ブロッキング (インターネット)

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ブロッキングBlocking)は、インターネットサービスプロバイダなどがインターネット等を通じて出入りする情報をヘッダなどを照合しながら、アクセス先への接続を偽装・拒否・遮断する技術である。インターネットブロッキングinternet Blocking)、強制遮断措置ともいう。

日本においては、運営管理者の特定が困難であり、知的財産権を侵害するコンテンツの削除要請も不可能な海賊版サイトが登場し、著作権者等の権利が著しく損なわれる事態となっているため、導入が検討された。ブロッキングは「通信の秘密」を形式的に侵害する可能性があるが、侵害コンテンツの量、削除や検挙など他の方法による権利の保護が不可能である場合には、刑法第37条に規定される緊急避難の要件を満たす場合に、違法性が阻却されるとされ、すでに国内では児童ポルノを配信するサイトに対して、接続事業者による遮断措置が一部実施されている[1][2]。一方、悪用の懸念から反対意見も寄せられている[3][4]

一般的に諸外国ではブロッキングを実施するために、インターネットサービスプロバイダを訴える。具体例としてドイツではドイツ音楽著作権協会(GEMA)がドイツ最大の通信会社のドイツテレコムを訴えた。日本においても、著作権特許権商標権意匠権等の間接侵害に基づく差し止め請求を行うことが理論上は可能であると考えられている[5]

通信の秘密

日本においては、サーバを海外に配置するなどの理由で摘発困難な海賊版サイトへのブロッキングが検討された際に、通信の秘密日本国憲法21条2項に定める)の侵害の有無が議論となった。ドイツ・イギリスをはじめ、諸外国では通信の秘密や、それに相当する権利を憲法で保障しているにもかかわらず、サイトブロッキングを適法とする司法判断・立法が多くなされている。2015年のドイツにおける最高裁判例は、サイトブロッキングが通信の秘密を侵害することを否定した[5]

日本においては、ブロッキングが通信の秘密の侵害にあたるという意見が根強い。これに対して、国内法においても海賊版サイトへのブロッキングが適法となるとの意見もある。これによれば、ブロッキングが通信の秘密の侵害に当たるという見解は、一般的にプライバシー権を論拠にしているが、不特定多数に送信される通信データに対して、非公知性・要秘匿性との観点で「私生活上の自由」として捉えるのは難しく、通信内容(パケットのボディ部)そのものではなく、通信データ(ヘッダに含まれる送信先IPアドレス)を保護することがなぜ「プライバシー」を保護することになるのか不明確であり、対立利益との関係性を考慮しても保護すべき「秘密」であると捉えることは難しい。むしろ、正しくは通信の秘密は「表現の自由」を保障するためと捉えるべきであり、その領域には通信データの宛先(送信先IPアドレス)を誰にも知られずに表現する自由まで入るからであるが、これも絶対的な自由ではない[6]

判例上、憲法が定める「検閲」に当たらないものとして、「対象が思想内容でない」「網羅的ではなく付随的(税関検査等)」「特定的・個別的審査(具体的な犯罪に関わる押収)」「発表禁止の効果を持たないもの」があるが、ブロッキングは表現形式の同一性を判断するものであり、内容に関わるものではないこと、正規版が公開されているコンテンツの海賊版をブロックしても事前規制に当たらないため、行政機関がブロッキング対象のサイトを選定しても検閲には当たらない[6]

電気通信事業法は憲法に定める「通信の秘密」を保障するための要件を具体的に定めているが、この条文は必ずしもブロッキングを違法とするものにはなり得ない。電気通信事業法3条に定める「検閲」は国家を主語としたものであり、強権性にも欠けている。4条に定める「侵してはならない」「守らなければならない」という規定についても、インターネットの安定的提供のための正当業務として、または「媒介者の責務」を理由に「迷惑メール防止法」「プロバイダ責任制限法」などの例外が設けられている[6]

当然、他者への加害に当たる(公衆送信権の侵害)海賊版サイトの運営が「表現の自由」に相当するとは考えられず「海賊版の自由」は看過できない。海賊版サイト利用者の「知る権利」も成立し得ない、知る権利とはその発祥から政府情報に対するものであると考えられるゆえである[6]

通信の秘密についても、インターネットの通信全般を検知し、特定の通信を遮断するDNSブロッキングは「通信の秘密」が保護対象とする具体的な通信内容にまで踏み込むものではなく、通信データ(宛先のドメイン名やIPアドレス)を機械的に判別する(具体的には人の手を介さずにルータやDNSサーバが自動的に行う)ものに過ぎない。このような機械的処理が「通信の秘密」を侵害するとは考えれない。ISPによる機械的なアクセス検知は「通信内容」の検知にならないためである[6]

立法論

知的財産権に関わる法律に条文を追加することが考えられる。著作権法112条に以下の規定を追加する[5]

1. 著作者…は、その著作者人格権、著作権 … を侵害する者又は侵害するおそれのある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

3. 第1項の規定は、インターネット・サービスの提供者が、そのサービスを著作権を…侵害するために他人が使用することを知っているか、知るべきであるには、その提供者に適用する。

別の方法として、プロバイダ責任制限法にブロッキング請求権を定めることがある[5]

第5条 権利を有する者は、特定電気通信役務提供者(インターネット・サービス提供者)が、その役務(サービス)を自己の権利を侵害するために他人が使用することを知っているか、知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるときは、そのサービスの提供を停止又は予防を請求することができる

技術

ブロッキングの技術は大きく、

に分けられる。[7][8][9][10][11][12]

フレッツ網におけるIPv6マルチプレフィックス問題の解決策の1つだった「代表ISP方式」[13]では、代表ISPでブロッキングが行われると殆どのインターネット回線にブロッキング機能が懸かる可能性があった。なお、「代表ISP方式」はフレッツ網におけるVNEとして実現された。

DNSブロッキング

  • 概要

ユーザがDomain Name System(DNS)サーバへUniform Resource Locator(URL)を送信して通信先のIPアドレスを問い合わせる名前解決の際に問い合わせに応答させない、または警告ページへの転送を行う方式。ハッキングクラッキングによるDNSBLの使用、DNS偽装誕生日攻撃#DNSキャッシュポイズニングなどがある。

  • ブロッキングの単位

ドメイン

  • ブロッキングの有効性

IPアドレスの直接入力はブロッキング不可。インターネット接続設定でブロッキングされていないDNSサーバーを指定するか、新たにDNSサーバーを立ち上げる事で正確な名前解決が可能。ドメイン単位のため適法情報をオーバーブロッキングする可能性あり。DNS Security Extensions(DNSSE)との不整合[14][15]

  • 登録リスト数

少、利用製品によっては数万リスト

  • リスト等の運用性

設定箇所は少なく、ファイルの置き換えで可

  • ISPの投資負担

既存機器で対応可能

  • 実施例

イタリア、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、オランダ、デンマーク等

パケットフィルタリング方式

  • 概要

通信パケットの宛先もしくはペイロード内の情報によりパケットをドロップさせる方式。ルーターによるフィルタリング、もしくはディープ・パケット・インスペクション(DPI)によるフィルタリング

  • ブロッキングの単位

ルータによるフィルタリングではIPアドレス、ディープ・パケット・インスペクションによるフィルタリングではURL

  • ブロッキングの有効性

IPアドレスベースの場合は適法情報をブロックする可能性有り。フィルタリング設定の位置によってはブロッキングできないサイトあり

  • 登録リスト数

利用製品依存するが数百~数万リスト

  • リスト等の運用性

管理機能がない場合は運用が複雑

  • ISPの投資負担

既存機器で対応可能な場合もあるが、ディープ・パケット・インスペクションによるフィルタリングは投資負担大

  • 実施例

韓国等

プロキシ方式

  • 概要

プロキシ(透過型)にてhttpを終端し、Uniform Resource Locator(URL)単位に通信をブロックする方式

  • ブロッキングの単位

URL

  • ブロッキングの有効性

プロキシの設置場所によってはブロッキングできないサイトあり

  • 登録リスト数

数十万リスト

  • リスト等の運用性

運用は容易

  • ISPの投資負担

プロキシ等の投資が必要

  • 実施例

ハイブリッドフィルタリング方式

  • 概要

特定のパケット(通信先等)を抜き出した後URL単位でブロックする2段階の方式。経路制御とプロキシ方式の組合せ、DNSポイズニング方式とプロキシ方式の組合せ

  • ブロッキングの単位

URL

  • ブロッキングの有効性

経路制御とプロキシ方式の組合せの場合、プロキシの設置場所によってはブロッキングできないサイトありDNSポイズニング方式とプロキシ方式の組合せの場合、IPアドレス直打ちによりブロッキング回避可能

  • 登録リスト数

数十万リスト

  • リスト等の運用性

IPアドレス部分の管理の運用が複雑な場合あり

  • ISPの投資負担

プロキシ等の投資が必要(トラフィックを限定するためプロキシ方式よりは負担は軽減可)

  • 実施例

イギリス(Cleanfeed)・カナダは経路制御とプロキシ方式の組合せ。オーストラリアはDNSポイズニング方式とプロキシ方式の組合せ。

アドレスリスト管理団体

各国の状況

出典・脚注

関連項目

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