アクローム

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アクローム: Achrome)は、ピエロ・マンゾーニ1957年以降に継続して制作した作品シリーズ。白色ないし無色の表面をもつ作品群で、顔料による色彩表現や象徴的意味づけを抑え、物質そのものの状態を前面に出した点に特色がある[1]

アクロームは、1957年頃に始まったマンゾーニの主要シリーズである。初期作品ではカオリンを塗布したキャンバスが用いられ、その後は綿、パン、石、ポリスチレン、人工繊維など、多様な素材へ展開した[1]。これらの作品では、絵画を何かの表象としてではなく、物質がそのまま存在する場として示そうとする態度がみられる。

成立

1957年のマンゾーニは、核絵画的な作風から離れ、絵画の虚構性や象徴性を退けて、作品を「あるもの」として成立させようとする方向へ転じた。パスクワーレ・ファメリは、この転回を「世界」や経験への接続として説明しており、同時期の理論文でも、作品は「何を説明するか」ではなく「ただ在ること」に価値があるとする考えが示されている[1]

展開

パスクワーレ・ファメリによれば、マンゾーニは1957年1月にミラノで見たアルベルト・ブッリイヴ・クラインの個展から刺激を受け、ブッリを「物質の組織者」、クラインを「単色面の作曲家」として捉えていた[1]。初期のアクロームでは、空間主義的な画面処理を残しつつも、象徴的意味を排し、画面を物理的・自己完結的な存在として示そうとした。

その後、アクロームはカンヴァス上の白色面にとどまらず、綿、人工繊維、パン、砂利などの素材を用いる方向へ広がった。これらの作例では、既製の物や日常的素材を白色化・無色化することで、素材の既成の意味や用途を弱めつつ、物質そのものの在り方を前面に出す試みがみられる[1]

特徴

アクロームでは、色彩は表現の手段としてではなく、作品から極力排除される。白色や無色は、単なる視覚的効果ではなく、絵画を物質の場として成り立たせるための条件となっている[1]。また、このシリーズでは、作品を作者の内面表現としてではなく、物質の存在そのものとして提示しようとする態度が一貫している。

評価

後年の研究では、アクロームは、表現、象徴、作者性を抑え、物質の自己完結性や作品の自律性を問う試みとして理解されてきた[1]。また、その展開は後のアルテ・ポーヴェラや概念芸術との関係でも言及されることがある[1]

脚注

参考文献

関連項目

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