おおぐま座W星

おおぐま座の方角にある食変光星(食連星) From Wikipedia, the free encyclopedia

おおぐま座W星(おおぐまざWせい、W Ursae Majoris、W UMa)は、おおぐま座の方角にある食変光星である。視等級は約7.9で[1]、暗くて肉眼では見えないが、小さい望遠鏡を使えば見ることができる[8]視差の測定より、地球から約170光年離れていることが分かっている[2][3]

見かけの等級 (mv)7.90[1] (7.75 - 8.48)
赤経 (RA, α) 09h 43m 45.47s[2]
概要 おおぐま座W星, 星座 ...
おおぐま座W星
W Ursae Majoris
接触連星おおぐま座W星(出典:Aladin Sky Atlas)
接触連星おおぐま座W星(出典:Aladin Sky Atlas)
星座 おおぐま座
見かけの等級 (mv) 7.90[1] (7.75 - 8.48)
変光星型 おおぐま座W型変光星
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  09h 43m 45.47s[2]
赤緯 (Dec, δ) +55° 57 09.1[2]
視線速度 (Rv) -29.6 km/s[2]
固有運動 (μ) 赤経: +17.15 ミリ秒/
赤緯: –29.23 ミリ秒/年[2][3]
年周視差 (π) 19.2775 ± 0.0334ミリ秒[2][3]
(誤差0.2%)
距離 169.2 ± 0.3 光年[注 1]
(51.87 ± 0.09 パーセク[注 1]
おおぐま座の中でのW星の位置
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 2.443 R[4]
公転周期 (P) 0.3336 [5]
軌道傾斜角 (i) 86.0[5]
物理的性質
半径 1.084 / 0.775 R[4]
質量 1.190 / 0.570 M[5]
自転速度 144.40 ± 6.52 km/s[6]
スペクトル分類 F8 Vp + F8 Vp[2]
光度 1.216 / 0.7315 L[7]
表面温度 5,746.2 / 5,984.3 K[7]
色指数 (B-V) +0.66[1]
色指数 (U-B) +0.08[1]
他のカタログでの名称
BD+56 1400, HD 83950, SAO 27364, ADS 7494, CCDM 09438+5557, HIP 47727.[2]
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発見

1903年ドイツ天文学者グスタフ・ミュラーパウル・ケンプが、この恒星の光度が変化しているのを発見した[9][10]。明るさが変化する周期は4時間少々で、既知のどの変光星より大幅に短く、分類できなかった。発見当初から、食変光星が有力な仮説として挙げられていたが、ケフェイド星団型変光星とする説もあり、1919年分光観測で極大時に同じスペクトル線が2本現れることを検出し、軌道要素を割り出したことで、食変光星であることが定説となった[11]。その後、直径と質量が小さく周期も非常に短い、おおぐま座W型変光星という変光星の分類のプロトタイプ星となった[12]

特徴

食変光星

この系は、軌道周期0.3336日(8時間26秒)の接近した円形軌道を公転する1対の恒星からなっている[5]。周期毎に、それぞれの恒星がもう一方の恒星を掩蔽し、等級が減少する。1周期の間に、主星が掩蔽される主極小と、伴星が掩蔽される副極小が発生するので、発見当初は公転周期の半分の時間で変光すると報告された。最も明るい時の等級は7.75で、主星が掩蔽されている時は0.73等級、伴星が掩蔽されている時は0.68等級、それぞれ暗くなる[13]。おおぐま座W星は接触連星であるため、掩蔽の始まりと終わりを明確に定めることはできない[14]

物理

おおぐま座W星の2つの恒星は非常に接近しているため、外層同士が接触しており[14][15]、そのためどちらも同じスペクトル型F8Vpに分類され、これは水素核融合でエネルギーを得ている主系列星であることを示す[16]。主星は、質量半径が伴星より大きく、質量は太陽の1.19倍、半径は太陽の1.08倍程度である一方、伴星は、0.57太陽質量、0.78太陽半径と推定される[5][4]。ただし、主星、伴星共に高速な自転と潮汐力によって歪み、球形ではなく卵型に近い形をしていると考えられる。

長期変動

系の軌道周期は、変光が発見された1903年以来変化している。この変化は、主星と伴星の間で質量転移が起こり、角運動量の分布が変化することが原因と考えられる。恒星表面には恒星黒点があることがわかっており、強いX線放出が検出され[15]、おおぐま座W型変光星の特徴である強い磁気活動の存在が示唆されている。この磁気活動は、質量転移を変化させたり、放出された物質へ角運動量を移転する磁気ブレーキによって、周期を変化させ得る[12]

重星

概要 ADS 7494 B, 星座 ...
ADS 7494 B
星座 おおぐま座
見かけの等級 (mv) 12.35[17]
地球から見た位置 (おおぐま座W星との関係)
元期 2000
位置角 43.0[17]
角距離 6.4[17]
軌道要素と性質
公転周期 (P) 4,285 [17]
物理的性質
質量 0.62 M[17]
他のカタログでの名称
BD+56 1400B, CCDS J09438+5557B, WDS J09438+5557B
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おおぐま座W星には、更にADS 7494 Bと呼ばれる12等級の伴星が存在し、3重連星系を形成していると考えられる[18][17]。この伴星は、1920年トーマス・エスピンによって発見された[19]

脚注

  1. パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算

出典

参考文献

外部リンク

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