しびん
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『しびん』(尿瓶)は古典落語の演目。別題に『花瓶』(かびん)、『しびんの花活け』[1]。尿瓶(しびん)の用途を知らない田舎武士が、花瓶と勘違いして道具屋から購入しておきる騒動を描く。上方落語では『しびんの花活け[2]』または『しびんの花生[3]』の演題が用いられる[注釈 1]。
原話について、東大落語会編『落語事典 増補』・前田勇『上方落語の歴史 増補改訂版』は宝暦13年(1763年)に出版された笑話本『軽口太平楽』の一編「しびんの花活」とする[1][2]。武藤禎夫は、それより早い宝暦3年(1753年)の『軽口福徳利』第3巻の「しゆびん」(尿瓶を蕎麦のからみ注ぎに使おうとする内容)を「初出」とし、宝暦6年(1756年)の『軽口飛出駒』第1巻の「一番息子」では尿瓶を「掘出し物」と喜ぶ内容があると述べ、「しびんの花活[注釈 2]」以降の江戸小咄で尿瓶を花立て(花瓶)とする形になったとしている[5]。宇井無愁も「しびんの花活[注釈 2]」とともに「しゆびん」を原話として挙げている[3]。
喜久亭寿暁の演題集である『滑稽集』(文化4年(1807年)から6年までの演題集[6])に「さむらい しびん」とあり、その時代にすでに口演されていたとみられている[5]。
※以下、東大落語会編『落語事典 増補』掲載の内容に準拠する[1]。
ある田舎者の武士が古道具屋を訪れ、そこにあった尿瓶を、珍しい形をした花器(花瓶)と勘違いし、買いたいと申しでる。店主が5両と値段を張って言うと武士は「5両とは安い」と喜んで購入した。
帰宅した武士は、さっそく尿瓶に花を活けて飾った。そこに書店主の知人が訪問し、これは尿瓶だと教える。激怒した武士は古道具屋に戻って怒鳴りつける。店主は、病の母に高い薬を与えたいためだったと偽りの理由を述べて謝った。これを聞いて武士は、孝行のためなら仕方なしと金も取らずに帰った。
騒動を見ていた隣の店主が道具屋に「あの武士はよく金を返せとは言わなかったなあ」と話しかけると道具屋は「小便はできねえよ。尿瓶は向こうにあるんだから」