DAPI
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DAPI(ダピ、ダーピー、4',6-diamidino-2-phenylindole)は染色に用いられる蛍光色素の一種で、DNAに対して強力に結合する物質である。蛍光顕微鏡観察に広く利用されている。
| 物質名 | |
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2-(4-amidinophenyl)-1H -indole-6-carboxamidine | |
| 識別情報 | |
3D model (JSmol) |
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| ChEMBL | |
| ChemSpider | |
PubChem CID |
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CompTox Dashboard (EPA) |
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| 性質 | |
| C16H15N5 | |
| モル質量 | 277.324 |
概要
色素特性

DAPIはDNA二重螺旋の小さい溝、特にAT(アデニン・チミン)に富んだ領域に優先的に結合する。蛍光顕微鏡観察において、DAPIは紫外光(UV)によって励起することができる。二本鎖DNAに結合したDAPIは、励起光の波長 358nm に吸収極大を持ち、放出される蛍光は 461nm が極大である。DAPIの蛍光の波長域は広く[1]、色としては青~水色に見える。なおDAPIはRNAにも結合するが、その場合の蛍光波長は 500nm 前後であり、蛍光強度は小さい[2]。従って、RNA結合由来の蛍光は適切なダイクロイックミラーで除外することができる。また高濃度のDAPIは細胞内のポリリン酸を染色することができ、この場合の蛍光は526nmで黄色に見える[3]。 また、微小管に結合して蛍光強度が増大することから、濁度測定より高感度なチューブリンの重合試験の蛍光指示薬として用いられることがある[4]。
利用
DAPIが放出する青い蛍光は、観察試料を多重染色する際に便利である。青色の蛍光は、(若干のクロストークはあるものの)GFPが放つ緑色蛍光やテキサスレッドの赤色蛍光、その他のフルオレセイン誘導体やAlexaと波長域が離れており、スペクトル分離や画像撮影後のイメージング処理によって容易に選別が可能である。DNAを含む細胞核の染色以外に、DAPIは培養細胞中のマイコプラズマやウイルスのDNAを染めてこれらを検出する用途に良く用いられる。
DAPIの励起に必要なUVの照射はラジカルの生成を促すため、他の色素を退色させてしまう。これは退色防止剤を併用することである程度抑止でき、顕微鏡下での観察時間を引き延ばすことが可能である。しかし、退色防止剤によっては生きた細胞に悪影響を及ぼす点、さらにUV照射自体が細胞にダメージを与える点などは注意を要する。
DAPIの他にも、ヘキスト染色(Hoechst stain)によってDNAを青色蛍光で可視化することができ、これも生細胞染色・死細胞染色ともに可能となっている。AT選択性もDAPIと同じである。
染色例
毒性
取り扱い及び保存
科学的、身体的、毒物学的な詳しい特性については、不明な部分が多い。肌、目、呼吸器系との接触を避けること。密閉式の容器などに入れ、冷蔵保存すること。[8]

