ウェスタディアの双星
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銀河に星間国家が成立している世界。ロアキア統星帝国とルフェール共和国という二大強国に挟まれた緩衝地帯にある13の小国の一つ、ウェスタディア王国の王エドアルド三世が死去した。ところが国を守るべき貴族たちはおろか、後を継ぐべき王太子までもが未来への絶望と自らの保身のため他国へと亡命していく始末。そこへ加えて隣国・ラミアム大公国がウェスタディアに侵略の手を伸ばす。未曾有の国難に対し、残された者たちはどう立ち向かうのか。
主要登場人物
- ルシリア・ラデュ・ウェスタディア一世
- 現ウェスタディア王国国王。15歳。
- 母である王妃の死亡後、3歳から修道院で過ごしていたが、父王の崩御と王太子の継承権放棄のためチェザーリの要請を受けて還俗、王国始まって以来初の女王に即位。
- 長らく修道院で暮らしていたため政治向きのことはまだよくわからないようだが、国や民を思う心は強く、国民からの人気も高い。
- 王宮の中庭に、修道院から贈られた葡萄を植えている。外務卿カルロ・チェザーリに淡い気持ちを抱いているようで、お忍びでデートに行った時にチェザーリに買ってもらったブドウのブローチをずっと大事にすると言って頬を赤らめたことやアルドゥオの会戦の勝利の報告を受けた際に興奮したチェザーリに手を握られ戦の勝利よりも嬉しかったと見てとれる行動が見られるが、チェザーリ自体はルシリアの気持ちに気づいていないようである。
- カルロ・チェザーリ
- ウェスタディア王国外務卿。27歳。
- もとは銀河でも屈指の大商会を経営していたが、ある国家間紛争の調停を引き受けたのをきっかけに前国王の信頼を得、商会の経営を信頼できる者に預けてまでウェスタディアの国政に深く関わることとなる。巧みな交渉能力をもってウェスタディアを守ろうと奮闘する一方で、ルシリアに帝王学を授け、民を導く善き王たらしめようとしている。
- その黒髪と秀麗な顔つきから「黒の貴公子」と呼ばれる。真顔で冗談を言うタイプで、ルシリアにあらぬ誤解を与えてしまったことがある。ルシリアに対する気持ちは少なからずあるようで、王位につけたのは私なのだから私が守らなければと言い、ルフェール共和国のセルウィンに呆れられたことがある。
- レオーネ・バドエル
- ウェスタディア王国軍十旗将→百旗将→一兵卒→万旗将。25歳。
- エリエントの平民出身。12歳の時軍学校に入学。16歳で初陣を飾って以来、周辺各国との小競り合いで武勲を重ねる。21歳の時に勃発した四カ国大戦の活躍から敵であったシャムラバート軍から「シャラーゼアの光の矢」(アレオ・アグ・シャラーゼア)の異名をで呼ばれる。素行不良のため一兵卒に降格されていたところ、ラミアム大公国の侵攻を受け戦わずして逃亡したウェスタディア軍の残存艦隊を率いることとなる。550対6000という圧倒的な兵力差にも関わらず、大公レムスを討ち取り、ラミアム軍を敗走させたことから、アルファーニと並んで「ウェスタディアの双星」と呼ばれ、万旗将(国軍総司令官)となる。
- 「光の矢」という異名が示す通り、迅速かつ大胆な用兵に優れる。ただ、戦い以外では非常にガサツで、軍服もきちんと着ることがほとんどない。言葉遣いも荒く、女王ルシリア以外の者に敬語を使うことは少なく、チェザーリに悪態をつくこともある。座乗艦は高速戦艦「ザッフィーロ」。
- アルベルト・アルファーニ
- ウェスタディア王国エリエント男爵領書記官→王国軍参謀総長。19歳。
- 上記の通り元々は文官。その職業柄、国内外の様々な情報に精通し、加えて独学で軍学を身に着けている。その情報などから練り上げた策をもってバドエルとともにラミアム軍を撃退、「ウェスタディアの双星」と呼ばれることに。その後もラミアム侵攻、ロアキア軍の包囲突破などにその才覚を発揮する。
- 15歳より上に見られたことがないという童顔がコンプレックスで、他人(主にバドエル)にからかわれると烈火のごとく激怒する。また純朴な性格をしており、ローゼのアタックには少々戸惑い気味(別に疎ましく思っているわけではないが)。
- ロゼリエッタ・ルオ・ジェルトルーデ
- ウェスタディア王国軍千旗将・ジェルトルーデ隊指揮官。14歳。
- 国内外にその勇名を轟かす武門の名家・ジェルトルーデ子爵家の後継者。親しい者には「ローゼ」と呼ばせる。ラミアム軍侵攻に対してアルファーニの採った策が自分の思い描いていたものと全く同じだったことから彼にベタ惚れ、「アルさま」と呼んで熱烈かつ強引なアタックを繰り返す。しかし14歳という若さで一隊を率いるだけのことはあり、その指揮能力はバドエルにひけをとらない。
- ジェルトルーデ家には男子がおらずこのままでは取り潰しになるところを、ルシリアの即位がきっかけとなって彼女が家督を継げることになった。そのためかルシリアをとても慕っている。
- ジェルトルーデ隊は全艦緋色に塗装されており、ジェルトルーデの赤備えと呼ばれている。座乗艦は「ルビーノ」。
- ユリアヌス・ドルキヌス
- ラミアム大公国軍 将軍(レガトス:千旗将に相当)→ウェスタディア方面軍司令→ウェスタディア王国駐在武官。24歳。
- 2年前、隣国ドルキンの軍相手に巧みな防御戦を展開して敵の意図を挫いた功績で将軍に抜擢された。ドルキヌスはドルキンの天敵という意味。
- 喪中のウェスタディア王国を攻撃することに反対した為、レムス大公の不興を買い更迭されるも、ネルヴァ将軍がゼリオ新大公に取り成して復職。
- 防御戦に秀でており、ストリオン星系でバドエル、アルファーニ率いる3,000隻のウェスタディア艦隊を1,000隻の艦隊で足止めしたが、同盟(実態は従属)していたはずのロアキア軍と自軍が戦闘状態になるに至り、幼少時より知己を得ていたチェザーリの仲介・勧告でウェスタディア軍と休戦・連合してロアキア軍と戦い、苦戦の末生還した。座乗艦は「アマダス」で銀色に塗装されている。
- 戦後、ゼリオ大公の承諾なしにウェスタディアと休戦・連合したことが問題となり、将軍位は保ったが、艦隊指揮権は剥奪され、左遷先としてウェスタディア王国駐在武官に就任。王都エリエントに赴任した。
- レムス大公
- ラミアム大公国の国家元首で大公。40歳。乗艦は黄金色に塗装した戦艦「ノビレス」であり、艦橋は宮殿のように豪奢な作りとなっている。
- ウェスタディア王国の隣国ラミアムの統治者で、国家は厳正な指導者により管理するべきとの考え方を有している。
- 為政者としては優秀であるが激高しやすく、自らの意にそぐわない進言を行った者はほぼ例外なく厳罰を下すという悪癖を持つ。隣国ウェスタディアのエドアルド王とは君主としての評価を長年比較され続けており、自国民からも「エドアルド王が我らの主君であれば…」と自らの統治を下に見られた事からエドアルドとウェスタディアに強い憎悪を持つに至る。エドアルド王の崩御とルシリアの即位を同時にウェスタディア侵攻する事を画策、国軍の八割に相当する6000隻の艦隊を率いて出撃する。
- しかし、軍事に関しては素人であり、指揮権は配下のルクレウス将軍やブルタコス将軍に丸投げ状態で、更には感情やわがままに身を任せた命令を繰り返す。結果、ユニアヌスとルクレウス将軍の更迭してしまい、アルファーニによりその傲慢な内面を把握した心理作戦で前線におびき出され、6000隻のラミアム艦隊が550隻のウェスタディア艦隊に半数と参加した将軍はネルヴァ以外が戦死する歴史的な敗退の果てに自身も戦死した(劣勢時は急激な事態の変遷に付いていくことができずに困惑しきっていた)。死後、オリアスからは「帝国の反面教師」と称されてしまった。
- 自ら統星帝の皇女を娶る事で帝国に対する関係を強化していたが、ロアキアに対する忠誠心は皆無であり、ルクレウス将軍の前では堂々と「番犬」と称している。
- オリアス・オクタヴィアヌス
- ロアキア統星帝国第5皇子。統星艦隊司令官。23歳。
- 銀河の半分を支配するロアキア統星帝国のれっきとしたプリンスだが、国内の反乱鎮圧や宇宙海賊討伐等で戦功を重ね、軍人としても高い能力を持ち、国内外の敵対勢力からは「絶望を振りかざす者」「黒い死」の二つ名で恐れられている。
- 自分こそが銀河を統一し、真の平和をもたらすことができると信じており、覇業達成の第一歩としてウェスタディア、ラミアム両国の討伐を図ったが、両国艦隊の頑強な抗戦に加え、ルフェール共和国の介入と父である統星帝からの撤兵の勅命を受けて断念し、本国に撤退。その後は長兄を初め、兄皇子達を全員粛清しロアキア統制帝国の覇権を握る。当然、覇業への野望はいささかも衰えていない。座乗艦は「デスペリアス」で黒色に塗装されている。
- デオドシウス七世
- ロアキア統星帝国の第118代目統星帝であり、オリアスの実父。帝国の最高権力者であるが、たいした見識は持っていない。オリアスを統星艦隊司令官に抜擢したのは彼であるが、オリアスの才覚を見込んでのことではなく、単に重要な役職を一族の者に任せることで自身が安心感を得るためでもあった。現在は帝国宰相であり、第一皇子でもあったカルテリスがオリアスに追い詰められた挙句の叛乱起こして敗死。他の皇子の粛清され、帝国の全権をオリアスに奪われて傀儡と化してしまった。
- エミリオ・セルウィン
- ルフェール共和国次席補佐官。共和国の緩衝地帯政策の全権を持つ有能な若者。カルロ・チェザーリとは学生時代からの友人でもある。ウェスタディアとラミアムをルフェール陣営に引き込んだ功績により首席補佐官に昇格するが、その地位に満足することなく、シャムラバート併呑を目論み、共和国元首の座を狙う野心家でもある。
- シャムラバード併呑失敗と共和国第三艦隊半壊してしまった際には政権から政治的責任を追及されたが、巧みな誘導によりウェスタディアに責任を押し付けた上での武力制裁を元首に承認させることに成功。第五・第七艦隊二万隻をウェスタディアに差し向けるが、第五艦隊は壊滅し、アーウィング提督が戦死。ウィッカム提督の第七艦隊が撤退したため、大国ルフェールが小国ウェスタディアに惨敗するという歴史的な国辱を招いてしまう。この致命的な失策により首席補佐官の維持はおろか政権内に残留すら叶わなくなり、絶望。ウェスタディアを憎悪し、かの国を滅亡させるために策を弄する事になる。
- ロバート・エイゼンダール
- 一万四千隻の艦艇で構成された共和国第三艦隊司令官。第三艦隊の戦力は小国の一般艦船配備数である六千隻から七千隻を上回っているため、小国を滅ぼせるだけの規模を持つ艦隊の司令官でもある。旗艦は超弩級戦艦「スカイキープ」。
- 軍人としては無能な部類で部下に責任を押し付けたり、八つ当たりを行うこともある。シャムラバートでロアキア連合軍の攻勢の前に劣勢となり指揮を放棄して呆けてしまう。結果、共和国第三艦隊は半数以上を失う大損害を被った。
- エミリオと同じく共和国元首の地位を狙っているため、彼とは陰ながら反目しているが、シャムラバード戦役での損害の責任を取らされて、軍を退役させられてしまう。
- 2巻で名前が初登場した事にはバウトロ・エイゼンダールという記述がある。
- ラルフ・アーウィング
- 一万隻の艦隊で構成されるルフェール共和国第五艦隊司令官。「星空の狩人」(パイレーツ・ハンター)の異名を持つ優秀な軍人で、階級は中将。宇宙海賊のメインストリートと恐れられていたペルアゴン星系区を共和国屈指の安全地帯に変えてしまった功績を持つ。要塞攻略戦を得意としている。旗艦は「アストラルナイト」。
- エリザ・ウィッカム
- 一万隻の艦隊で構成されるルフェール共和国第七艦隊司令官。「流血の裁定者」の悪名を持つ女性軍人で、階級は中将。有人惑星を三つ巻き込んでルフェール共和国からの分離・独立を企んだカルト教団の信者を老若男女問わずに皆殺しにした過去を持つ。アーウィング提督とは違い、実戦の宇宙艦隊戦闘を得意としている。旗艦は「ジャッジブレード」。