CaAgP

From Wikipedia, the free encyclopedia

CaAgP(リン化カルシウム銀、英語: Calcium silver phosphide)は、カルシウムリンからなる化合物フェルミ面近傍にノード以外のバンドを持たないことから、ノーダルライン半金属の理想的なモデル物質として報告された[1]が、電子構造解析により、常圧下では微小なバンドギャップを持つ「自明な半導体」であるとの見方もある[2][3]。近年では、パラジウム置換による超伝導の発現とその対称性に関する研究も行われている。

CaAgPは、ZrNiAl型の結晶構造をとり、空間群は である[3]

対称性
空間反転対称性を欠くが、面に対して水平な鏡映対称性を有している[1]
層状構造
銀 (Ag) とリン (P) が 四面体のネットワークを形成し、3次元的なカゴメ・三角格子状のサブ構造を構成する。その空隙をカルシウム (Ca) 原子が埋める構造となっている[3]

ノーダルライン

初期のPBE(Perdew-Burke-Ernzerhof)交換相関機能を用いた第一原理計算では、CaAgPは結晶の鏡映対称性によってトポロジカルに保護されたノーダルライを持ち、フェルミ準位近傍に自明なバンドを持たない理想的なノーダルライン半金属であると予測された[1]が、HSE06ハイブリッド機能を用いた計算および角度分解光電子分光 (ARPES) 測定によれば、常圧下のCaAgPは実際には約 0.15 eV のエネルギーギャップを持つ「自明な半導体」であるとされる。[2]

トポロジカル相転移

CaAgPはトポロジカル相転移の境界付近に位置しており、格子を膨張させる(「負の圧力」をかける)ことでノーダルライン半金属相へ転移する。これは化学的置換によって実現されており、リン (P) をより原子半径の大きなヒ素 (As) で置換した CaAg(P1-xAsx)系において、臨界濃度 付近で自明な半導体からノーダルライン半金属への相転移が起こることが実証されている[2][3]

超伝導

純粋なCaAgPは約 1.2 K 、銀 (Ag) の一部をパラジウム (Pd) で置換したCaAg1-xPPdxにおいては約 1.7 Kで超伝導が発現することが報告されている。CaAg1-xPPdxでは、比熱測定において超伝導アノマリーが観測されないことや、表面敏感なイオン液体ゲートを用いた輸送測定の結果から、超伝導がバルクではなく表面に局在していることが示唆されている[4]。ソフトポイントコンタクト分光を用いた微分コンダクタンス測定の結果から、時間反転対称性の破れた超伝導(カイラル超伝導)である可能性が指摘されている[5]

輸送特性

出典

関連項目

Related Articles

Wikiwand AI