UBASUTE
2014年の日本のテレビドラマ
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あらすじ
冬馬は札幌のネットカフェを寝床として、アルバイトを転々としてその日暮らしを続けている。自分がうまくいかないことを社会のせいにして、「年金暮しが多いせいで、こんな世の中になった。姥捨て山があれば」などとも思っている[3][4]。
そんなある日、冬馬は「UBASUTE」というブログの存在を知り、その発信者である謎の女性・ダイアナとやり取りを始める。ダイアナは冬馬と同年代に見えるにもかかわらず、常に穏やかで落ち着いており、まるで高齢女性のように優しい。冬馬はダイアナとのネットでの交流を通じて、何もかもを他者のせいにしていた自分を恥じ、その生き方は次第に前向きに変わってゆく[5]。
実はダイアナの正体は、高齢女性のトシエである[5]。老人ホームで孤独な暮しをしていたところを、職員のカオリの勧めでパソコンとブログを始め、手近にあった雑誌の若い女性の写真を、自身の画像に用いていたのである[4]。トシエは当初、単に別人を装うことを楽しむだけであったが、冬馬が自分を必要としたことで、自分もまた精神的に救われてることに気づく[5]。
冬馬はダイアナに認められようと努力した末に、ネットカフェ暮しから脱し、自身の夢であった職業への就職にも成功する。冬馬はどうしてもダイアナに礼が言いたくなり、ネット上ではなく、直接逢う約束にこぎつける。トシエは自分の姿を偽っていたことを恥じつつも、勇気を出して、冬馬に逢う決心をする[6]。
キャスト
スタッフ
製作
脚本と演出を担当したチーフディレクターの海野祐至は、報道情報局でドキュメンタリーや深夜番組「壇蜜古画」などを手掛けてきたものの、ドラマの脚本と演出の担当は本作が初である[1]。海野が普段の取材で関心を持っていた事柄に、プロデューサーの数浜照吾が「ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の普及と人のつながり」というテーマの組み合わせを発案したことで、ストーリーが具体化した[1]。同局は1996年から年1本スペシャルドラマを自社制作しているが、局員が脚本まで書くのは初めてとなる[1][7]。
撮影はすべて札幌市内で行われ、HTB局員や北海道内で活動する演劇関係者ら100人以上がエキストラなどで参加した[1]。
HTB以外では、テレビ朝日系列の各局で順次放映されたほかに、アメリカ合衆国ロサンゼルスの日本語テレビ放送局であるユナイテッド・テレビジョン・ブロードキャスティング・システム(UTB)でも放映された[8]。
作品の評価
2015年1月にHTBで行われた放送番組審議会では、ニート、就職難、高齢化社会といった社会問題を取り上げている点や、SNSを現実的な表現方法として活用したことでの新鮮さ、ブログやインターネット上の仮想空間を用いた演出、晩秋の札幌を美しく映像化した作風などが評価された[9]。
上智大文学部新聞学科教授の碓井広義は、若者と高齢者が抱える悩みや迷いと希望を丁寧に描写した点と、北海道や札幌といった地域性に依存しない普遍的な物語として成立させた点において、海野祐至による脚本と演出を評価し、「HTBの自社制作ドラマの長い歴史の中でも出色の1本」と語った[5]。
一方で審議会では、主人公の青年が冒頭で高齢者へ抱いている嫌悪感が過剰である点、中心となる2人の登場人物の対比の不十分さ、タイトルの『UBASUTE』の語感が強すぎてドラマの内容にそぐわない点、なども指摘された[9]。
2015年6月に、北海道内の優れた映像作品を選ぶ「北海道映像コンテスト2015」(北海道映像関連事業社協会主催)で、最優秀作品に選ばれた[10]。同2015年10月には、優れたテレビドラマの日本国外への発信を目的とした「東京ドラマアウォード2015」で、ローカルドラマ賞を受賞し[11]、日本国外のマーケットで通じる作品力と挑戦的な創作性に高い評価を受けた[12]。同2015年11月には、一般社団法人全国地域映像団体協議会の主催による「全映協グランプリ2015」で、放送の部の優秀賞を受賞した[3][13]。