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Mk48 (魚雷)

アメリカ合衆国の魚雷 From Wikipedia, the free encyclopedia

Mk 48魚雷(マーク48ぎょらい、英語: Mark 48 torpedo)は、アメリカ合衆国で開発された長魚雷[5]。対潜・対艦両用の熱機関魚雷であり、アメリカ海軍唯一の潜水艦発射魚雷でもある[6]。現在もロサンゼルス級、シーウルフ級、バージニア級、オハイオ級など米海軍原子力潜水艦の主力長魚雷として運用されており、対外有償軍事援助(FMS)によりカナダ、オランダにも提供されている[5]。

概要 Mk 48魚雷, 種類 ...
Mk 48魚雷
整備中の Mark 48 魚雷 1982年.
種類 長魚雷
原開発国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
運用史
配備期間 1972年–現在
開発史
開発者
開発期間 1960年代
製造業者
値段
  • $894,000 (USD 1978)[1]
  • $3,500,000 (ADCAP) (1988)[2]
  • $3,800,000 (CBASS)[3]
製造期間 1971年–
製造数 約3,500発以上(生産・発注数)
諸元 (Mod 6 主要諸元)
重量 1,597 kg(3,520ポンド)
全長 5.8 m(19フィート2インチ)
直径 533 mm(21インチ)

射程 約35,000yd(約32,000 m)
速度 55ノット以上
弾頭 PBXN-103高性能炸薬 約295 kg(650ポンド)
信管 接触信管・近接信管

エンジン 斜板式ピストンエンジン+ポンプジェット推進
深度 最大914 m[注 1]
誘導方式 有線+音響ホーミング(聴音・探信両用)
発射
プラットフォーム
潜水艦(SSN・SSBN・SSGN)
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来歴

ソ連海軍の原子力潜水艦の脅威が高まった1950年代半ば、当時の主力魚雷であったMk 37魚雷では対潜兵器として不十分であることが認識された。核動力艦への対処を念頭に、原子力潜水艦部隊の主要任務を対潜戦とすべきとの方針のもと、海軍兵器局は1957年9月に新型魚雷の実現可能性研究を開始した。この新型魚雷は当初EX-10、次いでEX-48と仮称された[7]。

1960年11月に作戦要求事項が発出され、Mk 37に比べて射程400パーセント増、速力2倍、潜航深度150パーセント増、目標捕捉距離17パーセント増が求められた[7]。アメリカ海軍はペンシルベニア州立大学にRETORC II(Research Torpedo Configuration II)プログラムを委託してこの要求を満たす手段を探求させ、これがMod 0の原型となったが、本型は就役しなかった[6]。

EX-48の開発契約は1965年にクリーバイト社(後のゴールド社)とウェスティングハウス・エレクトリック社に授与された[7]。ゴールド社は斜板式ピストンエンジンと新型ホーミングパネルを持つMod 1を、ウェスティングハウス社はタービンエンジン搭載のMod 0を改設計したMod 2をそれぞれ開発した[6]。1967年から1968年にかけて、両型は対潜用途に加えて対艦用途も付与されるよう改修された。発射試験の後、1971年7月にゴールド社が量産契約を獲得した[7]。Mod 1の改良型であるMod 3は1973年に開発が始まり、誘導ワイヤーを用いたフィードバック・テレメトリー・システム(TELCOM:Tele-Communications)を採用し[6]、1977年に就役した[7]。

1978年11月、40ノットの速力を発揮可能なソ連のアルファ型原子力潜水艦(705型)の出現を受け、アメリカ海軍はMk 48 Mod 1およびMod 3の深度・速力・音響性能の実際の限界を評価する「拡張作戦包絡線プログラム(Expanded Operating Envelope Program)」を実施した[7]。この結果を踏まえ、艦隊の魚雷をMk 48 Mod 4「漸進的改良」(Near-Term Update)仕様に改修するプログラムが実施され、最初の改修魚雷が1980年12月に引き渡された[7]。

長期的には「先進能力」(ADvanced CAPability:ADCAP)型の開発が求められ、持続的長距離捕捉・妨害対策強化・水上目標交戦能力向上などが要件として定められた[7]。1979年11月、ハネウェル+レイセオン+ウェスティングハウス連合とヒューズ・エアクラフト社+ゴールド社連合が競合し、後者が3,670万ドルの開発契約を獲得した[7]。

設計

Mk 48はポンプジェット推進器を備え、高速航走中の流水音を抑えることを主眼に設計されている。高速で目標に接近し、減速してから探知・攻撃する運用が想定されていた[8]。魚雷は発射後も潜水艦との間で誘導ワイヤーを繰り出し、少なくとも初期走程中は潜水艦が魚雷を制御できる[6]。

機体は先頭から順に、ノーズ部、弾頭部、制御部、燃料タンク部、後部胴体から構成される。ノーズ部にはMk 72変換器、Mk 83送信器、Mk 68受信器、Mk 1ホーミング制御ロジック(HCL)が収められ、捕捉距離は約3,600 m(2海里)に達する[7]。弾頭部にはMk 107 PBXN弾頭(292.5 kg)、Mk 21爆管、Mk 2保険装置、Mk 12電子組立品が収められている[7]。

後部胴体には500馬力の外燃式ガスピストンエンジン、操舵制御面、エンジン附属機器が搭載されている。推進剤にはオットー燃料IIを使用し[5]、燃料タンクには439 kgが収容される。魚雷の流体力学的性能および硝酸エステルをベースとしたオットー燃料IIを使用する6気筒ピストン・エンジンによるポンプジェット推進方式は後継型においても踏襲されている[5]。探知モード時の速力は40ノットで運用される[7]。

各型

Mod 1

最初の量産型。片方向(艦→魚雷)の通信ワイヤーリンクを備える[7]。

Mod 3

Mod 1の改良型で、1977年に就役。誘導ワイヤーによる双方向通信(TELCOM)を導入し、毎秒14項目の魚雷・目標パラメーターを潜水艦の武器管制システムに送信することで、より精密な誘導を可能にする[7]。

Mod 4

アルファ型等の高速ソ連潜水艦に対処するための漸進的改良型。TELCOMと撃ちっぱなし(ファイア・アンド・フォーゲット)モードの両方を備え、約520発がキット形式で製造された[7]。デジタルプロセッサと改良音響センサーを搭載し、ドップラー窓を拡張している[8]。

Mod 5(ADCAP)

「先進能力」(ADvanced CAPability: ADCAP)型として、アルファ型等の高速・深深度ソ連潜水艦に対抗するため1978年に開発が始まり[6]、1985年度から量産が開始された。弾頭を含む機首全体を換装し、最新の信号処理電子機器(リットン/シンガー LP81慣性計測ユニット、CMS-2ソフトウェア搭載コンピューター)を採用している[7]。Mod 5は1988年に初期作戦能力(IOC)を達成した[6]。

主な変更点は音響変換器(誘導)と制御システムにある。高出力アクティブ・ソナーにより、より広い海水容積を探知してより遠距離で目標潜水艦を捕捉できるようになり、ソナーの指向性を電気的に制御することで魚雷自体の旋回の必要性を低減させた。ADCAP開発契約はヒューズ社が1979年8月に締結し、1989年までに完全量産に達した[8]。

Mod 6(ADCAP)

沿海域作戦に対応するため1995年5月にヒューズ社(後のレイセオン)が450発の改修契約を獲得した[7]。誘導・制御系および音響受信器の大幅改良により、メモリとプロセッサ容量が増強された。また、低雑音化パッケージが推進系に追加され、発射前に作動するマフリング装置を備える[7]。Mod 6は「魚雷ダウンローダー・システム」を初めて採用した型であり、潜水艦が出港時に最新の魚雷ソフトウェアを迅速に更新できる。IOCは1997年[6]。2001年4月にはレイセオンがMod 5の115発をMod 6標準に改修するため1,400万ドルの契約を受注した[7]。1990年代後半には誘導制御系および推進系を改良したMk 48 Mod6が開発された[5]。

Mod 6AT(Advanced Technology)

レイセオンとアメリカ海軍水中戦センター(NUWC)が開発した輸出向けバージョン。Mod 6の前部(ソナーおよび誘導・制御系)とMod 4改修後部(弾頭および推進部)を組み合わせたもので、ADCAP特性の一部と新たな浅海域性能向上機能を持つ[8]。さらに輸出を目指したMk 48 Mod6 AT(Advanced Technology)が開発された[5]。

Mod 7(CBASS)

共通広帯域先進ソナー・システム(CBASS:Common Broadband Advanced Sonar System)を搭載する発展型で[5]、1990年代中盤より開発が開始されたのち、1998年にはノースロップ・グラマンとEMD(技術製造開発)契約が締結された[8]。2003年にはコリンズ級潜水艦への搭載を計画するオーストラリア海軍との共同開発についての了解覚書(MoU)が締結された[8][6]。CBSSは狭帯域から広帯域にソナーを転換し、新たな広帯域ソナー処理アルゴリズムにより対妨害能力と浅海域性能を向上させつつ深海域性能も維持する。IOCは2006年[6]。

配備

Mk 48は1972年にアメリカ海軍に就役した[6]。主契約者はレイセオン・エレクトロニクス社(旧ヒューズ・エアクラフト社/ゴールド社、ムキルテオ)であり、ウェスティングハウス・エレクトリック社が第2供給者として1988年5月に契約を受注し、1992年11月に第一フェーズを完了した[7]。現在はレイセオンが製造・アップグレードを継続している[6]。生産・発注数は約3,500発以上に達し、うち約2,900発がアメリカ海軍向けで、約220発が輸出された[7]。

アメリカ海軍では全ての潜水艦(SSN・SSBN・SSGN)に搭載されており、ロサンゼルス級原子力潜水艦は最大25本(発射管4本+再装填22本)の搭載能力を持つ[9]。シーウルフ級原子力潜水艦は8本の発射管と42本の再装填スペースを有する[9]。Mk 48シリーズは少なくとも2026年までは運用するとしている[5]。

2026年イスラエルとアメリカ合衆国によるイラン攻撃が始まると、アメリカ海軍の潜水艦はスリランカ沖合の公海上で、イラン海軍のフリゲート艦「デナ」をMk48を使用して攻撃。これを撃沈した[10][11]。

アメリカ以外では、オーストラリア、カナダ、オランダ、トルコ、台湾などが採用している[6]。最新のMk 48 Mod7 CBSSを搭載したオーストラリア海軍のコリンズ級潜水艦ウォーラー(1999年就役)が、2008年7月にハワイ沖で実施されたリムパック(RIMPAC)2008で標的(退役した米海軍スプルーアンス級駆逐艦)の撃沈に成功した[5]。

採用国

Mk48魚雷の採用国

運用中

運用予定

  •  台湾海軍 - 2020年5月28日に対外有償軍事援助(FMS)でアメリカ海軍の在庫魚雷18本と輸送用コンテナ、技術文書、関連機材を1億8,000万ドルで輸出することが決定した[12]。

脚注

参考文献

外部リンク

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