テトラチアフルバレン
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テトラチアフルバレン (Tetrathiafulvalene, TTF) は、(H2C2S2C)2で表される有機硫黄化合物である。この複素環式化合物の研究により分子エレクトロニクスの発展につながった。テトラチアフルバレンはフルバレン (C5H4)2 の誘導体であり、4つのCH基を硫黄原子で置き換えた構造をしている。このTTFとその誘導体に関して1万を超える科学論文が出ている[2]。
| 物質名 | |
|---|---|
2,2′-Bi(1,3-dithiolylidene) | |
別名 Δ2,2′-Bi-1,3-dithiole | |
| 識別情報 | |
3D model (JSmol) |
|
| バイルシュタイン | 1282106 |
| ChEBI | |
| ChemSpider | |
| ECHA InfoCard | 100.045.979 |
| EC番号 |
|
PubChem CID |
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| UNII | |
CompTox Dashboard (EPA) |
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| 性質 | |
| C6H4S4 | |
| モル質量 | 204.34 g·mol−1 |
| 外観 | 黄色の固体 |
| 融点 | 116~119℃ |
| 沸点 | 分解 |
| 不溶 | |
| 構造 | |
| 0 D | |
| 危険性[1] | |
| 労働安全衛生 (OHS/OSH): | |
主な危険性 |
可燃性 |
| GHS表示: | |
| Warning | |
| H317 | |
| P261, P280, P302+P352, P333+P313, P363, P501 | |
| 関連する物質 | |
| 関連物質 | |
合成
TTFの興味深いところに、この化合物には多くの合成法がある[2]。一般的には1,3-ジチオール-2-チオンや 1,3-ジチオール-2-オン誘導体のような環状C3S2のビルディングブロックをカップリングさせることで得られる。TTFは、トリチオカーボネート H2C2S2CS とS-CH3の合成で H2C2S2CH(SCH3)の中間体を経て、その後は以下のように合成される[3]。
- H
2C
2S
2CH(SCH
3) + HBF
4 → [H
2C
2S
2CH]+
BF−
4 + CH
3SH
- 2 [H
2C
2S
2CH]+
BF−
4 + 2 N(CH
2CH
3)
3 → H
2C
2S
2C=CS
2C
2H
2 + 2 [NH(CH
2CH
3)
3]+
BF−
4
酸化還元特性
通常状態のTTFには特徴的な電気特性は存在しない。しかしTTF+塩のような酸化体になった時には特徴的な電気伝導の性質を持つ。TTF塩の高い電気伝導度は、次のような特徴による (i) π-πスタックによる平面性、 (ii) 電荷の非局在化を大きくさせる対称性、 (iii)穏和な電位により安定なラジカルカチオンになる。
電気化学測定では、TTFは下記の2つの可逆の酸化が起こる。
TTFのジチオールイリデン環は、それぞれの硫黄原子が2つ、sp2炭素原子に1つの電子を持っている7π電子系となる。そのため各環の酸化により6π電子の芳香族性となる。結果、中央の二重結合が単結合となることで全てのπ電子で環の軌道を占めるようになる。
歴史
フレッド・ウドルらにより[TTF+]Cl-塩が半導体となることが初めて発見され[4]、ジョン・P・フェラリスらによって電荷移動錯体のTTF-TCNQが非常に高い伝導性を示すことが報告された[5]。 この高い伝導性は金属伝導であることが赤外反射[6]や熱起電力[7]の測定から判明している。TTF-TCNQは、陰イオンのTTF分子と陽イオンTCNQ分子が独立して別々に一次元カラムを形成した構造を取っている。このような構造は分離積層型と呼ばれ、カラム方向に対して高い電気伝導を示すことになる。この発見以降、数多くのTTFの類縁体が合成され、さまざまな有機導体および超伝導体が開発された[8]。よく知られた類縁体として、テトラメチルテトラチアフルバレン (TMTTF)、テトラメチルテトラセレナフルバレン (TMTSF)、ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン (BEDT-TTF, ET; CAS: 66946-48-3) などがある[9]。多くのTTF類縁体ドナーを用いた電荷移動錯体は擬1次元や擬2次元的なバンド構造を有し、低次元系における物性研究とも関係が深い。[10]


