ガネーシャ

ヒンドゥー教の神 From Wikipedia, the free encyclopedia

ガネーシャ (गणेश, gaṇeśa) は、ヒンドゥー教の一柱[5]。その名はサンスクリットで「群衆(ガナ)の主(イーシャ)」を意味する[5]。同じ意味でガナパティ (गणपति, gaṇapati) とも呼ばれる[6]。また現代ヒンディー語では短母音の/a/が落ち、同じデーヴァナーガリー綴りでもガネーシュ、ガンパティ(ガンパチ)などと発音される。インドでは現世利益をもたらす神とされ、非常に人気がある。全ての富をもたらす者とされ[5]、特に商人から信仰を集めている[7]

位置づけ シヴァ派デーヴァブラフマンガナパティヤ派英語版)、有相ブラフマン英語版パンチャーヤタナ・プージャ英語版
住処
マントラ Oṃ Śrī Gaṇeśāya Namaḥ
Oṃ Gaṃ Gaṇapataye Namaḥ
武器 パラシュ(斧)パーシャ(縄)英語版象刺し棒英語版
概要 ガネーシャ, 位置づけ ...
ガネーシャ
新たな始まり・智慧・幸運の神、障害を除く者[1][2]
オレンジ色のドーティーをまとい、四本腕を持つ象頭の男性が大きな蓮華の上に座っている。身体は赤色で、金の首飾りや腕輪を身につけ、首には蛇を巻いている。冠の三点には蕾の蓮華が飾られている。右手二本には数珠(下の手)と三つのモーダカ(黄色い丸い菓子)の入った椀を持ち、曲がった鼻も四つ目のモーダカを味わおうとしている。左手二本には上の手に蓮華、下の手に斧を持ち、その柄は肩に寄りかかっている。
バソーリ英語版派ミニアチュール(1730年頃)。国立博物館(ニューデリー)[3]
位置づけ シヴァ派デーヴァブラフマンガナパティヤ派英語版)、有相ブラフマン英語版パンチャーヤタナ・プージャ英語版
住処
マントラ Oṃ Śrī Gaṇeśāya Namaḥ
Oṃ Gaṃ Gaṇapataye Namaḥ
武器 パラシュ(斧)パーシャ(縄)英語版象刺し棒英語版
シンボル モーダカ
Day 火曜日または水曜日サンカシュティ・チャトゥルティ英語版
配偶神 ブッディー英語版リッディー英語版シッディー英語版、または一部伝統では独身
兄弟 カールッティケーヤ(兄)
アショーカスンダリー英語版(姉)
子供 シュバ / クシェーマ、ラバ(息子)
ヴァーハナ ネズミ[4]
聖典ガネーシャ・プラーナ英語版』、『ムドガラ・プラーナ英語版』、『ガナパティ・アタルヴァシールシャ英語版
祝祭 ガネーシャ・チャトゥルティ英語版ガネーシャ・ジャヤンティ英語版
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真鍮製のガネーシャ像(ネパール
ガネーシャ・チャトゥルティ(生誕祭)の様子
インドハイデラバード
儀式で祀られるガネーシャ像
ドイツ連邦共和国ケルン
日本でのガネーシャの表現『歓喜天
18世紀後半〜19世紀前半の絵画

の帯をしめた太鼓腹の人間の身体に 片方のの折れたをもった[5]、4本のをもつ[4]。障害を取り去り[7]、また財産をもたらすと言われ、事業開始と商業の神・学問の神とされる[5]インドマハラシュトラ州を中心にデカン高原一帯で盛んに信仰されている。ガネーシャの像の中にはを持っているものもおり、この杖は「アンクーシャ」と呼ばれている。また、シヴァと同じく三日月を持物とする場合もある[7]

概要

神名

ヴィナーヤカ(Vināyaka,「障害」「困難」[6]「道を外れて導く者」または「躾に導き入れる者」[8])、ヴィグネーシュヴァラ(Vighneśvara,「障害を取り除く主」)[4]ガネーシャ(Gaṇeśa,「群衆の長」)、ガナパティ(Gaṇapati,「群衆の主」)といった神名を持つ。元来は障害神であったのが、あらゆる障害を司る故に障害を除去する善神へと変化した。複数の神格が統合されて現在の姿になったと考えられる[9]

功徳

あらゆる障害を除くことから、新しい事業などを始めるにあたって信仰され[7]除災厄除財運向上でも信仰を集めている。また智慧・学問の神でもあり[5]、学生にも霊験あらたかとされる。祈祷を始めとして、あらゆる開始にあたってまずガネーシャに祈りを捧げると良いとされる。特に「富の神様」としてインドを中心に人気が高く、インドの店先には必ずといってよいほどガネーシャ像が置かれ、偶像崇拝を禁止しているイスラム教徒の店にも見られる程である。商店の他に、一般家庭のみならず学校の玄関でもよく見られる[7]

シヴァとの関係

ヒンドゥー教の体系の中では、シヴァとパールヴァティーの間に生まれた息子とされる[5]。しかし、これはシヴァ派が独立したガネーシャの宗教を取り込んだ際の解釈だと思われる。現在でもガネーシャはシヴァ派のヒンドゥー教の一部である。

神話

象頭の由来

象の頭を持つ理由には複数の神話があるが、最も有名なものは以下のものである。

パールヴァティーが身体を洗って、その身体の汚れを集めて人形を作り命を吹き込んで自分の子供を生んだ。パールヴァティーの命令で、ガネーシャが浴室の見張りをしている際に、シヴァが入ろうとした[5]。ガネーシャは入室を拒んだ[5]。シヴァは激怒し、ガネーシャの首を切り落とした[5]

パールヴァティーが嘆き悲しむのでシヴァは、最初に出会った象の首を切り落として持ち帰り、ガネーシャの頭として取り付け復活させた[5]

他の説ではパールヴァティーとシヴァが夫婦でヴィシュヌに祈りを捧げてガネーシャを得、他の神々がそれを祝いに来たが、その内の一人・シャニは見た物を破壊する呪いをかけられていた為、常に下を向いていた。しかしパールヴァティーは彼に遠慮せずに息子を見るよう勧め、その結果ガネーシャの頭は破壊された。ヴィシュヌは悲しむパールヴァティーの為にガルダに乗って飛び立ち、川で寝ている象を見つけてその首をガネーシャの頭として取り付けた。

片方の折れた牙の由来

片方の牙が折れている理由にも複数の神話がある。

  • マハーバーラタ」の著者とされるヴィヤーサは文字を書くことが出来なかった。このため、ブラフマーがガネーシャをヴィヤーサのもとに遣わしマハーバーラタを口述筆記をさせた。このとき、ガネーシャは自ら右の牙を折り、その牙で執筆したとされる。
  • ヴィシュヌの化身の1人であるパラシュラーマが、シヴァから与えられた斧で攻撃し、それを回避しては不敬であたるので、敢えて一本の牙で受け止めたために折れた[5]
  • 籠で運ばれているときに振り落とされて頭から落ちて折れてしまった。
  • 夜道でネズミに放り出され転倒した姿を月に嘲笑されたために、自らの牙を一本折ってそれを月に投げつけた[5]

ガネーシャ・チャトゥルティ

ヴェーダ暦のバードラパダ月の黒分第4日(満月の翌日から数えて4日目)に生誕したとされるので、これに合わせてガネーシャの生誕祭ガネーシャ・チャトゥルティが祝われる[10]。人々は土でガネーシャの像を作り、10日間子供をあやすようにして世話をし祈りを捧げた後、ガンジス川に流す[10]

マントラ

最も有名なマントラは、以下のものである。

  • Oṃ Śrī Gaṇeśāya Namaḥ
  • Oṃ Gaṃ Gaṇapataye Namaḥ

マントラを唱える前には、手足を清潔にしてから着座し、数回の調息を行ってから実施する。108回、もしくは念珠の1周分もしくはそれ以上の周回分を唱える。ガネーシャのマントラは、あらゆる悪・障碍・悪霊を退け、財産・智慧・成功をもたらすとされる。

仏教圏での信仰

チベット仏教

チベット仏教では、ガネーシャ(象頭財神)は大黒天 (Mahākāla) によって調伏された姿でも描かれるが、観世音菩薩を本地とする護法神としても信仰される。

上座部仏教

上座部仏教国タイでも、ガネーシャは仏教徒に信仰されている。

日本

日本ではガネーシャを起源に持つ歓喜天(聖天)が天部の護法神として信仰される[6]

ギャラリー

脚注

関連項目

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