エル・スール
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| エル・スール | |
|---|---|
| El sur | |
| 監督 | ビクトル・エリセ |
| 脚本 |
ビクトル・エリセ 原作: アデライダ・ガルシア・モラレス |
| 製作 | エリアス・ケレヘタ |
| 出演者 |
オメロ・アントヌッティ ソンソレス・アラングーレン イシアル・ボリャン |
| 音楽 | エンリケ・グラナドス |
| 撮影 | ホセ・ルイス・アルカイネ |
| 編集 | パブロ・ゴンザレス・デル・アモ |
| 配給 |
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| 公開 |
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| 上映時間 | 95分 |
| 製作国 |
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| 言語 | スペイン語 |
『エル・スール』(西: El sur、英: The South) は、1983年のスペイン映画(ドラマ)。監督はビクトル・エリセ。
エリセ監督にとって2作目の長編であり、アデライダ・ガルシア・モラレスによる同名の短編小説を原作としている。当初、この映画の上映時間は3時間の予定だったが、プロデューサーのエリアス・ケレヘタが後半部90分の上映を許さず、上映時間95分の映画となった。1983年のカンヌ国際映画祭に正式出品された[1]。1996年、スペイン映画生誕100周年を記念して映画製作者と映画評論家によって行われた、歴代最高のスペイン映画を決める投票では、この作品が第6位にランクインした。
少女エストレーリャ(ソンソーレス・アラングレン)は父で医師のアグスティン(オメロ・アントヌッティ)、母で元教師のフリアとともに、スペイン北部の小さな町の郊外で暮らしている。父は鎖の先におもりがついた振り子、Y字型の棒、コインなどを使って地下水脈の位置などを探り当てる霊力を持っている。エストレーリャは父を深く愛しているが、父の過去については知らないことが多い。
ある日、父が若い頃にその父親と諍いを起こし、故郷である南(エル・スール)の土地を離れたのだと母から聞かされたエストレーリャは南の地へのあこがれを持つようになる。
エストレーリャの初聖体拝受の儀式を控えた日、父の故郷から祖母のロサリオと父の乳母だったミラグロスの二人が訪ねてくる。気のいい老婦人であるミラグロスはエストレーリャに対し、父が家を出た事情を語って聞かせる。共和制支持の父は王党派の祖父と激しく対立し、やがてスペイン内乱で共和派が敗れると投獄され、その後故郷を離れたのだった。
初聖体拝受の日、エストレーリャが花嫁のような純白のドレスを身につけて儀式に向かう準備をしていると、山中で父が猟銃を撃つ音が繰り返し聞こえてくる。教会での儀式に父親は参加しなかったが、入り口近くに立って娘を見守ってくれていた。儀式の後の宴会で、エストレーリャと父はアコーディオンの演奏による「エン・エル・ムンド」に合わせてダンスを踊る。
ある日、父の留守に父の机の引き出しを開けてみたエストレーリャは「イレーネ・リオス」という女性の名が何度も書かれた紙を見つける。それからしばらくたった夜、エストレーリャは映画館の前に父のオートバイが止まっているのを見つける。上映中の映画の主役はイレーネ・リオスという女優だった。やがて父が映画館から出てくるとカフェに入り、手紙を書き始める。実はこの手紙はイレーネ・リオス、本名ラウラにあてたものだった。二人は過去につきあっていたらしい。そうとは知らないエストレーリャがカフェの窓をたたき、父は驚いて娘と目をあわす。その表情はエストレーリャの心に深く残った。
そののち、父は母と諍いを起こしたり、何も言わずに家を空けたりすることが増え、娘との関係もぎこちないものになっていく。ラウラからはもう手紙をよこさないようにという返事が父のもとに届く。
数年後、思春期を迎えたエストレーリャだったが、相変わらず父親に対してはどこかよそよそしい態度を取っている。ある夜、街を歩いていたエストレーリャは酒に酔った父の姿を見かける。父は写真屋の前で立ち止まり、ショーウィンドウに飾られた娘の写真をじっと見つめていた。
ある日、父がエストレーリャの学校に来て娘をホテルのレストランでの昼食に誘う。食事が終わった頃、エストレーリャは思い切ってイレーネ・リオスについて父に問いかけるが、父ははっきりしたことを答えてくれない。ホテルの宴会場からは、あの初聖体拝受の日に父子が踊った「エン・エル・ムンド」が流れてくる。午後も娘とともに過ごしたいようなそぶりの父を残し、エストレーリャは学校に戻ろうと席を立つ。帰り際に宴会場を覗くと純白のドレスを身につけた花嫁が花婿らしい男性とダンスを踊っている。この日の会話が父と交わした最後の会話になった。数日後、川のほとりで父は猟銃を用いて自殺する。遺品の中には、死ぬ前日に父が南の地の誰かにかけた長距離電話の領収書があった。
エストレーリャは体調を崩して寝込んでしまうが、手紙のやりとりを続けていたミラグロスから、こちらに来て転地療養するよう誘う電話をもらう。生まれて初めて南の地をその目で見ることに興奮しながら旅の支度をするエストレーリャが最後にトランクに納めたのは、父が死の直前に娘の枕の下に残してくれた振り子だった。
キャスト
- オメロ・アントヌッティ(アグスティン・アレーナス) - エストレーリャの父親
- ソンソーレス・アラングレン(8歳のエストレーリャ)
- イシアル・ボリャイン(15歳のエストレーリャ)
- ローラ・カルドナ(フリア) - アグスティンの妻
- ラファエラ・アパリシオ(ミラグロス)- アウグスティンの乳母
- オーロール・クレマン(イレーネ・リオス/ラウラ)- 女優
- フランシスコ・メリーノ(イレーネ・リオスの共演者)
- マリア・カーロ(カシルダ)- アレーナス家の家政婦
- ホセ・ビボ(グランドホテルのバーテンダー)
- ヘルマイネ・モンテーロ(ロサリオ夫人)-アウグスティンの母