アンバ・カック
From Wikipedia, the free encyclopedia
法学修士(BCL)、オックスフォード大学
理学修士(インターネットの社会科学)、オックスフォード大学
アンバ・カック | |
|---|---|
| Amba Kak | |
| 生誕 | インド、ニューデリー |
| 教育 |
BA LLB(優等)、西ベンガル国立法科学大学 法学修士(BCL)、オックスフォード大学 理学修士(インターネットの社会科学)、オックスフォード大学 |
| 職業 | テクノロジー政策研究者・戦略家 |
| 雇用者 | AIナウ研究所(共同エグゼクティブ・ディレクター) |
| 著名な実績 | AI政策、プライバシー、監視技術規制の研究・提言 |
アンバ・カック(英語: Amba Kak)は、インド・ニューデリー出身のテクノロジー政策研究者・戦略家。AIナウ研究所(AI Now Institute)の共同エグゼクティブ・ディレクターを務める。人工知能(AI)のガバナンス、プライバシー、監視技術の規制、および技術的権力の集中を研究テーマとする。2024年、タイム誌「AI分野で最も影響力のある100人」に選出された[1]。
生い立ちと学歴
カックはインドのニューデリーで生まれ育った[2]。インドのコルカタにある西ベンガル国立法科学大学(National University of Juridical Sciences)で法律を学び、BA LLB(優等)を取得した[3]。在学中は同大学の法律レビュー(NUJS Law Review)の編集者を務めた[4]。また、最終学年在学中にグーグル政策フェローシップ(Google Policy Fellowship)を受賞し、バンガロールのインターネット・社会センター(Centre for Internet & Society)で研究を行った[4]。
その後、ローズ奨学金を得てオックスフォード大学に進学し、オックスフォード・インターネット研究所(Oxford Internet Institute)において「インターネットの社会科学」修士(MSc)を優秀な成績で取得した[2]。修士論文は、Facebookの「FreeBasics」(ゼロレーティング型無料インターネットサービス)に対するユーザーの反応を研究したものである[2]。さらにオックスフォードで法学修士(BCL)も取得した[3]。
キャリア初期
オックスフォード大学在学中の2014年、インターネット研究所においてネット中立性とゼロレーティングに関する研究プロジェクトに携わった[5]。卒業後はニューデリーの国立公共財政・政策研究所(National Institute of Public Finance and Policy)に法律コンサルタントとして勤務し、インドの通信規制当局である電気通信規制庁(TRAI)に対してネット中立性に関する政策提言を行った[3]。また、情報への国民の権利を推進する市民団体「国家情報権キャンペーン」(National Campaign for People's Right to Information)の事務局コーディネーターも務めた[5]。
Mozillaでの活動
2016年から2017年にかけて、Mozillaのテクノロジー政策フェロー第一期生に選ばれ、グローバルなネット中立性推進活動に取り組んだ[6]。その後、2017年にMozilla・コーポレーションのグローバル政策アドバイザーとして正式に入社し、プライバシーと個人データ保護から競争政策・オンラインコンテンツ規制まで、幅広いテーマでMozillaの政策立場を形成した[6]。具体的には、インドでの強力なプライバシー法整備やフランスでのデジタル競争ルールの推進、またインドおよびケニアにおけるデータ保護法キャンペーンを主導した[3]。Mozillaでの活動期間は2019年まで続いた[3]。
AIナウ研究所での活動
2019年にAIナウ研究所(AI Now Institute)にグローバル政策ディレクターとして参加した[5]。カックは同研究所において、アルゴリズムによるアカウンタビリティ(説明責任)を中心とするグローバル指向の政策研究アジェンダを設計・実施した[7]。
2022年にはエグゼクティブ・ディレクターに就任し、同僚のサラ・マイヤーズ・ウェスト(Sarah Myers West)と共に共同エグゼクティブ・ディレクターとして同研究所を共同主導している[3]。両者のリーダーシップのもと、AIナウ研究所は2024年に市民社会組織部門の「グローバルAI政策リーダー賞」を受賞した[8]。
連邦取引委員会での活動
2021年、連邦取引委員会(FTC)のAI上級顧問(Senior Advisor on AI)に指名された[9]。同職においてFTCの最高技術責任者や技術者らと連携し、非公式なAI戦略グループの一員として、また政策専門家と協力しながら新興技術問題についての助言を行った[7]。
その他の活動
現在、ノースイースタン大学サイバーセキュリティ・プライバシー研究所(Cybersecurity and Privacy Institute)の上級研究フェローを務めている[10]。シグナル財団(Signal Foundation)の取締役会メンバー、Mozilla財団の戦略諮問委員会メンバー、エイダ・ラブレス研究所(Ada Lovelace Institute)のワーキンググループメンバーを務める[10]。また、ナイト・ジョージタウン研究所(Knight Georgetown Institute)の運営委員会のメンバーでもある[11]。
ニューヨーク市長選当選者ゾーラン・マムダーニ(Zohran Mamdani)の移行チームのメンバーでもある[3]。
研究と思想
カックは生体認証技術の監視リスクについて広く執筆・発言しており、AIナウ研究所発行の論文集『Regulating Biometrics(生体認証の規制)』の編者を務めた[12]。ラシダ・リチャードソン(Rashida Richardson)との共著論文「容疑者特定システム(suspect-development system)データベースのリスク」は、プライバシー法学者会議(Privacy Law Scholars Conference)においてライデンバーグ=カー優秀研究賞(Reidenberg-Kerr Award for Outstanding Scholarship)を受賞した[2]。
2023年には、サラ・マイヤーズ・ウェストおよびメレディス・ウィテカーと共に、「AIはビッグテックに所有されている」と題する論説を『MITテクノロジーレビュー』に発表した[2]。また、AIナウ研究所の年次報告書「AI Now 2023 Landscape: Confronting Tech Power(AI権力の集中に向き合う)」を執筆し、AIブームが技術業界における権力集中をさらに強化していることを論じた[13]。
同年、カックとウェストはAI技術が大手テック企業の支配を強化・固定化するリスクについての議論を先導した[3]。
著作
主要な学術・政策著作には以下のものがある。
- Rashida Richardson and Amba Kak, "Suspect Development Systems: Databasing Marginality and Enforcing Discipline", 55 Michigan Journal of Law Reform (2022)
- Amba Kak, Sarah Myers West, Meredith Whittaker, "Make no mistake—AI is owned by Big Tech", MIT Technology Review, December 5, 2023
- Amba Kak, "The Global South is everywhere, but also always somewhere: National Policy Narratives and AI Justice", AIES: Proceedings of the AAAI/ACM Conference on AI, Ethics, and Society (2020)
- Amba Kak, "Lessons From a Pandemic: Three Provocations for AI Governance" (編著所収論文)
- Amba Kak, "The Emergence of the Personal Data Protection Bill, 2018: A Critique", Economic & Political Weekly
- Amba Kak, "Cambridge Analytica & the Political Economy of Persuasion", Economic & Political Weekly
また、学術誌『Big Data & Society』および『Nature』の査読者を務めるほか、RightsCon および ACM FAccT の会議プログラム委員として査読活動を行っている[2]。