Spikes Asia

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Spikes Asia(スパイクスアジア、正式名称: Spikes Asia Festival of Creativity)は、アジア太平洋地域を対象とした広告・クリエイティブコミュニケーションの国際フェスティバルである。1986年にAsian Advertising Awards(アジア広告賞)として創設され、アジア太平洋地域で最も歴史ある広告祭のひとつとして知られる[1]。毎年シンガポールで開催され、セミナー、ワークショップ、ネットワーキングイベント、授賞式を含む約1週間のプログラムで構成される[2]

カンヌライオンズの地域版フェスティバルとして位置づけられ、ヨーロッパのEurobest(ユーロベスト)、中東のDubai Lynx(ドバイリンクス)と並ぶ姉妹イベントである[3]

創設期(1986年 - 2008年)

Spikes Asiaの前身であるAsian Advertising Awards(アジア広告賞、通称「Spikes」)は、1986年に広告業界誌『Media』(現在の『Campaign Asia-Pacific』)によって創設された[4]。22年以上にわたりアジア地域の広告クリエイティブの卓越性を評価する賞として運営され、開催地はバリ島インドネシア)などアジア各地で移動しながら行われた[5]。リローンチ前の3年間はバリ島で開催されていた[5]

カンヌライオンズとの提携・リローンチ(2009年)

2008年、カンヌライオンズを運営する国際広告協会(International Advertising Festival、IAF)と、『Media』誌の発行元であるヘイマーケット(Haymarket Media)が提携を発表[4]。これにより、従来の授賞式中心のイベントから、セミナー・展示・ネットワーキングを含む本格的な広告フェスティバルへと大幅にリニューアルされた。

2009年9月16日 - 18日、Spikes Asia – The 1st Asian Advertising Festivalとしてシンガポールで初開催された[6]。カンヌライオンズ会長のテリー・サヴェージ(Terry Savage)は「アジアに素晴らしいイベントを届けることにコミットしている」と述べた[4]。若手クリエイター育成を目的としたYoung Tigers(現Young Spikes)コンペティションもこの年から導入された[4]

運営体制の変遷

2004年にカンヌライオンズを買収したアセンシャル(Ascential、旧EMAP → Top Right Group)がSpikes Asiaの運営にも関与するようになった[7]。2024年10月、インフォーマ(Informa plc)がアセンシャルを約16億ドルで買収し[8]、現在はインフォーマ・フェスティバルズ(Informa Festivals)の傘下でカンヌライオンズ、Eurobest、Dubai Lynxとともに運営されている[1]

COVID-19の影響

2020年はCOVID-19パンデミックの影響により開催が中止された[9]。2021年はSpikes Asia X Campaignとして2月22日 - 25日にオンライン形式で開催され、3,200人以上のクリエイティブ・マーケティング専門家が参加した[10]。2022年以降は対面開催に復帰し、2024年からは完全な物理イベントとして再開された[11]

開催時期

リローンチ当初は毎年9月に開催されていたが、その後スケジュールの見直しが行われ、2021年以降は2月 - 3月に開催されるようになった。2026年は3月9日 - 12日にシンガポールのキャピトル・シアター(Capitol Theatre)で開催された[2]

部門

2026年現在、25の審査部門(Spikes)が設けられている[12]

部門名英語名備考
オーディオ&ラジオAudio & Radio
ブランドエクスペリエンス&アクティベーションBrand Experience & Activation
クリエイティブB2BCreative B2B2026年新設
クリエイティブコマースCreative Commerce
クリエイティブデータCreative Data
クリエイティブエフェクティブネスCreative Effectiveness
クリエイティブストラテジーCreative Strategy
デザインDesign
デジタルクラフトDigital Craft
ダイレクトDirect
エンターテインメントEntertainment
フィルムFilm
フィルムクラフトFilm Craft
ゲーミングGaming
グラス:変革のための賞Glass: The Award for Changeジェンダー不平等・差別の解消に貢献した作品
ヘルスケアHealthcare
インダストリークラフトIndustry Craft
イノベーションInnovation
インテグレーテッドIntegrated
メディアMedia
ミュージックMusic
アウトドアOutdoor
PRPR
プリント&パブリッシングPrint & Publishing
ソーシャル&クリエイターSocial & Creator

各部門においてグランプリ(Grand Prix)、ゴールド、シルバー、ブロンズ、ショートリストの各段階で評価が行われる。また、部門横断の特別賞としてGrand Prix for Good(社会貢献作品に対するグランプリ)が設けられている[12]

特別賞

部門賞に加え、以下の特別賞が授与される[13]

  • Asia-Pacific Agency of the Year - アジア太平洋地域の年間最優秀エージェンシー
  • Network of the Year - 年間最優秀ネットワーク
  • Independent Agency of the Year - 年間最優秀独立系エージェンシー
  • Media Network of the Year - 年間最優秀メディアネットワーク
  • Spikes Palm - 年間最優秀プロダクション
  • Strategy & Effectiveness Agency of the Year - 年間最優秀戦略・効果性エージェンシー

Young Spikes

Young Spikes(旧称Young Tigers)は、30歳以下の若手クリエイターを対象としたコンペティションで、2009年のリローンチ時から実施されている[4]。アジア太平洋地域各国の予選を勝ち抜いたチームがシンガポールの本戦に参加し、限られた時間内で課題に取り組む。デジタル、フィルム、メディア、PR、プリントなど複数のカテゴリで実施される[14]

主なグランプリ受賞作品

歴代の注目作品

部門作品名ブランド/クライアントエージェンシー
2014Film / Digital / Outdoor / Promo & Activation(4冠)Sound of Honda / Ayrton Senna 1989HondaDentsu Tokyo日本の旗 日本
2018Design / Direct / Integrated / Media / PR(5冠)Palau PledgePalauHost / Havas Sydneyオーストラリアの旗 オーストラリア
2019Film / Film Craft(2冠)愛の停止線(10 Sec Drama: The Stop Line of Love)JMSHakuhodo Kettle / Hakuhodo Tokyo日本の旗 日本
2022Creative DataTUNA SCOPE 2021Sojitz CorporationDentsu Inc. Tokyo日本の旗 日本
2022Digital CraftYAKUSHIMA TREASURE ANOTHER LIVE from YAKUSHIMAYAKUSHIMA TREASUREDentsu Creative X / Dentsu Craft Tokyo日本の旗 日本
2022Social & Influencer#PrideHairProcter & GamblePanteneGrey Tokyo日本の旗 日本
2023DesignSuntory Tennensui Endless DawnSuntoryDentsu Craft Tokyo日本の旗 日本
2023Film CraftKaguya by GucciGucciTsuzuku / Dentsu Inc. Tokyo日本の旗 日本
2023Glass(3冠)Knock Knock韓国警察庁Cheil Worldwide Seoul大韓民国の旗 韓国
2024Digital Craft / Direct / Industry Craft(3冠)My Japan RailwayJRグループDentsu Inc. Tokyo日本の旗 日本
2024EntertainmentPERFECT DAYSPERFECT DAYSMount / Dentsu Inc. Tokyo日本の旗 日本
2024InnovationShellMetKoushi ChemicalTBWA\HAKUHODO Tokyo日本の旗 日本
2025EntertainmentNo Smiles(スマイルあげない)McDonald's JapanTBWA\HAKUHODO Tokyo日本の旗 日本
2025Digital CraftHERITAGE DATABANKDentsu Inc. Tokyo日本の旗 日本
2025Grand Prix for GoodVisiongramDentsu Inc. Tokyo日本の旗 日本
2026DesignBEST AFTER 2055高松市Shiseido Creative Tokyo日本の旗 日本
2026Creative EffectivenessNo Smiles(スマイルあげない)McDonald's JapanTBWA\HAKUHODO Tokyo日本の旗 日本
2026Creative StrategyThe Missing Verse: Completing the Bento SymphonyZespri International JapanDentsu Inc. Tokyo日本の旗 日本
2026Industry CraftCraftman.ShipsShipsHakuhodo Gravity / Hakuhodo Cabin Tokyo日本の旗 日本
2026InnovationSmart Eye CameraOUI IncTBWA\HAKUHODO / OUI Tokyo日本の旗 日本
2026MusicProject: Memory CardPlayStationSix Inc / Hakuhodo Tokyo日本の旗 日本

Network of the Year・Agency of the Year

Network of the YearAsia-Pacific Agency of the Year
2018BBDO WorldwideHost / Havas Sydney
2019BBDO Worldwide
2022DDBDDB Mudra(Mumbai)
2023Leo BurnettLeo Burnett Mumbai
2024DentsuDentsu Inc. Tokyo
2025OgilvyColenso BBDO(Auckland)
2026LeoLeo Mumbai

日本の受賞実績

日本は電通博報堂TBWA\HAKUHODOを中心に、Spikes Asiaで継続的に高い実績を上げている。

  • 2014年 - 電通東京が「Sound of Honda / Ayrton Senna 1989」で4部門グランプリを獲得し、Agency of the Yearに選出された[15]
  • 2018年 - 電通グループがグランプリを含む計46賞を受賞した[16]
  • 2019年 - 日本勢は4部門でグランプリを受賞。博報堂ケトルによるJMS「愛の停止線」がFilm・Film Craft部門でダブルグランプリを達成した[17]
  • 2022年 - 日本関連作品が4部門でグランプリを含む計22賞を受賞した[18]
  • 2024年 - 電通がNetwork of the Year、Dentsu Inc. TokyoがAsia-Pacific Agency of the Yearを受賞。「My Japan Railway」(JRグループ)が3部門でグランプリを獲得した[19]
  • 2025年 - 日本から3作品がグランプリを受賞。電通が12賞、博報堂グループが11賞を獲得した[20]
  • 2026年 - 日本からは資生堂「BEST AFTER 2055」がDesign部門グランプリを受賞したほか、TBWA\HAKUHODOがStrategy & Effectiveness Agency of the Year 1位、日本市場のAgency of the Yearに選出された[21][13]

カンヌライオンズとの関係

Spikes Asiaはカンヌライオンズのアジア太平洋版として機能しており、審査基準や部門構成はカンヌライオンズと連動している。カンヌライオンズで好成績を収めた作品がSpikes Asiaでも受賞するケースが多く、またその逆も見られる。両フェスティバルは現在、インフォーマ傘下のインフォーマ・フェスティバルズが統括運営している[1]

カンヌライオンズが世界規模の広告祭であるのに対し、Spikes Asiaはアジア太平洋地域に特化しており、エントリー資格もアジア太平洋地域で展開された作品に限定される[3]

関連項目

脚注

外部リンク

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