イェラ・レップマン
ドイツ出身のジャーナリスト、作家、図書館創設者 (1891-1970)
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生涯
シュトゥットガルトで生まれたイェラ・レップマンは、手工業者ヨゼフ・レップマン(1853-1911)と妻のフローラ(旧姓ラウフハイマー、1867-1940)の長女[注釈 1]であった。一家は改革派ユダヤ教徒だった。母方の従弟に、4歳下のマックス・ホルクハイマーがいた[2]。シュトゥットガルトのカテリーナ王妃財団学校卒業後、彼女は1年ほどスイスのローザンヌ近郊で過ごした。1908年、17歳のとき、シュトゥットガルトの工業地帯にある煙草工場に、外国人労働者の子どもたちのための国際読書室を創設した[3]。
1913年に彼女はグスタフ・ホレス・レップマン(1877-1922)と結婚したが、彼はシュトゥットガルト-フォイアーバッハにある寝台スプリング工場のドイツ系アメリカ人共同所有者だった。彼らには娘と息子が生まれた(1918年生まれのアンーマリーと、1921年生まれのギュンター)。第一次世界大戦の時にグスタフ・レップマンはドイツ軍に将校として入隊し、フランスの戦場に従軍した。彼は戦傷が元で1922年に没し、妻は31歳で寡婦となった[3]。
夫の死後、イェラ・レップマンは日刊紙「シュトゥットガルト・ノイエ・タークブラット」で初の女性編集長になった。彼女は社会政治関係記事を執筆し、1927年には女性のための「家庭、職業、社会における女性」と題する新聞付録を創刊した。さらに、彼女の最初の児童書(『寝坊した日曜日』1927年)と児童劇(『歌うペニッヒ』1929年)を出版し、劇はビュルテンベルク州立劇場という小規模な劇場で上演された。彼女はドイツ民主党に入党し、女性グループのリーダーとなった[3]。1929年、彼女はワイマール帝国議会に立候補したが、落選した[4]。
1933年にナチスが政権を掌握すると、ユダヤ人であるイェラ・レップマンは新聞社での職を失ったが、フリーランスとして1935年まで仕事を続けた。1936年に彼女は2人の子どもと共にイタリア経由でイギリスへ移住した[5]。子どもたちは寄宿学校へ入れて、彼女はフリーランスのジャーナリストとして、また文芸の仕事をした。1938年、ケンブリッジ大学に移管されたアルトゥル・シュニッツラーの遺稿の編集に協力した。後に、彼女はBBCおよびヨーロッパ・アメリカ放送局で仕事をした。1942年にドイツ語の著作『クックスホフからきた子ども:シュワルツワルドからの物語』をジョン・マレー社から、1943年にはカテリーネ・トーマスのペンネームで『ナチス・ドイツの女性たち』を出版した。
戦後
第二次世界大戦が終結すると、彼女は1945年10月に、アメリカ占領地域での非ナチ化教育プログラムの一環として、米軍コンサルタントとして帰国し、女性と青年のためのプログラムに携わった。彼女は最初バート・ホムブルク・フォア・デア・ヘーエに住み、後にミュンヘンへ移った。彼女は戦後のドイツで初の国際博覧会を企画し、各国の関係者に児童書寄贈の依羅状を送った[6]。ドイツの対戦国であった国々からも続々と本が寄せられ[注釈 2]、1946年7月3日ミュンヘンで国際児童図書展が開幕し[7]、そこで14カ国からの2000冊の書籍を展示した。この展示はドイツ各地の大都市に巡回され、100万人以上が訪れた。これらの書籍を元にミュンヘン国際児童図書館の蔵書が構築され、図書館は1949年9月14日[8]にミュンヘンのシュワビング地区に開館した。彼女は1957年に退任するまで館長を務めた。
ドイツ復興期に、彼女は子どもたちの手に本を渡すことが、彼らに未来への希望を与えると確信していた。1952年、彼女は児童書を通じた国際理解に関する会議を主催し、これが1953年チューリヒに設立された非営利団体の国際児童図書評議会につながった。レップマンはこの時期の詳細を自伝『子どもの本は世界の架け橋』に記した。彼女は児童書の作者と画家のための世界で最も権威のある賞、国際アンデルセン賞の創設者の1人である。この賞は1956年に初めて授与され、彼女は1956年から1960年まで審査員長を務めた[9]。
イェラ・レップマンは数多くの児童書を書き、児童文学を収集したが、それには彼女が何年にもわたって集めた童話が含まれている。彼女の著作は何か国語にも翻訳された。彼女は友人のエーリッヒ・ケストナーに、彼の児童書『動物会議』(1949年)の着想の元になったアイデアを提供している[10]。
レップマンは1970年にチューリヒで79歳で没し、フォルヒ通りのエンツェンビュール墓地に葬られた。墓は現存していない[11]。シュトゥットガルトには彼女の名前の通りがあり、マイレンダー広場のシュトゥットガルト中央図書館には彼女の名前を冠した部屋がある。ミュンヘンには彼女の名前の通りと保育所がある。
1991年以来、レップマン生誕100年を記念して、国際児童図書評議会は児童文学への顕著な貢献者へ「イェラ・レップマン・メダル」[12]を授与している。
イェラ・レップマンの著作
- Der verschlafene Sonntag, illus. by Hermann Gradl. W. Hädecke, Stuttgart, 1927. Facsimile edition: Bröstler, Marktheidenfeld, 1992. ISBN 978-3-927439-11-5
- Das Geheimnis vom Kuckuckshof – Eine Detektivgeschichte aus dem Schwarzwald 1st ed. London, John Murray, London, 1942.
- Wer ist Lux? Eine Detektivgeschichte für die Jugend, ill. by Paul Flora. Ensslin & Laiblin, Reutlingen, 1950.
- Die Katze mit der Brille – Die schönsten Gutenachtgeschichten, collected by Jella Lepman, ed. by Hansjörg Schmitthenner, illus. by Regina Ackermann-Ophüls. Europa-Verlag, Zurich, Vol. 1, 1951; Vol. 2, 1959. Reprinted Zeitverlag Bucerius, Hamburg, 2006. ISBN 978-3-938899-02-1
- Der verhaftete Papagei : die schönsten Gute Nacht Geschichten : neueste Folge, ed. by Hansjörg Schmitthenner, ill. by Jutta Kirsch-Korn. Ullstein, Berlin, 1963. ISBN 978-3-548-12534-3
- Die Kinderbuchbrücke, S. Fischer, Frankfurt, 1964.
- A Bridge of Children's Books, transl. by Edith McCormick, foreword by J.E. Morpurgo. Leicester: Brockhampton Press, Leicester; American Library Association, New York 1969. ISBN 0-340-03205-7
- A Bridge of Children's Books, transl. by Edith McCormick, foreword by Mary Robinson. The O'Brien Press, Dublin, 2002, ISBN 0-86278-783-1
- 子どもの本は世界の架け橋, 森本真実訳. こぐま社, 東京, 2002. ISBN 978-4-7721-9037-4
- Jia qi er tong tu shu de qiao liang, Zhongguo shao nian er tong chu ban she, Beijing, 2006. ISBN 978-7-5007-8080-9
- Oerini Chaekui Dali, transl. by Sun-Ah Kang. Nami Books, Seoul, 2015. ISBN 978-89-966836-6-7
- Un ponte di libri, cura e traduzione di Anna Patrucco Becchi. Roma: Sinnos, 2018. ISBN 978-88-7609-393-7
- Un Puente de Libros Infantiles, Creotz, 2017. ISBN 978-84-941473-8-8
- La strada di Jella : prima fermata Monaco, traduzione dall'inglese di Ilaria Piperno. Roma: Sinnos, 2009. ISBN 978-88-7609-137-7
- Kinder sehen unsere Welt – Texte und Zeichnungen aus 35 Ländern, collected and edited by Jella Lepman. Ullstein, 1971. ISBN 978-3-550-07766-1
- Come i bambini vedono il mondo, transl. by Amina Pandolfi. Garzanti, Milan, 1972.
- How children see our world : words and pictures from thirty-five countries, translated from the German by Heide Dugall, designed by Dietmar Meyer and Frank Curcio. Avon Books, New York, 1975. ISBN 978-0-380-00529-1
イェラ・レップマンについての書籍
- Kathy Stinson. The Lady with the Books: A Story Inspired by the Remarkable Work of Jella Lepman. Illus. by Marie Lafrance. Kids Can Press (2020). (Canada)
- Sydelle Pearl, Danlyn Iantorno, illus. Books for Children of the World: The Story of Jella Lepman. Pelican Publishing, 2007.[13]
受賞歴
- 1957年 ドイツ連邦共和国功労勲章
- 1960年 ゲーテ・メダル