MDPI
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| MDPI AG | |
|---|---|
| 設立日 | 1996 |
| 設立者 | 林樹坤 |
| 国 | スイス |
| 本社所在地 | バーゼル |
| 流通範囲 | 全世界 |
| 主要人物 | Delia Mihaila(CEO) |
| 従業員数 | 4,000名以上(2021年Q1)[1] |
| 公式サイト |
www |
MDPI(Multidisciplinary Digital Publishing Institute)は、バーゼル(スイス)に本部を置くオープンアクセス専門の出版社である。北京、武漢、天津、バルセロナ、ベオグラード、マンチェスター、クルジュ=ナポカ、ブカレスト、クラクフ、東京、トロントに支社を持つ[2]。年間の出版論文総数は2020年には16万報を超え、世界最大のオープンアクセス出版社となった[3]。取り扱う分野は医学、自然科学、工学、社会科学など多岐にわたり、2020年末時点で300以上の査読済みオープンアクセスジャーナルを出版している[4]。MDPIが発行するジャーナルのうち、189誌がWeb of Scienceのデータベースに掲載されており、73誌にインパクトファクターが付与されている[5][6]。MDPIが発行する全てのジャーナルはオープンアクセスであり、クリエイティブ・コモンズのCC BY(表示)のライセンスの下、改変や二次利用が可能である[7]。
MDPIは「化学的試料の保存」を目的とした組織MDPI(Molecular Diversity Preservation International、以下MDPI Verein)[8]を前身とする[1]。MDPI Vereinは、研究者に向けた研究用試料の保管とその多様性の保全を目的として、1996年にShu-Kun LinとBenoit R. Turinによってバーゼルにて設立された。また、同年Springer Verlag(現シュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディア)と共同で、化学分野における電子ジャーナルの先駆けである雑誌Molecules[9]を創刊した。その後、MDPI VereinはEntropy(1999年)[10]、International Journal of Molecular Sciences(2000年)[11]、Sensors(2001年)[12]、Marine Drugs(2003年)[13]、International Journal of Environmental Research and Public Health(2004年)[14]等のオープンアクセスジャーナルを次々と創刊した。2008年、MDPI Vereinはオープンアクセスポリシーを明確にし、クリエイティブ・コモンズのCC BYライセンスをMDPIが出版する全ての論文に適用することとし、過去に出版された全ての論文に対しても遡って適用した[15]。また、同年海外編集拠点として中国 北京に編集部を設置した。
2010年5月、MDPI AG(Multidisciplinary Digital Publishing Institute)がジャーナル運営会社として創設された。その後、MDPI Vereinが保管していた試料は2012年にMDPI Sustainability Foundationに移管され[16]、MDPI Vereinは解散した。なお、化学的試料の収集物は現在MDPI Sustainability Foundationを代表してMolmall Sarlによって運営されているmolMallが行っている[17]他、MDPI Vereinが運営していた学会に関するサービスは、2009年にsciforumに移管され、現在はMDPIが運営している[18]。MDPIから出版された査読済み論文数は2020年に16万本を越え、世界最大のオープンアクセス出版社となった[19]。また、全世界で従業員は3861人に達した[1]。2019年、 日本支社として東京にMDPI Japan合同会社が設置された[20]。
MDPIは出版規範委員会(COPE)、オープンアクセス学術出版社協会(OASPA)、オープンアクセス学術誌要覧(DOAJ)、国際科学技術医学出版社協会(STM)の会員である[21][22][23]。
サービス
出版物
MDPIは、300以上の査読済みオープンアクセスジャーナルを出版している。クラリベイト社が公開するJournal Citation Reports2020において、73のジャーナルがインパクトファクター評価の対象となり、83のジャーナルがScience Citation Indexに掲載されている[4][24]。また、アメリカ国立生物工学情報センターが運営する生物医学・生命科学のオンライン論文アーカイブであるPubMedには、MDPIが運営する78のジャーナルが掲載されている[25][26]。さらに、エルゼビア社が運営するScopusには173のジャーナルが[27]、同社のEi Compendexには14のジャーナルが[28]掲載されるなど、MDPIが運営するジャーナルの多くが論文インデックスサービスに含まれている。
MDPIはオープンアクセスジャーナル専門の出版社であり、あらゆる読者が無料かつ制約なく全ての論文を閲覧可能である。論文出版・編集にかかる費用は著者が負担し、論文が掲載される段階で著者に論文掲載料(Aritcle Processing Charge)が要求される[29]。なお、Plan Sの要求に基づき、論文掲載料の内訳はMDPIのホームページ上で公開されている[29]。オープンアクセスジャーナルを扱う学術出版社の論文掲載料の高騰に関しては多くの議論がある [30][31][32]ものの、従来の購読型ジャーナルにおける購読料の急騰[33]への打開策として論文掲載料を支払うオープンアクセスモデルが受け入れられている。
MDPIでは、査読に協力した研究者に論文掲載料の割引券(Voucher)を配布している[34]。また、研究機関や大学向けに、所属する研究者の論文掲載料が割引される無料の登録プログラムInstitutional Open Access Progaram(IOAP)を2013年から実施しており、2020年までに全世界で700以上の研究機関や大学が加入している[35]。
その他のサービス
MDPIは学術出版事業の他に、学術文献の無料データベースサービスであるScilit[36]、査読前論文を登録するプレプリントサーバーであるPreprints[37]、学会やシンポジウム運営用のウェブサイトテンプレートサービスSciforum[38]、学術出版のテンプレートサービスJAMS[39]、科学情報のオンライン百科事典Encyclopedia[40]、研究者向けのソーシャルネットワークサービスSciProfiles[41]などの研究活動支援を目的としたオンラインサービスを実施・運営している。