ガダラの豚

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発行日 1993年3月15日
ジャンル 呪術、新宗教、超常現象
ガダラの豚
著者 中島らも
発行日 1993年3月15日
発行元 実業之日本社
ジャンル 呪術、新宗教、超常現象
日本
言語 日本語
形態 単行本文庫本
受賞 日本推理作家協会賞長編部門(1994年)
公式サイト www.j-n.co.jp
コード ISBN 978-4-408-53191-5
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『ガダラの豚』(ガダラのぶた)は中島らもによる長編小説。1991年4月から1992年9月にかけて『週刊小説』で連載され[1]1993年3月に実業之日本社から単行本が刊行された[2][3]アフリカ呪術を題材に、宗教科学超常現象をめぐる人間の信と欺瞞を描く。1994年に第47回日本推理作家協会賞長編部門を受賞した[4]。第109回直木賞候補作[5]

  • 大生部(おおうべ)多一郎 - 大学教授アルコール依存症。アフリカにおける呪術医の研究で注目を浴び、「タレント教授」扱いになっている。
  • 道満(どうまん)光彦 - 大生部の助手。少林寺拳法をたしなむ。
  • 清川慎二 - スプーン曲げを行う「超能力者」。
  • ミスター・ミラクル - 手品師。「超能力狩り」と呼ばれる、超能力者のトリックを暴くことを得意としている。
  • 馬飼(まがい) - テレビ局プロデューサー
  • 沢井心玉 - 新興宗教「聖気の会」尊師。様々な「奇跡」を起こす。
  • 大生部逸美 - 大生部多一郎の妻。
  • 大生部志織 - 大生部多一郎の娘。
  • 大生部納 - 大生部多一郎の息子。志織の弟。
  • 秋山ルイ - サイコセラピスト
  • ムアンギ - アフリカでの現地スタッフ。
  • オプル - キスムの呪術師。
  • バキリ - クミナタトゥの呪術師。

あらすじ

第一部

アフリカ呪術研究の第一人者でありながらアル中の民族学者・大生部多一郎はテレビの人気タレント教授となり、番組を通じて「超能力者狩り」の手品師や超能力青年らと出会う。一方、8年前に東アフリカで調査中の気球事故により長女・志織を失い、妻・逸美は心を病んで新興宗教「聖気の会」にのめり込みはじめた。大生部はミスター・ミラクルと共に教団が見せる「奇跡」のトリックを暴いて妻を取り戻そうとする。

第二部

テレビプロデューサーの馬飼は、大生部一家(多一郎、逸美、納)と道満、清川を、水野をはじめとしたテレビクルーたちと共にケニアへ向かわせる多額の予算の番組を作る企画を通した。ケニアの奥地、ウガンダに近いクミナタトゥという村で呪術師の取材を行う目的であった。途中、呪術師オプルは大生部の家系は呪術師の家系だと告げる。一行はさらに進みクミナタトゥでバキリという呪術師に出会う。バキリのキジーツ(呪具)はバナナのキジーツで、その実態は大生部志織だった。

第三部

志織を奪還した大生部たちは日本に帰国した。7ヶ月後、大生部の関係者たちは次々に不幸に見舞われる。バキリが日本まで志織を取り戻しに来ていた。大生部一家と呪術師バキリとの最終決戦がテレビ番組を舞台に繰り広げられる。

執筆背景

「ガダラの豚」は新約聖書の「マタイによる福音書8:28-34に書かれている物語で、イエスが悪霊に取りつかれた人を癒したとき、悪霊がの群れに移され、その豚たちが崖を駆け下りて湖に落ちて死んでしまった、という物語である(英語版en:Exorcism of the Gerasene demoniac参照)。本書ではプロローグに「マタイによる福音書」8:28-34が引用されている[6]

中島は当初700枚を予定していたが、登場人物が勝手に動き始めたため倍の1400枚(1470枚[5])になったこと、アクションシーンを描くのが苦手なためラスト200枚は苦労したことを日本推理作家協会賞長編部門の受賞コメントで述べており、取材に行ったアフリカの空気と匂いが出ていれば幸甚だとしている[4]

他方で日本推理作家協会賞長編部門の受賞について「へえ~ あれが推理小説なのか」と言っていたという[7]

受賞・選評

第109回(1993年上半期)の直木賞の候補になったが落選している[5]

選考委員の中で強く推したのは井上ひさしであったがそれでもコメントの中には「物語に破綻があった」とも述べている[5]。推さなかった選考委員は長さを指摘するものもあった[5]

日本推理作家協会賞長編部門の受賞時の選考委員のコメントでは、逢坂剛は文句なく面白い小説としての観点からこの作品しかないと述べ、日下圭介は候補作の中では面白さは抜群と述べた。ただし清水一行は「構成を工夫し整理すべき」と苦言を呈している[4]

評価・需要

高橋留美子が2019年から連載している『MAO』の着想時、呪いをテーマにしようと思ったきっかけのひとつが『ガダラの豚』を読んだ時の面白さにあったとされている[8]

きたろうは「娯楽作品の超一級品」「人間心理の奥底をのぞき込むような世にも恐ろしい物語」と評している[7]

小谷真理は「ひょっとしたらホントかもしれない不思議な世界を逆説的に怪しく描き出した筆力」を評価している[9]

刊行情報

関連項目

出典

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