プロテアーゼ活性化受容体2
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プロテアーゼ活性化受容体2(プロテアーゼかっせいかじゅようたい2、英: protease-activated receptor 2、略称: PAR2)は、ヒトではF2RL1遺伝子にコードされるタンパク質である。F2RL1(coagulation factor II (thrombin) receptor-like 1)、GPR11(G-protein coupled receptor 11)とも呼ばれる。PAR2は炎症応答[5]、肥満[6]、代謝[7]、がん[8][9]を調節し、感染時に産生されるタンパク質分解酵素のセンサーとしても機能する[10]。ヒトでは、PAR2は表皮の顆粒層のケラチノサイトや、好酸球、好中球、単球、マクロファージ、樹状細胞、マスト細胞、T細胞などいくつかの免疫細胞でも発現している[11]。
遺伝子
活性化機構

PAR2は、Gタンパク質共役受容体ファミリーのメンバーであり、プロテアーゼ活性化受容体(PAR)ファミリーのメンバーでもある。PAR2はいくつかの異なる内在性・外因性プロテアーゼによる切断によって活性化される。PAR2は、細胞外のN末端領域に位置するアルギニンとセリンの間で切断されることで活性化される[13]。切断によって新たに露出したN末端は、活性化テザードリガンド(係留リガンド)として機能し、細胞外ループ2(ECL2)内の保存された領域に結合して受容体を活性化する[5]。受容体は、テザードリガンドの末端のアミノ酸を模倣したペプチド配列によって、タンパク質分解とは無関係に活性化される[14]。また、シグナル伝達と関係していないプロテアーゼによる他の部位での切断によって、受容体はプロテアーゼへの曝露に応答しなくなる[5]。トリプシンはPAR2を切断して炎症性シグナル伝達を開始する主要な酵素である。トロンビンも高濃度ではPAR2を切断することが示されている[15]。PAR2を切断する他の酵素としてはマスト細胞の主要なプロテアーゼであるトリプターゼがあり、PAR2のタンパク質分解によってカルシウムシグナルの伝達と増殖を誘導する[16]。PARはカリクレインの基質としても同定されており、カリクレインはさまざまな炎症過程や腫瘍形成過程に関係している。PAR2の場合、カリクレイン-4、-5、-6、-14が特に重要である[17]。疾患条件下では、PAR2によってTLR4[18]やEGFR[19]がトランス活性化されることが知られている。
機能
アゴニストとアンタゴニスト
PAR2の強力かつ選択的な低分子アゴニストとアンタゴニストが発見されている[25][26][27]。
PAR2には機能的選択性(functional selectivity)が生じることがあり、異なるプロテアーゼが異なる部位でPAR2を切断することでbiased signaling(バイアスのあるシグナル伝達)が生じる[28]。合成低分子リガンドもbiased signalingを調節し、異なる機能的応答をもたらす[29]。
これまでに、PAR2は2つの異なるアンタゴニストとの共結晶構造が得られており[30]、変異導入や構造ベースのドラッグデザインによるアゴニスト(内在性リガンドであるSLIGKV)結合状態のモデリングが行われている[31]。