カスパーゼ-3

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カスパーゼ-3: caspase-3)は、カスパーゼ-8カスパーゼ-9と相互作用するカスパーゼであり、ヒトではCASP3遺伝子にコードされる。CASP3オルソログ[4]は、全ゲノムデータが利用可能な哺乳類の多数で同定されている。オルソログは、鳥類爬虫類両生類真骨類にも存在している。

PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
記号CASP3, CPP32, CPP32B, SCA-1, caspase 3
概要 CASP3, PDBに登録されている構造 ...
CASP3
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

1CP3, 1GFW, 1I3O, 1NME, 1NMQ, 1NMS, 1PAU, 1QX3, 1RE1, 1RHJ, 1RHK, 1RHM, 1RHQ, 1RHR, 1RHU, 2C1E, 2C2K, 2C2M, 2C2O, 2CDR, 2CJX, 2CJY, 2CNK, 2CNL, 2CNN, 2CNO, 2DKO, 2H5I, 2H5J, 2H65, 2J30, 2J31, 2J32, 2J33, 2XYG, 2XYH, 2XYP, 2XZD, 2XZT, 2Y0B, 3DEH, 3DEI, 3DEJ, 3DEK, 3EDQ, 3GJQ, 3GJR, 3GJS, 3GJT, 3H0E, 3ITN, 3KJF, 3PCX, 3PD0, 3PD1, 4DCJ, 4DCO, 4DCP, 4EHA, 4EHD, 4EHF, 4EHH, 4EHK, 4EHL, 4EHN, 4JJE, 4JQY, 4JQZ, 4JR0, 4PRY, 4PS0, 4QTX, 4QTY, 4QU0, 4QU5, 4QU8, 4QU9, 4QUA, 4QUB, 4QUD, 4QUE, 4QUG, 4QUH, 4QUI, 4QUJ, 4QUL, 5IC4

識別子
記号CASP3, CPP32, CPP32B, SCA-1, caspase 3
外部IDOMIM: 600636 MGI: 107739 HomoloGene: 37912 GeneCards: CASP3
EC番号3.4.22.56
遺伝子の位置 (マウス)
8番染色体 (マウス)
染色体8番染色体 (マウス)[1]
8番染色体 (マウス)
CASP3遺伝子の位置
CASP3遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点47,070,326 bp[1]
終点47,092,724 bp[1]
RNA発現パターン
さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 cysteine-type peptidase activity
ペプチダーゼ活性
血漿タンパク結合
phospholipase A2 activator activity
cyclin-dependent protein serine/threonine kinase inhibitor activity
cysteine-type endopeptidase activity involved in apoptotic process
cysteine-type endopeptidase activity involved in execution phase of apoptosis
cysteine-type endopeptidase activity
加水分解酵素活性
cysteine-type endopeptidase activator activity involved in apoptotic process
aspartic-type endopeptidase activity
protease binding
death receptor binding
protein-containing complex binding
cysteine-type endopeptidase activity involved in apoptotic signaling pathway
細胞の構成要素 細胞質
細胞質基質
核質
細胞死誘導シグナル伝達複合体
脂質ラフト
細胞核
soma
生物学的プロセス 有機物への細胞応答
neuron apoptotic process
cell fate commitment
エストラジオールへの反応
intracellular signal transduction
低酸素症への反応
response to amino acid
アポトーシスによるDNA断片化
有機環状化合物への反応
negative regulation of cyclin-dependent protein serine/threonine kinase activity
response to antibiotic
血小板形成
protein processing
response to nicotine
response to metal ion
negative regulation of cell cycle
傷の治癒
糖質コルチコイドへの反応
cellular response to organic cyclic compound
B cell homeostasis
negative regulation of apoptotic process
聴覚
response to glucose
有機物への反応
Hippo経路
glial cell apoptotic process
keratinocyte differentiation
タンパク質分解
DNA損傷刺激に対する細胞応答
T cell homeostasis
response to tumor necrosis factor
negative regulation of activated T cell proliferation
心臓発生
リポ多糖への反応
positive regulation of neuron apoptotic process
response to wounding
neuron differentiation
extrinsic apoptotic signaling pathway in absence of ligand
学習と記憶
positive regulation of apoptotic process
erythrocyte differentiation
apoptotic signaling pathway
negative regulation of B cell proliferation
response to cobalt ion
海馬発生
response to UV
response to X-ray
過酸化水素への反応
regulation of macroautophagy
neurotrophin TRK receptor signaling pathway
execution phase of apoptosis
intrinsic apoptotic signaling pathway in response to osmotic stress
cellular response to staurosporine
アポトーシス
サイトカイン媒介シグナル伝達経路
activation of cysteine-type endopeptidase activity involved in apoptotic process
positive regulation of catalytic activity
黄体融解
axonal fasciculation
striated muscle cell differentiation
leukocyte apoptotic process
タンパク質安定性の制御
positive regulation of amyloid-beta formation
anterior neural tube closure
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_004346
NM_032991

NM_009810
NM_001284409

RefSeq
(タンパク質)
NP_004337
NP_116786
NP_001341706
NP_001341708
NP_001341709

NP_001341710
NP_001341711
NP_001341712
NP_001341713

NP_001271338
NP_033940

場所
(UCSC)
n/aChr 4: 47.07 – 47.09 Mb
PubMed検索[2][3]
ウィキデータ
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CASP3タンパク質は、カスパーゼ(cysteine-aspartic acid protease)ファミリーのメンバーである[5]。カスパーゼの連続的な活性化は、アポトーシスの実行期(execution phase)に中心的な役割を果たす。カスパーゼ-3は不活性な酵素前駆体として存在し、保存されたアスパラギン酸残基でタンパク質分解によるプロセシングが行われることで大小2つのサブユニットが生じ、それらが二量体化して活性型酵素が形成される。カスパーゼ-3はアミロイドβ(A4)前駆体タンパク質の切断に関与する主要なカスパーゼで、アルツハイマー病における神経細胞死と関係している[6]。この遺伝子の選択的スプライシングによって2種類の転写産物が生成されるが、コードされるタンパク質は同じである[7]

TNFによるシグナル伝達経路。灰色の破線は多段階であることを示している。
カスパーゼ-3の活性化を引き起こす経路[8]

カスパーゼ-3は、既知のすべてのカスパーゼに共通した典型的な特徴の多くを備えている。例えば、その活性部位にはシステイン残基(Cys163)とヒスチジン残基(His121)が存在し、特定の4アミノ酸配列中のアスパラギン酸のC末端側でのペプチド結合の切断が安定化される[9][10]。この特異性によってカスパーゼの選択性はかなり高くなり、グルタミン酸と比較してアスパラギン酸に対する選択性は20,000倍となる[11]。細胞内のカスパーゼ-3の重要な特徴は、プロカスパーゼと呼ばれる酵素前駆体として存在していることであり、生化学的な変化によって活性化が引き起こされるまでは不活性な状態である[12]

基質特異性

通常条件下では、カスパーゼは基質中の4ペプチド配列を認識し、アスパラギン酸残基の後のペプチド結合を加水分解する。カスパーゼ-3とは類似した基質特異性を持ち、Asp-x-x-Aspという4ペプチドを認識する[13]。C末端側のアスパラギン酸は絶対に必要であるが、他の3つの位置の多様性はある程度許容される[14]。カスパーゼの基質特異性は、阻害剤や薬剤のデザインに広く利用されている[15]

構造

カスパーゼ-3(CPP32、Yama、apopainとしても知られる[16][17][18])は、32 kDaの酵素前駆体として産生され、17 kDaと 12 kDaのサブユニット(p17とp12)へと切断される。プロカスパーゼが特定の残基で切断されると、活性型のヘテロ四量体が形成される。まずp17とp12のβシートが連結されてヘテロ二量体を形成し、その後他のヘテロ二量体と相互作用することで、12本のストランドからなるβシートがαヘリックスで囲まれた、カスパーゼに特徴的な構造が形成される[12][19]。ヘテロ二量体同士がhead-to-tail型に並んだ際、活性部位は分子の両端に形成される。Cys163とHis121はp17サブユニットに存在している[19]

subunits alt text
カスパーゼ-3のp12(ピンク)とp17(淡青)サブユニット。βシート構造がそれぞれ赤と青で示されている。1hrm

機構

カスパーゼ-3の触媒部位には、Cys163のスルフヒドリル基とHis121のイミダゾール環が存在する。His121は重要なアスパラギン残基のカルボニル基を安定化し、Cys163は最終的なペプチド結合の切断の際に攻撃を行う。Cys163とGly122は、水素結合によって基質-酵素複合体の四面体型遷移状態を安定化する機能も持つ[19]In vitroでは、カスパーゼ-3は DEVDG(Asp-Glu-Val-Asp-Gly)配列の2つ目のアスパラギン酸残基のC末端側(DとGの間)での切断に対する選択性があることが判明している[11][19][20]。カスパーゼ-3は幅広いpHで活性があり、他の実行型カスパーゼの多くよりもわずかに高い(塩基性側の)範囲である。この幅広さは、カスパーゼ-3が正常な条件下でもアポトーシス条件下でも十分に活性があることを示している[21]

活性化

カスパーゼ-3は、外因性(デスリガンド)経路か内因性(ミトコンドリア)経路かに関わらずアポトーシスを引き起こした細胞で活性化される[12][22]。カスパーゼ-3が酵素前駆体として存在しているとは必要不可欠であり、そうした調節がなければカスパーゼ活性によって無差別に細胞死が引き起こされる[23]。実行型(エフェクター)カスパーゼであるため、アポトーシスシグナル伝達イベントが発生して誘導型(イニシエーター)カスパーゼによって切断されるまで、カスパーゼ-3の酵素前駆体は事実上活性を持たない[24]。そうしたイベントの1つがグランザイムBの誘導であり、細胞傷害性T細胞の標的となった細胞でイニシエーターカスパーゼを活性化させる[25][26]。この外因性因子による活性化によってアポトーシス経路に特徴的なカスパーゼカスケードが誘導され、そこではカスパーゼ-3が主要な役割を果たす[10]。内因性因子による活性化では、ミトコンドリアのシトクロムcが、カスパーゼ-9、Apaf-1ATPと協働してプロカスパーゼ-3のプロセシングを行う[20][26][27]。これらの分子はin vitroでカスパーゼ-3を活性化するのには十分であるが、in vivoでは他の調節タンパク質が必要である[27]

阻害

カスパーゼを阻害する方法の1つは、cIAP1英語版cIAP2英語版XIAPML-IAP英語版を含むアポトーシス阻害因子英語版を介して行われる[19]。XIAPは、カスパーゼ-3の活性化に直接関係しているカスパーゼ-9に結合して阻害を行う[27]。しかしカスパーゼカスケード中では、カスパーゼ3はカスパーゼ-9を特定の部位で切断することで、XIAPによるカスパーゼ-9への活性阻害のための結合を防ぎ、XIAPの活性を阻害する[28]

マンゴスチンGarcinia mangostana)のエキスは、アミロイドβ処理されたヒトの神経細胞でカスパーゼ-3の活性化を阻害することが示されている[29]

生物学的機能

カスパーゼ-3は、アポトーシスにおける典型的な役割と同様、の正常な発生に必須であり、クロマチンの凝縮とDNAの断片化を担う[20]。カスパーゼの断片であるp17の血中濃度の上昇は、直近の心筋梗塞のサインとなる[30]。また、カスパーゼ-3が胚性幹細胞造血幹細胞分化に関与している可能性が示されている[31]

相互作用

カスパーゼ-3は次に挙げる因子と相互作用することが示されている。

出典

関連文献

関連項目

外部リンク

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