オーバーテイク

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F12007年ブラジルGPにて
ニコ・ロズベルグニック・ハイドフェルドをオーバーテイク

オーバーテイク(和英:overtake)とは、レースにおいて、前の車を後の車が追い越すことを言う。

英語では「オーバーテイキング(overtaking)」、あるいは「パッシング(passing)」と言う。

レースでは必ずしも「追い越し」=「オーバーテイク」ではない。レースでの「追い越し」を大別すると、以下の3つのケースに分けられる。

  1. 同一周回で順位を競い合う車同士で、前の車を後の車が追い越し、順位が入れ替わる。
  2. 異なる周回数の車同士で、前の車を後の車が追い越し、周回遅れにする。
  3. ピットレーンを走行中、あるいはピット作業中の車を、トラックを走る車が順位の上で前に出る。

ほとんどの場合、「1」を指して「オーバーテイク」と言う。レースにおいて大きな見せ場であり、その内容・回数などがレースのエンターテイメント性そのものを左右する場合が多い。例として、オーバーテイクのない、または少ないレースは「走行会」などと揶揄されることがある。

「2」は広義においてはオーバーテイクであるが、狭義ではオーバーテイクとは言わない。レースにおいてオーバーテイクとは、「1」のように順位が入れ替わることのみを表し、「2」のようなケースは単に「ラップダウンする」「ラップダウンされる」と言われることが多い。

「3」のように、近年のF1などではピット作業により順位が変動することが多いが、このケースでは後車の追い越しをする意思、あるいは前車がそれを阻止する意思にかかわらず順位が入れ替り、またそれに伴うアクションも一切ないため、これをオーバーテイクと呼べるか否かは、意見の分かれるところである。例えば、同一周回で順位を競い合う車同士が、同じ周回、または近時周回でピット作業を行った場合に、作業の手際やラップタイムの差などから、トラック上で追い越しがなされることなく双方のピット作業後に順位が入れ替わる場合がある。または、前車が先にピット作業を行った際に、一時的に後車が順位の上では前に出ることになるが、これらをオーバーテイクと言うケースはあまりない。

これを区別するために、「1」は「コース上でのオーバーテイク」などと言われることがある。

方法

直線速度差の利用
最も多く見られるオーバーテイクの方法は、コーナーからの脱出で前車に接近し、長いストレートで前車のスリップストリームに入ることにより、空気抵抗を減らしてスピードを上げ、テール・トゥー・ノーズ状態から横に並びかけて抜く方法である。この際に、前車は追い越しを阻止するため、スリップストリームに入られないように、あるいは単にブロックするために走行ラインを変えることが多く、また後車はそれに対して、スリップストリームに入るため、あるいはブロックをかわすために走行ラインを変えるため、両者の間にバトルが発生し、これがレースの見所ともなる。
ブレーキング勝負
ストレートで追い越しきれない場合には、次のコーナーでお互いに相手より少しでもブレーキを遅らせることにより、先にコーナーへ進入しようとする様が、ドライバーの度胸や技術の見せ場にもなる。コーナーに向かってイン側にいる者の方が有利だが、アウト側の走行ラインを外れると路面が汚れているためブレーキングが難しくなる。イン側をブロックする前車をアウト側からかぶせて抜く方法を、「大外刈り」と呼ぶ場合もある。
クロスライン
コーナーへの進入で抜き切れない場合でも、前車が減速しきれず走行ラインが膨らんだ隙を突いてイン側に切り込み、コーナー脱出時に並びかけて抜く方法もある。この切り返し技を「クロスライン」と呼ぶ。
複合技
コーナーへの進入でイン側を狙うフェイントを見せ、前車にブロックラインを取らせる。前車はコーナリングラインが苦しくなり脱出速度が落ちる。後車は加速重視でコーナーを立ち上がれば、次のストレートでスリップストリームを利用しやすくなる。
1度で成功しなくても、こうしたプレッシャーをかけ続けて相手のミスを誘ったり、ブレーキやタイヤを磨耗させるような頭脳プレーも必要となる。

禁止事項

オーバーテイクはレースの醍醐味であるが、安全面やスポーツマンシップの見地から問題のある行為は審議対象となり、競技委員からペナルティを課されることがある。

危険走行
追い抜きのバトルにおいて発生する接触事故は、通常レーシングインシデントとして処理される。しかし、「スリップストリームを嫌ってジグザグ走行を繰り返す」「並走状態で相手をコース外に押しやろうとする」「無謀なブレーキングで相手を巻き添えにする」など、周囲を危険にさらす迷惑行為はペナルティの対象となる。
故意に接触したと判定される悪質なケースには、出場停止やポイント剥奪などの厳罰が下される。
追い越し禁止区間でのオーバーテイク
多くのレースでは競技中に事故などの発生した危険な区間・区域、あるいはコース全域に渡って、「イエローフラッグ」が用いられている。これは、ドライバーに注意を促し速度を抑制させると同時に、その区間でのオーバーテイクの禁止を意味している。イエローフラッグが提示されている区間でオーバーテイクした場合、レギュレーションにより定められたペナルティを受けることになる。
不正な利益
オーバーテイクする際に、正規のコース上ではない場所を通過するなどして、後車に対して明らかにアドバンテージを得て追い越した場合には、追い越した車が追い越された車を再び先行させる措置をとらないと、ペナルティが科せられる場合がある。

また、レギュレーションで明文化されていなくとも、バトルの当事者間では「最終的にどちらが譲るか」といった相互認識も必要となる。並走状態でコーナーに侵入した場合、「相手の走行ラインを1本分残す」のがマナーとされる。高速コーナーでの接触は重大事故につながるため、車両性能やドライバーの技量をふまえての一瞬の判断が問われる。

オーバーテイク振興策

脚注

関連項目

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