インターネットによる若者の過激化
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インターネット上での若者の過激化は、暴力的な手段による場合もあれば、非暴力的な形で行われる場合もある[1]。
暴力的過激化と呼ばれるこの現象は近年増加しており、インターネットやソーシャルメディアが過激思想の形成や動員の促進に関与する可能性が指摘されているものの、これらが直接的に暴力的過激化を引き起こすかどうかは明確ではない。オンライン上での過激主義や暴力主義への関心の高まりにより、SNS規制と表現の自由の調整が課題となっている。この課題には、無差別なブロッキングや過度の検閲(ジャーナリストやブロガーへの影響)、プライバシーの侵害、独立系メディアの抑圧や手段化など多岐にわたる[2]。
ジェンダー研究ジャーナルの記事では、インターネット上での過激化と、女性蔑視やジェンダー差別に関連するイデオロギーとの接触の可能性について検討している。特に、若年男性がマノスフィアやレッドピル思想に関連する特定のオンラインコミュニティで自身の経験や心理的脆弱性を共有することが、これらの思想に触れる機会となることを指摘している[3]。 テロ攻撃の後、暴力的過激主義につながるインターネット上での若者の過激化を防ぐために、企業に政治的圧力がかかることがある[4]。 ユネスコは、直感や不安・恐怖を煽ることによって動かされる陰謀ではなく、事実と証拠に基づいて構築される政策を求めている[5]。
サイバー空間は、ネットワークの中のネットワークとしてのインターネット、およびオンラインで交流、投稿するためのさまざまなインターネットプラットフォームとアプリケーションを組み合わせたSNSとしてのソーシャル メディアのために使用される。この空間には、過激なコンテンツの公開やオンライン制作、SNS上のテロリストまたは過激なグループの存在、過激な話題の会話への若者の参加が含まれる[6]。
研究上の異論
インターネット利用が社会の分極化や過激化を進めているとする議論がある一方、日本国内の定量的研究では、その因果関係は必ずしも明確ではないとする見解も示されている。
総務省が発行した令和元年度版情報通信白書によれば、辻大介らは2018年にネット利用と排外意識の関係を検証し、ネット利用によって排外意識と反排外意識の双方が増加する可能性を示した。一方で、排外意識がネット利用を促進する因果関係は確認されていないとされる。同研究は、極端な立場をとる層が双方で増加することにより対立が深まる可能性を指摘しつつ、社会全体が一様に排外主義化しているとは言い難いとしている[7]。 また、田中辰雄らは2018年、同一対象者を追跡するパネル調査により、メディア利用が政治的態度に与える影響を分析した。その結果、ネット利用による政治的傾向の変化は全体として軽微であり、仮に影響があるとしても分極化を強めるのではなく弱める方向がみられたとしている。さらに、ソーシャルメディア利用と過激化には相関が見られるものの、最も大きな影響要因は年齢であり、ネット利用が多い若年層ではなく、ネット利用が比較的少ない中高年層で過激化がみられることが示された[7]。 これらの研究は、仮に社会に分極化がみられるとしても、インターネット以外の要因が存在する可能性を指摘している。また、日本では政治的無関心が若年層を中心に広くみられ、オンライン政治空間に参加する層は限定的であるとされる。さらに、オンライン上では少数の極端な意見が可視化されやすく、観測される過激な言論が社会全体の傾向を必ずしも反映していないとする見方もある[7]。
慶応義塾大学教授の田中辰雄と富士通総研経済研究所の浜屋敏は、2017年から2018年にかけて日本国内10万人を対象に政治意識とネット利用状況を2回調査した大規模調査研究を実施した。同研究では、ネット利用は政治的分極化を促進するのではなく、むしろ穏健化と多様な意見への接触をもたらす傾向があると報告された。特に、調査期間中に新たにネット利用を開始した層では、意見が中庸に近づく傾向が確認された。また、政治的に過激化している傾向が顕著なのは若年層ではなく中高年層であり、ネット利用頻度が高い若年層よりも、ネット利用が限定的な中高年の方が分極化していたとされる。加えて、ネット利用者が政治的に対立する意見に接触する割合は約4割に上り、従来型メディアよりも幅広い意見環境が形成されているとされる。唯一、過激化の傾向が見られたのは、もともと極端な政治的立場を持つ者がネット利用を開始した場合のみで、該当者は人口全体ではごく少数にとどまると指摘された。さらに、ネット上で極端な意見が目立つ背景として、憲法9条をめぐる投稿の約半数が0.2〜0.3%のユーザーによって行われているように、少数ユーザーが過度に議論空間を占有している点が挙げられるとして、ネット上の過激な言説は一般利用者の政治的態度を代表するものではないと結論づけている[8]。