オオバイケイソウ

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オオバイケイソウ(大梅蕙草、学名: Veratrum maximum (Nakai) M.N.Tamura & N.S.Lee)は、シュロソウ科シュロソウ属多年草である[1]分類学上は、バイケイソウVeratrum oxysepalum)の変種[4]として扱われてきた経緯があるが、Kimら (2014) の提案により独立種Veratrum maximum)へ昇格した[5]

概要 オオバイケイソウ, 分類(APG IV) ...
オオバイケイソウ
オオバイケイソウ(檜洞丸2025年7月)
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: ユリ目 Liliales
: シュロソウ科 Melanthiaceae
: シュロソウ属 Veratrum
: Veratrum maximum
学名
Veratrum maximum (Nakai) M.N.Tamura & N.S.Lee (2013)[1]
シノニム
和名
オオバイケイソウ
(大梅蕙草)
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特徴

高さはおおむね60–150 cm。上部に大型の円錐花序をつける[6]。葉は円形か広楕円形で大きく、3方向に螺旋状に互生し、縦の皺があり、下面に毛状突起がある[7]。花期は7–8月で、数年おきに一斉に開花が見られることがある[8]花被片は6枚、白色で基部付近に緑色部があり、条線が明瞭にある[7]。花被片の上部の縁は微細な鋸歯状である[7]。花被片の長さは概ね15–20 mmとされ、基準変種のバイケイソウ(花被片長10–15 mm)より大きい点が識別形質として挙げられてきた[8]

丹沢山地では、花序が直立する型のほか、花穂が垂れる型など、形態変異が報告されている[9]

分布

関東中部地方に分布し、高地のやや湿った林内などに生育する[8]神奈川県内では、丹沢箱根ブナ帯のやや湿った林内に群生する[8]

分類

中井(1937)は、オオバイケイソウを Veratrum grandiflorum var. maximum として新変種として記載した[4]。その後の地域植物誌等では、バイケイソウ(V. oxysepalum)の変種として Veratrum oxysepalum var. maximum を用いる扱いも見られる[1]

丹沢山地の個体群については、城川・大場(1982)が、普通型(花序が立ち、花被片が大きい型)が中井(1937)のオオバイケイソウに当たると述べ、垂れ型などについては今後の検討が必要としている[9]

一方、分子系統解析を含む検討に基づき、従来 V. grandiflorum var. maximum とされてきた分類群を独立種(V. maximum)として扱う提案がなされている[5]Kimら (2014) は、白馬乗鞍岳和佐又山で採取したサンプルに対して、核DNA ITS領域および葉緑体DNA(matK、psbA–trnH、rpl16、trnS–G)の配列(計4,856塩基対)を用い、最大節約法ベイズ推定により Veratrum の系統関係を解析した[5]。その結果、V. grandiflorum var. maximum(オオバイケイソウ)は、ITS系統樹と葉緑体DNA系統樹で系統的位置が一致せず、V. stamineumコバイケイソウ)と V. oxysepalum(バイケイソウ)の過去の交雑に由来する可能性が示唆された[5]。以上を踏まえ、著者らは V. grandiflorum var. maximumに昇格し、V. maximum として扱うことを提案した[5]

その後、講談社『Flora of Japan』に基づき独立種として扱われたとされる[7]Plants of the World Online(POWO)では、V. maximum を学名として採用(accepted)し、V. grandiflorum var. maximum および V. oxysepalum var. maximum異名(synonym)としている[1]

毒性

同属のバイケイソウ類は、アルカロイド(プロトベラトリン、ジェルビン等)を含み、加熱しても毒性が失われない。誤食により、吐き気、嘔吐、しびれ、血圧低下などを起こし、重症例では死亡例もある[10]。 特に芽出し期は、山菜のオオバギボウシギョウジャニンニク等と外見が似ており中毒事故が多いとされる。葉柄の有無や葉脈(平行脈かどうか)などで識別するよう注意が呼びかけられている[10]

丹沢山地における植生

丹沢山地では、ニホンジカの高密度化に伴う累積的な採食圧により、スズタケ等の林床植生の消失や不嗜好性植物の分布拡大が進んでいる[11][12]。オオバイケイソウは、シカが食べ残す(不嗜好性)植物として増加傾向にあるとされる[8]檜洞丸のブナ林の林床において、閉鎖林冠下の柵外では植生が減少し、日当たりのよい林冠ギャップではマルバダケブキ等とともにオオバイケイソウが繁茂している様子が報告されている[13]

一方で、丹沢山地における生育地は限られており、湿潤な立地条件に依存することが報告されている[14]。安藤・持田(2008)は、丹沢では頂部平坦面・頂部斜面・上部谷壁凹斜面など、一定条件以上に湿潤な環境に生育が限られることを示した[14]

不嗜好性植物として増える側面が指摘される一方で、オオバイケイソウのように湿潤環境に依存する種は、微小な気候変動の影響を受けやすく、乾燥化が進めば分布域が減少する可能性があると論じられている[14]。県内の概説でも、丹沢では土壌が厚く湿潤な場所に生育立地が限られるため、乾燥化が進むと減少する危険性が指摘されている[8]

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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