G・J・アルノー
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| G・J・アルノー G.-J. Arnaud 又は G.J. Arnaud Georges-Jean Arnaud | |
|---|---|
| ペンネーム |
Georges J. Arnaud Saint-Gilles Ugo Solenza Gino Arnoldi |
| 誕生 |
Georges-Camille Arnaud 1928年7月3日 |
| 死没 |
2020年4月26日(91歳没) |
| 職業 | 推理作家 |
| 言語 | フランス語 |
| 国籍 |
|
| ジャンル | 推理小説・SF小説 ・犯罪小説・ホラー小説・官能小説 |
| 代表作 |
« Enfantasme » « L'enfer du décor » « L'homme noir » « Tel un fantôme » « Plein la vue » « La mort noire » « Noël au chaud » « Le coucou » « Bunker-parano » « La compagnie des glaces » |
| 主な受賞歴 |
パリ警視庁賞 « Ne tirez pas sur l'inspecteur » ミステリ批評家賞 « Enfantasme » フランスSF小説大賞 « La compagnie des glaces » アポロ賞 « La compagnie des glaces » |
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影響を受けたもの
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G・J・アルノー(Georges-Jean Arnaud, 一般的にはG.-J. Arnaud 又は G.J. Arnaud, 1928年7月3日 - 2020年4月26日)はフランスの推理作家、SF作家。正式なペンネームはジョルジュ=ジャン・アルノーであるが、一般的には「G.-J.」又は「G.J.」と省略して署名される。本名はジョルジュ=カミーユ・アルノー(Georges-Camille Arnaud)。
1950年代から2010年頃までに、推理小説とSF小説を中心としたフランス大衆娯楽小説の幅広い分野で活躍した。とくにボワロー=ナルスジャック以降のフランスで流行した心理サスペンス小説の分野では第一人者だった。サスペンス小説は主にウィリアム・アイリッシュの影響をうかがわせる心理的なミステリーないし怪奇的なサスペンスが多いが、そこに社会的なテーマ性を取り入れることも多かった。また、1980年から2005年にかけて発表した全97巻に及ぶ大河SFシリーズ« La compagnie des glaces »(氷河年代記)でも知られる。
映画『恐怖の報酬』(1953)の原作者ジョルジュ・アルノーとは別人である。混同を避けるために、著書や映像化作品には「G.-J. Arnaud」又は「G.J. Arnaud」と表記される場合が多い。ユーゴ・ソレンツァ(Ugo Solenza)名義で官能小説も発表。また、自伝や歴史小説といった純文学的な要素の強い小説を発表する際には「ジョルジュ・J・アルノー」(Georges J. Arnaud)名義で刊行した。
推理小説、SF小説、スパイ小説、ホラー小説、冒険小説、官能小説など、生涯に416冊の大衆小説を執筆したと言われる。ミステリーの分野ではパリ警視庁賞、ミステリ批評家賞を、SFの分野ではフランスSF小説大賞、アポロ賞を受賞している。
推理作家、推理小説評論家のミシェル・ルブランは、スペシャル・ポリス叢書の作家の中で、フレデリック・ダール、ブリス・ペルマンと並んで、質的に最高の作家3人の1人としてアルノーを挙げている[1]。執筆を8~10日で仕上げる速筆で知られ、全盛期には年間10冊以上刊行する年もあったほど多作であるが、一作ごとにユニークな趣向を凝らす傾向があった。そのためフランスのミステリ小説批評において辛口で知られたジャン=パトリック・マンシェットからの評価も高かった。マンシェットは1981年に執筆した評論でミシェル・ルブランとG・J・アルノーの名を挙げ、「多作であるだけではなく多彩なアイディアに満ちており、巧妙さと謙虚さを持つ作家たち」と評している[2]。
影響を受けた存在としてはジョルジュ・シムノンとジャン=ポール・サルトルの名を挙げている[3]。初期の作風はシムノンの影響をうかがわせていたが、1966年の« Tel un fantôme »(幽霊に似て)を始めとした心理サスペンス作品はウィリアム・アイリッシュ風と評される。
アルノーの代表作として、フランスの813協会会員は次のような作品を挙げている[2]。
- セルジュ・ブルトン(評論家):« Bunker-parano »(パラノイアの要塞)と« Le coucou »(カッコウ)。
- エルヴェ・ドゥルーシュ(作家、評論家、813協会元会長):« Tel un fantôme »(幽霊に似て)、« Le coucou »(カッコウ)、« La tribu des vieux enfants »(老いた子供たちの一族)。
- ラファエル・ロムネ(雑誌編集者):« Bunker-parano »(パラノイアの要塞)、« Les longs manteaux »(長いマント)、« Au nom du père »(父の名のもとに)。
- パトリック・ゴノー:« L'homme noir »(黒い男)、« Mère carnage »(母=虐殺)、« Tel un fantôme »(幽霊に似て)、ホラー小説« La dalle aux maudits »(呪われた石板)、そして歴史官能小説「マリオン」シリーズ。
- ベルナール・ダゲール(書評家):« Bunker-parano »(パラノイアの要塞)、« Le coucou »(カッコウ)、« Ami-ami-flic »(警官の友達)。
- ドミニク・ショケ(編集者):« Plein la vue »(幻視)、« La tête dans le sable »(砂に頭を埋めて)、« L'enfer du décor »(舞台装置の地獄)、« Profil de mort »(死のプロフィル)、« L'aboyeur »(咆哮者)、« Noël au chaud »(クリスマスを暖かく)、« Le coucou »(カッコウ)、« Drôle de regard »(奇妙な視線)。
- ルネ・バローヌ(書評家):« Le pacte »(契約)、« L'étameur des morts »(死者の錫引工)。[4]
官能小説を発表する際は主に「ユーゴ・ソレンツァ」名義を使用した。ソレンツァ名義による『ぼくのヴィヴィエ夫人』は富士見ロマン文庫から翻訳が刊行されている。また、ソレンツァ名義による歴史官能小説シリーズ「マリオン・シリーズ」でも知られている。
経歴
兵役に就く直前の24歳のとき、ジョルジュ・シムノン風のミステリー小説« Ne tirez pas sur l'inspecteur »(警官を撃つな)を執筆し、公募のミステリー小説コンクールに応募する。この小説はレオ・マレを抑えてパリ警視庁賞を受賞した。受賞後はアシェット社の「エニグム(謎)」叢書から刊行された。このデビュー作刊行の際、よく似たペンネーム「ジョルジュ・アルノー」を持つ作家(本名アンリ・ジラール)の小説『恐怖の報酬』(1952年にアンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督によって映画化)の存在を知ったことから、ペンネームを生まれ故郷にちなんだ「サン=ジル」(Saint-Gilles)名義に変更する[3]。
その後、教師である妻とともに学校に勤務しながら[3][5]、フレッド・カサックやピエール・シニアックが在籍していたアラベスク社を中心に、サン=ジル名義で推理小説とスパイ小説を執筆していた。50年代にアラベスク社で発表した作品としては、冤罪をテーマにしたサスペンス « Seule la mort... »(死神だけが…)、盲目の少女とその妹を襲う恐怖を描いた心理スリラー « A l'heure de notre angoisse »(不安のとき)、18歳の少年が死体と共に逃亡を続ける羽目になるサスペンス « Du sable pour linceul »(砂を屍衣にして)などがあり、これらの作品は1970年代になるとカトリーヌ・アルレーの小説を刊行していたパリの「ユレディフ」社によって復刊された。
1950年代にはサン=ジル名義の他に、本名をイタリア風にもじったジーノ・アルノルディ名義を始め、ジョルジュ・ラモス、ジョルジュ・ミュレ、デイヴィッド・カインといったペンネームでも、アラベスク社に小説を執筆し続けた[6]。ジル・ダーシー(Gil Darcy)名義によるスパイ小説「防諜員リュック・フェラン」シリーズも複数執筆しているが、このシリーズはアルノーの単独作ではなくアラベスク社の企画により、アルノーも含めた10人の作家が合同で書いたシリーズである[7]。
1959年にフルーヴ・ノワール社と契約する際に、同社の社長からの提案に従い、ペンネームをジョルジュ=ジャン・アルノーこと「G・J・アルノー」(G.-J. Arnaud)に改名した[8]。フランスでのペンネームの表記については、初期は主に「G.J. Arnaud」と表記され、後に「G.-J. Arnaud」表記が多くなった。
フルーヴ・ノワール社からは当初「グランド・ロマン」叢書から冒険小説を刊行していたが、1960年にフレデリック・ダールが看板作家となっていた推理小説シリーズ「スペシャル・ポリス」叢書から犯罪サスペンス« Virus »(ヴィールス)を刊行して以降は、同叢書の看板作家の一人として多数のミステリー小説を執筆した。« Virus »に続いてスペシャル・ポリス叢書から刊行されたボワロー=ナルスジャック風の心理的ミステリー『濡れた砂丘』は1962年に映画化され、脚本はフレデリック・ダールが担当した。
初期は主にシムノンやボワロー=ナルスジャックから影響を受けた警察ものや心理サスペンスを発表。この時期の代表作としては、ビル・S・バリンジャーの『歯と爪』やユベール・モンテイエの『帰らざる肉体』を思わせる1966年の « Tel un fantôme »(幽霊に似て)が挙げられる[9]。
1965年以降はスパイ・スリラーにも意欲を示す。当時のフランスのスパイ小説の多くが反共的なテーマを描いていたのに対して、アルノーのスパイ小説では共産国以上にアメリカやフランスと言った西側の政府や大企業を批判的に描いたことが特徴である。労働問題や大国による貧困国への搾取、核開発や原子力発電に関わる陰謀を批判的に取り上げることが多かった[5]。スパイ小説だけではなく推理小説においても怪奇性と社会性とを両立させた作品が目立ち、トマス・トライオンの『悪魔の収穫祭』を思わせる怪奇的な心理サスペンス« L'enfer du décor »でも原子力発電を批判するなど、娯楽作品の中に社会的なテーマを潜ませることで知られた。企業による環境破壊をテーマにしたサスペンス小説« Plein la vue »(幻視)も代表作の一つとして知られる。
1977年には怪奇風の心理サスペンス« L'enfer du décor »(舞台装置の地獄)を発表。著者のミステリ分野での代表作と評価されている[10]。同年にはやはり怪奇趣味の強いサスペンス小説« Enfantasme »(子供の幽霊)でミステリ批評家賞を受賞。本作は翌年に、『雨のエトランゼ』(1971)で知られるセルジオ・ゴッビ監督によって、フランス・イタリア合作で映画化された。音楽はステルヴィオ・チプリアーニ。さらにこの小説は2009年にはジャン=ポール・ギヨン監督によって« Sommeil blanc »として再映画化された。
心理サスペンス系列の作品ではその他に、怪奇色の強いサスペンス« L'homme noir »(黒い男)、ブラック・ユーモア風の« Noël au chaud »(クリスマスを暖かく)、サイコ・サスペンス風の« Je ne vivrai plus jamais seule »(一人では生きられない)、なども代表作として挙げられる。また、サスペンス小説« Raison perdue » (理由なしに)は1984年にエマニュエル・ベアール主演でテレビドラマ化された。殺人の疑いをかけられた精神病患者の女性に担当医師が恋をすることから始まる心理的ミステリーであり、結末には意外などんでん返しが用意されている。謎めいたヒロインをドラマではベアールが演じている。交換殺人テーマのスリラー« Profil de mort »(死のプロフィル)も1979年にジャン・ソレルとナタリー・ドロンの共演でドラマ化されるなど、アルノーのサスペンス小説はフランスでテレビドラマの原作として取り上げられる機会が多かった。
1980年代にはウィリアム・アイリッシュを思わせる« Les imposteurs »(詐欺師たち)のような古典的な心理スリラーを発表する一方で、« Bunker-parano »(偏執狂の要塞)や« Le coucou »など、心理的なサスペンスに社会的な要素を取り入れたスリラーを発表し、高い評価を得た。
数は多くないもののホラー小説も執筆し、それらはフランスで高く評価されている。いずれもフルーヴ・ノワール社の怪奇小説レーベル「アンゴワス」と、80年代に同社が企画したスプラーター小説レーベル「ゴール」で刊行。特に評価が高いのはアンゴワス叢書から1973年に刊行した« La mort noire »(黒死病)であり、ペストが猛威を振るう中世ヨーロッパとナチスに支配された戦時中のドイツとが交錯し、二つの時代を生きる男女の悲恋を幻想的かつサスペンスフルに描いている。その他にアンゴワス叢書から刊行したホラー小説としては、 « Le dossier Atrée »(アトレウス調書)は貧困国の子供たちを食用として富裕国の人肉レストランに提供する怪奇スリラーであり、アルノーがこだわり続けた権力への批判を怪奇小説の手法によって描いている。また、ナチス・ドイツの亡霊が戦後によみがえる« Ils sont revenus »(やつらは帰って来た)や、H・P・ラヴクラフト風の伝奇ホラー« La dalle aux maudits »(呪われた石板)がある。これら4冊の怪奇小説はフランスでカルト的な人気があり、1999年にはオムニバス形式で4作すべてを収めた単行本が刊行された。さらに80年代にゴール叢書から刊行したスプラッター小説« Le festin séculaire »(いにしえの饗宴) および« Grouillements »(群れ)の評価も高い。前者では人間を食べる家の恐怖をスプラッター描写を交えて描き、後者では人間の肉体に寄生する虫の恐怖をグロテスクなタッチで描いている。
官能小説を発表する際は主に「ユーゴ・ソレンツァ」名義を使用した。ソレンツァ名義でユレディフ社の官能小説レーベル「アフロディテ叢書」から刊行された『ぼくのヴィヴィエ夫人』は富士見ロマン文庫から翻訳が刊行されている。また、ソレンツァ名義で1974年から1976年にかけて、官能小説レーベル「ディアーヌ(ダイアナ)叢書」から刊行したエロティックな歴史冒険小説「マリオン・シリーズ」15作でも知られている。18世紀のイングランドとアイルランドの紛争を背景に、アイルランド人女性マリオンの波乱に満ちた人生を大胆な性描写を交えて描いたシリーズであり、フランスでは官能小説読者の間で根強い人気を得ている[11][12]。また、1979年から1984年にかけて「アフロディテ叢書」から、青年探偵パスカル・リューバンを主人公にしたエロティック・ユーモア・ミステリーの連作「パスカル」シリーズを17作発表した[6]。アルノーがソレンツァ名義で発表した官能小説を、イヴォンヌ・ド・ゴール(シャルル・ド・ゴール夫人)が文芸書と勘違いして読んでしまったことがあり(おそらくマリオン・シリーズと思われる)、激怒したイヴォンヌによってアルノーの官能小説が発禁処分を受けたこともある[3]。
スパイ小説の分野では、アメリカ海軍情報局(ONI)のアメリカ人エージェント、セルジュ・コヴァスクを主人公にした「司令官」シリーズ(全75巻)を執筆した。スパイものに参入した当時、主人公に飽き飽きしたアルノーは、毒液噴霧器で武装したグロテスクな老女、チェスカ・ペピーニという女スパイをレギュラー・キャラクターとして登場させた。この脇役が主人公を食うほどの存在感でシリーズに特異な持ち味を与えた[6]。
アルノーのスパイ小説シリーズは次第に政治的に過激さを増していったが、右翼のスパイ小説作家ジェラール・ド・ヴィリエとは正反対に、アルノーのスパイ・スリラーは左翼的な方向へと進んだ。アルノーのスパイものではしばしばKGBと同等かそれ以上に冷酷な悪役としてCIAを描くようになる。インタビューにおいてもアルノーはCIAへの強い反抗心を認めている[6]。アルノーのスパイ小説は、彼のサスペンス小説ほどの人気は得ていないものの、作家兼映画評論家のジャン=ピエール・ドゥルーは高く評価している。「(アルノーのスパイ小説は)新聞を読むよりも国際政治の複雑さについてはるかに多くを学ぶことができる。それらの小説は独自の方法で現代史の裏側を知る貴重な情報源であり、いわゆるパルプ小説が、時には歴史の流れをより深く理解するのに役立つことを証明している」と述べている[6]。
アルノーは1980年にSFシリーズ« La compagnie des glaces »(氷河年代記)の執筆を開始する。1971年から1973年にかけてアルノーはフルーヴ・ノワール社のSF小説レーベル「アンティシパシオン」叢書に3冊を執筆していたが、自身は本来SFファンではなく、推理小説とスパイ小説に力を入れていた。アルノーのSFに関する知識は「ジュール・ヴェルヌとレイ・ブラッドベリの『火星年代記』、近年ではセルジュ・ブリュソロを数冊読んだ程度」と告白している。当初は数冊からなる短いシリーズとして構想されていた『氷河年代記』は、最終的に彼の生涯にわたる大河小説となった。1980年から1992年にかけて62巻を執筆し、その後1995年から2000年にかけて11巻の続編を執筆。そして最後に2001年から2005年にかけて24巻の番外編を出版し、合計97巻からなる大河シリーズとなった[6]。物語は西暦4420年から始まり、地球が完全に氷河期に陥った未来を舞台にした壮大なシリーズである。本作のシリーズ刊行中にアルノーはフランスSF小説大賞とアポロ賞を受賞。また、2007年から2008年にかけて、タイラー・ジョンストン主演により"Grand Star"としてTVシリーズ化された。
1989年には推理小説における業績を讃えてポール・フェヴァル大衆文学大賞が贈られた。同賞は1984年から2016年までの間に開催された、フランスの大衆文学作家に贈られる賞であり、1987年にはミシェル・ルブラン、1988年にはシャルル・エクスブライヤ、アルノーの後の1990年にはトーマ・ナルスジャック(ピエール・ボワローは前年に死去したためナルスジャックの単独受賞)に授与されている。
1988年には「ジョルジュ・J・アルノー」(Georges J. Arnaud)名義で« Les moulins à nuages »(雲の風車)を発表。アルノー自身の祖父の伝記的な小説であり、名もない一人のフランス人の目を通して19世紀フランスのフィロキセラ禍やシャンパーニュ暴動、さらに二つの世界大戦を描いた歴史文学である。本作でRTL放送文学賞を受賞。以降も自伝的な小説、歴史小説、歴史的背景を重視したミステリー作品など、純文学寄りの小説を発表する際は「ジョルジュ・J・アルノー」名義で発表している。1998年から2000年まで19世紀フランスを舞台にした歴史ミステリー「弁護士ロクベール兄弟」シリーズをジョルジュ・J・アルノー名義で発表。2001年には歴史ミステリー« L'étameur des morts »(死者の錫引工)をジョルジュ・J・アルノー名義で発表し、813協会フランス文学賞を受賞した。
2020年、死去。享年91。
名前の表記について
フランス版Wikipediaではフルネームの「ジョルジュ=ジャン・アルノー」でページが作られているが、著書や映像化作品には「G.-J. Arnaud」または「G.J. Arnaud」でクレジットされる場合がほとんどである。類似したペンネームの「ジョルジュ・アルノー」(『恐怖の報酬』)との混同を避けるためにも、日本語版ではフルネームでの表記は避けた。また、日本で短編小説が翻訳された際には「ジョルジュ・J・アルノー」表記が採用されたが、「Georges J. Arnaud」表記は主にアルノーが純文学系の作品を発表する際に用いた名義である。また「Georges-Jean」であることから「G=J」という表記がふさわしいとも考えられるが、フランスにおいては「G.-J.」と「G.J.」のふたつの表記が用いられることから、見やすさなどを考慮して「G・J・アルノー」とした。
主な作品
サン=ジル名義の推理小説
| 刊行年 | 作品名 | 題名和訳 |
|---|---|---|
| 1952年 | « Ne tirez pas sur l'inspecteur » | 警官を撃つな |
| 1957年 | « Du sable pour linceul » | 砂を屍衣にして |
| « Puisque je dois mourir » | 私は死んでしまう | |
| « A l'heure de notre angoisse » | 不安のとき | |
| 1958年 | « Je m'accuse » | 私は告発する |
| « Dernière heure » | 最後のとき | |
| « Seule, la mort... » | 死神だけが… | |
| 1959年 | « De miel et de fiel » | 蜜と悪意 |
| « Un froid de morgue » | モルグのさむけ | |
G・J・アルノー名義の推理小説
| 刊行年 | 作品名 | 題名和訳 |
|---|---|---|
| 1960年 | « Virus » | ヴィールス |
| « L'éternité pour nous » | 『濡れた砂丘』 | |
| 1961年 | « Faux frères » | 偽兄弟 |
| « Haut-vol » | 高空飛行 | |
| 1962年 | « Dernier convoi » | 最終輸送列車 |
| « Agonie » | 苦悶 | |
| « Afin que tu vives » | 君に生きてほしくて | |
| 1963年 | « Un coup de chien » | 犬の一撃 |
| « Exhumation » | 出土 | |
| « Chutes » | 滑落 | |
| 1964年 | « Les aveux » | 告白 |
| « Témoin unique » | 奇妙な目撃者 | |
| « Droit d'asile » | 幽閉権 | |
| 1965年 | « La mine » | 地雷 |
| « Les détrousseurs » | 追いはぎ | |
| « La tentation » | 誘惑 | |
| 1966年 | « Infortune » | 不運 |
| « Substitution » | すり替え | |
| « Tel un fantôme » | 幽霊に似て | |
| 1967年 | « Tatouage » | 入れ墨 |
| « Les yeux fous » | 狂った目 | |
| « Les intrus » | 侵入者 | |
| 1968年 | « Notre oncle de Cincinnati » | シンシナティの小父さん |
| « Les lacets du piège » | 罠の紐 | |
| « Ronde funèbre » | 葬送円舞曲 | |
| 1969年 | « Le guet–apens » | 待ち伏せ |
| « Le rescapé » | 生還者 | |
| « Balle de charité » | 慈悲の一撃 | |
| 1970年 | « Retour de fièvre » | 熱回帰 |
| « Traumatisme » | トラウマ | |
| « L'endos » | 裏書き | |
| 1971年 | « Un charter pour l'enfer » | 地獄行きチャーター船 |
| « Séquelles » | 後遺症 | |
| « Les longs manteaux » | 長いマント | |
| 1972年 | « Basse besogne » | やっつけ仕事 |
| « Tendres termites » | やさしいシロアリ | |
| « Le cœur froid » | 凍った心 | |
| 1973年 | « Au nom du père » | 父の名のもとに |
| « La défroque » | 最後の聖衣 | |
| 1974年 | « Un petit paradis » | 小さな楽園 |
| « L'œil du serpent » | 蛇の目 | |
| « Chiens écorchés » | 皮を剥かれた犬たちが | |
| 1975年 | « La maison piège » | 罠の家 |
| « Monsieur Paloma » | ムッシュー・パロマ | |
| « L'homme noir » | 黒い男 | |
| 1976年 | « Enfantasme » | 子供の幽霊 |
| « Plein la vue » | 幻視 | |
| « Deux doigts dans la porte » | 扉には二本の指が | |
| « Je ne vivrai plus jamais seule » | 一人では生きられない | |
| 1977年 | « La tête dans le sable » | 砂に頭を埋めて |
| « L'enfer du décor » | 舞台装置の地獄 | |
| « Profil de mort » | 死のプロフィル | |
| « Les gens de l’hiver » | 冬の民 | |
| 1978年 | « Les jeudis de Julie » | ジュリーの木曜日 |
| « L'aboyeur » | 咆哮者 | |
| « Brûlez les tous ! » | 皆焼いてしまえ! | |
| « Les enfants de Perilla » | ペリラの子どもたち | |
| 1979年 | « Noël au chaud » | クリスマスを暖かく |
| « Raison perdue » | 理由なしに | |
| « La tribu des vieux enfants » | 老いた子供たちの一族 | |
| « Les gêneurs » | 厄介者 | |
| 1980年 | « Les imposteurs » | 詐欺師たち |
| « Le coucou » | カッコウ | |
| 1981年 | « La vasière » | 泥炭地 |
| « Quartier condamné » | 極刑宣告地区 | |
| 1982年 | « Ami-ami flic » | 警官の友達 |
| « Bunker-parano » | 偏執狂の要塞 | |
| 1983年 | « Le pacte » | 契約 |
| « Nécro » | 訃報 | |
| 1984 | « Le veilleur » | 見張り |
| 1985年 | « Mozart panique » | モーツァルト・パニック |
| « Drôle de regard » | 奇妙な視線 | |
| 1986年 | « Mère carnage » | 母=虐殺 |
| 1992年 | « La recluse » | 隠遁する女 |
ホラー小説
| 刊行年 | 作品名 | 題名和訳 | 叢書 |
|---|---|---|---|
| 1972年 | « Le dossier Atrée » | アトレウス調書 | アンゴワス叢書 |
| 1973年 | « La mort noire » | 黒死病 | |
| « Ils sont revenus » | やつらは帰って来た | ||
| 1974年 | « La dalle aux maudits » | 呪われた石板 | |
| 1985年 | « Le festin séculaire » | いにしえの饗宴 | ゴール叢書 |
| 1986年 | « Grouillements » | 群れ | |
ユーゴ・ソレンツァ名義
| 刊行年 | 作品名 | 題名和訳 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1970年 | « Le beau Mario » | 美男マリオ | |
| 1971年 | « Regain de désir » | 『ぼくのヴィヴィエ夫人』 | 村野圭介訳 富士見ロマン文庫刊 |
| 1973年 | « Les visiteuses » | 訪問者 | |
| 1974年 | « Marion » | マリオン | マリオン・シリーズ |
| « Marion à Dublin » | ダブリンのマリオン | ||
| « Marion la proscrite » | さすらいのマリオン | ||
| « Lady Marion » | レディ・マリオン | ||
| « Une rançon pour Marion » | マリオンの身代金 | ||
| « Marion l'infidèle » | 不貞なマリオン | ||
| 1975 | « Il ne viendra plus personne » | もう誰も来ない | サスペンス小説 |
| « Marion galante » | 勇敢なマリオン | マリオン・シリーズ | |
| « Marion des brumes » | 霧の中のマリオン | ||
| « Marion d'Irland » | アイルランドのマリオン | ||
| « Perverse Marion » | 禁じられたマリオン | ||
| « Complot pour Marion » | マリオンと陰謀 | ||
| « Un roi pour Marion » | マリオンと国王 | ||
| 1976 | « Les démons de Marion » | マリオンと悪魔たち | |
| « Marion des mers » | 海のマリオン | ||
| « La gloire de Marion » | マリオンの栄え | ||
| 1979年 | « Les fourberies de Pascal » | パスカルの欺瞞 | パスカル・シリーズ |
| 1980年 | « Le vampire des routes » | 路上の吸血鬼 | サスペンス小説 |
| 1981年 | « Les prouesses de Pascal » | パスカルの偉業 | パスカル・シリーズ |
| « Les intrigues de Pascal » | パスカルの策略 | ||
| « Les audaces de Pascal » | 大胆なパスカル | ||
| « Pascal et les pensionnaires » | パスカルと下宿人 | ||
| 1982 | « Les miracles de Pascal » | パスカルの奇跡 | |
| « Le cinéma de Pascal » | パスカルの映画館 | ||
| « Pascal homme à tout faire » | なんでも屋パスカル | ||
| « Pascal et les frustrés » | パスカルと欲求 | ||
| 1983 | « Pascal au ciel serein » | パスカルと穏やかな空 | |
| « Pascal et la dame brune » | パスカルと貴婦人 | ||
| « Pascal garçon modèle » | 優等生パスカル | ||
| « Votre dévoué Pascal » | 奉仕者パスカル | ||
| 1984 | « Les métamorphoses de Pascal » | パスカルの変身 | |
| « Pascal et l'éroticophone » | パスカルとエロチカ電話 | ||
| « Une bergère pour Pascal » | パスカルと羊飼い | ||
| « S.O.S Pascal » | SOSパスカル | ||
| « Pascal et les sirènes » | パスカルとシレーヌ | ||
弁護士ロクベール兄弟シリーズ
| 刊行年 | 作品名 | 題名和訳 |
|---|---|---|
| 1998年 | « L'homme au fiacre » | 辻馬車に乗った男 |
| « Le rat de la conciergerie » | 監獄のネズミ | |
| 1999年 | « La congrégation des assassins » | 殺人者の修道会 |
| « Le prince des ténèbres » | 闇の王子 | |
| 2000年 | « Le voleur de Tête » | 首泥棒 |
| « La mort en guenilles » | ボロ着をまとった死体 | |
短編
※翻訳があるもののみ。
- 「灰色の犬」 La dame avec une petite chienne
- 藤田真利子訳 EQ1999/ 5 No.129掲載
- 「土曜半休制」 Semaine anqlaise
- 長島良三訳 EQ1999/ 5 No.129掲載