エルシニアバクチン
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| 識別情報 | |
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3D model (JSmol) |
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| ChEMBL | |
| ChemSpider | |
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| 性質 | |
| C21H27N3O4S3 | |
| モル質量 | 481.64 g·mol−1 |
エルシニアバクチン(Yersiniabactin、Ybt) とは、シデロホアの一種である有機化合物である。病原性細菌であるYersinia pestisやYersinia pseudotuberculosis、Yersinia enterocoliticaおよび、Escherichia coliなどの腸内細菌によって産生および分泌される。シデロホアは鉄との親和性が非常に高い。一般に生物は、活性に鉄を要求し、かつ生育に必須なタンパク質(ラクトフェリンやフェリチンなど)を持つ。鉄への要求性は宿主においても、それに寄生する病原菌においても同じであり、病原菌のシデロホアは宿主よりも先に環境中の鉄を獲得するために機能する[1]。
生合成
エルシニアバクチンは非リボソームペプチド合成酵素(NRPS)/ポリケタイド合成酵素(PKS)経路によって生合成される。複数の酵素が関与し、最も重要な酵素はHMWP2-HMWP1複合体である[4]。HMWP1(3,161-アミノ酸高分子量タンパク質1、3,161-amino-acid high-molecular-weight protein 1)はirp1にコードされていると予想されている[5]。ホスホパンテテイン転移酵素のYbtDは、システイン、サリチル酸、およびマロニル基と繋がったホパンテテインをHMWP1とHMWP2に付加する。YbtSはコリスミ酸からサリチル酸を合成する。合成時にサリチル酸はYbtEによってアデノシル化させられ、HMWP2–HMWP1複合体に結合させられる。
HMWP2は2つのマルチドメインNRPSモジュールで構成されており、運搬体タンパク質によってサリチル酸部分が活性化させられる。すると2つのシステイン残基の閉環と縮合が起こり、2つのチアゾリン環が形成される。この環の一つに1つの架橋マロニル基がHMWP1のPKSタンパク質によって付加され、2つ目の環は、HMWP1の非リボソームペプチドドメインの最後のチアゾリン環の閉環と縮合の前にYbtUによってチアゾリジンに還元される[6]。
上記の酵素の複合体はYbtTチオエステル加水分解酵素によって編集を受けており、複合体に異常な分子が存在する場合、YbtTチオエステル加水分解酵素によって取り除かれる。HMWP1のチオエステル加水分解酵素ドメインはこの酵素複合体から完全なシデロホアを放出させる。[7][8]
