イトグモ科
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イトグモ科には、2つの属が含まれているが、両者の外見は非常に大きく異なる。イトグモ属はユウレイグモ科のもののような細長い足を持ったクモで、物陰に潜む。もう1つのヤリダマグモ属 Sicarius はカニグモに似た外見のクモで、乾燥した砂地に生息する。そのため、以前はそれぞれ別科としたが、現在では一つの科と扱っている。
これらのクモには人間に被害を与える有毒なものが幾つか知られている。イトグモ属ではドクイトグモが特によく知られる。そのようなこともあり、これらには一般名が幾つか知られる。ドクイトグモの英名は brown recluse spider (褐色の隠者のクモ)、あるいは violin spider である。また Sicarius の方は six-eyed sand spider であるが、外見的特徴から six-eyed crab spider(6眼のカニグモ)とも、また assassin spider も使われる。現時点では、日本産のイトグモにはそのような毒性は知られていないが、同一種のMediterranean recluse spider(Loxosceles rufescens)は海外では咬症例の報告もある。[1]国内での咬症例は1例のみ知られる。[2]
特徴
単性域類に属し、6眼で爪は2つ、篩板を持たない。頭胸部はやや平らで、頭部と胸部の境界は比較的はっきりしている。6個の眼は左右には縦に2個ずつ、中央には左右に2個がそれぞれ接近して配置し、中眼は側眼より前にある。顎は基部が癒合し、牙は小さい。雌の触肢には爪がない。雄の触肢器官は触肢附節の先端にある。歩脚は細長い場合もあるが、それほど華奢でなく、また附節には肉趾がある。腹部腹面前方には1対の書肺があり、糸疣の前には左右合一した1つの気管気門がある。糸疣はやや長くて毛が多く、またはっきりした、先端の尖った間疣がある。雄は雌よりやや華奢。
このような特徴が共通に見られるものの、2つの属のものの外見は全く異なる。イトグモ属は体長10mm程度の中型のクモで、印象はユウレイグモ科やヤマシログモ科に似ていて、扁平という印象は一見では感じられない。体色は褐色から灰色など。まだら模様を持つものがあり、 violin spider の名は、頭胸部の斑紋がヴァイオリンに似ることによる[3]。
- ドクイトグモ
頭部と6眼が見える - 同じく背面
ヴァイオリンの斑紋 - 同じく雄成虫
他方、ヤリダマグモ属 Sicarius は体長15mmから20mmにもなる大型のクモで、全体に扁平で、頭胸部は幅の方が広く、腹部もほぼ方形に近い。足は太くないが平面的に横に張って構える、カニグモに似た印象のクモである。体表面に毛が多く、これに砂を取り込んで、外見的に生息する地表に紛れることが出来る[4]。
- Sicarius terrosus 雌成虫
- 同じく砂に潜った状態
習性など
分布
分布の中心は南北アメリカ大陸の熱帯から温帯にかけてと考えられ、アフリカ南部と地中海周辺に分布する種も少数ある。それ以外の地域にも、家屋性の種が分布するが、いずれも人為分布と考えられる。
