のBYD工場で生産され、日本へ輸出されていると報じられている[1]

車名

「RACCO」の名称は、日本語の「ラッコ」に由来する。BYDは、ラッコの「賢さ」「愛らしさ」「親しみやすさ」と、海洋環境を想起させる存在であることを命名理由としている[6]。また、名称には「Reliable(信頼できる)」「Affectionate(親しみ)」「Clever(賢い)」「Cozy(心地よい)」「Ocean(海)」の頭文字を重ねた意味も持たせている[6]

設計・メカニズム

プロトタイプの後部

車体寸法は全長3,395 mm、全幅1,475 mm、全高1,800 mm、ホイールベース2,520 mmで、日本の軽自動車規格に合わせた寸法となっている[3]。基本骨格はBYDの電気自動車用プラットフォーム「e-Platform 3.0」の技術を基礎として新たに開発され、リン酸鉄リチウムイオン電池を車体構造の一部として利用する「CTB(Cell to Body)」方式を採用する[3]

RACCO向けには、駆動用バッテリーと電子制御ユニット、DC-DCコンバーター、車載充電器、高電圧配電ユニット、バッテリーコントローラーなどをバッテリーユニット周辺に統合した「X-PACK」が新たに開発された[8]。BYDによれば、シャシーの約70%に高強度鋼板を使用し、ルーフとサイドパネルの接合にはレーザー溶接を採用している[8][3]

駆動用モーターは全グレード共通で、前輪を駆動する最高出力47 kW(64 PS)、最大トルク160 N·mの電動機を搭載する[3]。駆動用電池にはBYDのリン酸鉄リチウムイオン式「ブレードバッテリー」を使用し、「200」は22.40 kWh、「300Plus」と「300Premium」は35.84 kWhの容量を持つ[9]

一充電走行距離はWLTCモードで200が210 km、300Plusおよび300Premiumが320 km。普通充電の最大入力は200が3 kW、300系が6 kW、急速充電はそれぞれ最大35.8 kWと49.7 kWである[9]CHAdeMO方式の急速充電に対応するほか、V2L(Vehicle to Load)およびV2H(Vehicle to Home)機能も備える[1][9]

BYDはRACCOを「世界初のSDV(Software Defined Vehicle)ベースの軽EV」と位置づけており、無線通信によるOTA(Over The Air)アップデートに対応する[8]

装備

左右の電動スライドドア、50:50分割可倒式の後席、10.1インチのセンターディスプレイ、Apple CarPlayおよびAndroid Autoへの対応、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)、衝突被害軽減ブレーキ、6個のエアバッグ、4輪ディスクブレーキなどを全車に装備する[9]。後席はチップアップおよびダイブダウンが可能な構造となっている[3]

上級グレードでは装備が追加され、300Plusには前席シートヒーター、アラウンドビューモニター、アルミホイールなど、300Premiumには合成皮革シート、電動運転席、ステアリングヒーター、足元センサーを用いたハンズフリー式スライドドアなどが設定される[9]。300シリーズには幼児置き去り検知機能も設定されている[10]

荷室容量は通常時280 L、後席を格納した状態で最大1,372 Lと報じられている[1]

グレード

発売時には「200」「300Plus」「300Premium」の3グレードが設定された[2]。国土交通省の特定整備情報では、型式は200が「ZAA-CK66EAS」、300Plusおよび300Premiumが「ZAA-CK66EBS」とされている[11]

さらに見る グレード, 型式 ...
2026年7月の発売時における主要諸元[2][9][11]
グレード 型式 駆動用電池容量 一充電走行距離
(WLTCモード)
普通充電
最大入力
急速充電
最大入力
車両重量 メーカー希望小売価格
(税込)
200 ZAA-CK66EAS 22.40 kWh 210 km 3 kW 35.8 kW 1,160 kg 2,145,000円
300Plus ZAA-CK66EBS 35.84 kWh 320 km 6 kW 49.7 kW 1,220 kg 2,398,000円
300Premium 1,230 kg 2,497,000円
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販売

BYDはRACCOの投入により、日本の新車市場で大きな比率を占める軽自動車市場へ本格参入した[2]。発売前には、2026年末までに1万台を受注する目標を掲げていた[12]

BYD Auto Japanは2026年8月10日、発売から約2週間で受注台数が1,000台を超えたと発表した[13]。同日時点の受注構成は300Premiumが80.0%、300Plusが14.0%、200が6.0%で、35.84 kWhバッテリーを搭載する300系が大部分を占めた[13]

注釈

  1. 外国メーカー製の軽自動車そのものには先例があり、スマートは2001年から2004年にかけて軽自動車登録となる「スマートK」を日本で販売した[4]。また、英国のケータハム・セブン160も、日本の軽自動車規格に収まるよう設計され、2014年に日本で発売されている[5]。このため「海外メーカー初」は、出典で示される「日本の軽規格に合わせて専用設計されたBEV」という範囲に限定される。

出典

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