キャスリーン・ジェイミー
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キャスリーン・ジェイミー | |
|---|---|
| Kathleen Jamie | |
| 生誕 |
Kathleen Jamie 1962年5月13日(63歳) |
| 住居 | スコットランド、ファイフ州ニューバラ |
| 国籍 |
|
| 教育 | 哲学 |
| 出身校 | エディンバラ大学 |
| 職業 | 詩人、エッセイスト、編集者 |
| 活動期間 | 1982年 - 現在 |
| 時代 | 現代 |
| 著名な実績 | スコットランド・マーカー(国民詩人)就任(2021年) |
| 代表作 | The Tree House(2004年)、Findings(2005年)、Sightlines(2012年) |
| 流派 | ネイチャーライティング、スコットランド文学 |
| 影響を受けたもの | シェイマス・ヒーニー、エリザベス・ビショップ、ジョン・クレア、アニー・ディラード |
| 活動拠点 | スコットランド |
| 肩書き | スコットランド・マーカー(2021–2024年)、ロイヤル・ソサエティ・オブ・リテラチャー・フェロー、ロイヤル・ソサエティ・オブ・エディンバラ・フェロー |
| 受賞 | エリック・グレゴリー賞(1981年)、ソマセット・モーム賞(1995年)、フォワード詩賞(2004年)、コスタ詩賞(2012年)、ソルタイア協会スコットランド図書賞(2016年)、ジョン・バロウズ・メダル、オリオン図書賞 |
| 栄誉 | FRSL、FRSE |
キャスリーン・ジェイミー(Kathleen Jamie FRSL FRSE、1962年5月13日 - )は、スコットランドのネイチャーライティング作家・詩人・エッセイスト・編集者である。英語と、ときにスコット語で詩を書く。2021年8月、スコットランドの国民詩人(マーカー)に任命され、第4代マーカーとなった[1]。
スコットランドの景観・文化を基盤に置いた作風で知られ、旅行、女性の問題、考古学、視覚芸術と幅広いテーマを扱う[2]。詩集のほか、自然と景観をめぐるエッセイ集『Findings』(2005年)・『Sightlines』(2012年)・『Surfacing』(2019年)は自然文学の重要作として高く評価されている[3]。
生い立ち
キャスリーン・ジェイミーは1962年5月13日、スコットランド西部のレンフルーシャーに生まれた。父は会計士、母は法律事務所に勤めていた。エディンバラ近郊のカリー(Currie)で育ち、カリー高校に通った。10代のころから詩を書き始め、「詩を書くことは奇妙なことだったけれど、それは秘密で、解放的で、本物だった」と自身のウェブサイトで振り返っている[4]。
学業とキャリアの始まり
エディンバラ大学で哲学を学び、在学中から詩作を続けた[5]。19歳のときにエリック・グレゴリー賞を受賞し、その賞金でヒマラヤ山脈への旅を実現した[6]。20歳のとき、最初の詩集『Black Spiders』(1982年)をサラマンダー・プレスから出版した。
旅と国際体験
ヒマラヤ・パキスタン北部への旅の経験から、旅行記『The Golden Peak: Travels in Northern Pakistan』(1992年)を執筆し、スコットランド芸術評議会図書賞を受賞した。この作品は後に『Among Muslims: Meetings at the Frontiers of Pakistan』(2002年)として改訂・再刊された[7]。1993年の詩集『The Autonomous Region』はチベット・ヒマラヤとスコットランドを往還するような作品で、写真家シーン・メイン・スミスとの共同制作によるものである。
学術活動
ダンディー大学(1991–1993年)など複数の大学でライター・イン・レジデンスを務めたのち、スターリング大学で長年にわたって創作文芸を教え、創作文芸の教授職を務めた[8]。
スコットランド・マーカー就任
2021年8月、ジャッキー・ケイの後任として、スコットランド国民詩人(マーカー、Makar)の第4代就任者に指名された。ニコラ・スタージョン首相がスコットランド詩歌図書館(Scottish Poetry Library)にて発表した[9]。マーカーの役職はスコットランド議会が2004年に制定したもので、エドウィン・モーガン、リズ・ロックヘッド、ジャッキー・ケイに続くものであった。就任期間は従来の5年から3年に短縮され、より多様な詩人が職を担えるように配慮された[10]。マーカーとして、スコットランド各地の人々から自然をテーマにした詩の一行を募り、集合詩を編むプロジェクトを実施した。また、2021年のスコットランド議会新会期開会式において、詩「The Morrow-bird」を朗読した[11]。
学術的業績
ジェイミーの詩は、スコットランドの景観・歴史・ジェンダー・言語が交差する地点を丁寧に描き出すことで知られる。シェイマス・ヒーニー、エリザベス・ビショップ、ジョン・クレア、アニー・ディラードらの影響を受け、英語とスコットランド語の両言語で詩を書く[12]。
1998年からは文学アーカイブがスコットランド国立図書館(National Library of Scotland)に収蔵されている。
詩集とともに、自然エッセイの分野でも高い評価を受けており、エッセイ集『Findings』『Sightlines』『Surfacing』の3作は、自然・旅・文化が交わる地点に立つ作品群として英語圏自然文学の重要作とされている[13]。編者としても、スコットランドの自然文学アンソロジー『Antlers of Water』(2020年)、ジョージ・マッケイ・ブラウンの詩選集『Carve the Runes』(2021年)、ドン・パターソン、ピーター・マッケイとの共編による『Golden Treasury of Scottish Verse』(2021年)を手がけている[14]。
主な著作
詩集
- Black Spiders. Edinburgh: Salamander Press, 1982.
- A Flame in Your Heart (with Andrew Greig). Newcastle upon Tyne: Bloodaxe, 1986.
- The Way We Live. Newcastle upon Tyne: Bloodaxe, 1987.
- The Autonomous Region: Poems and Photographs from Tibet (with Sean Mayne Smith). Newcastle upon Tyne: Bloodaxe, 1993.
- The Queen of Sheba. Newcastle upon Tyne: Bloodaxe, 1994.(ソマセット・モーム賞、ジェフリー・フェイバー記念賞受賞)
- Jizzen. London: Picador, 1999.(ジェフリー・フェイバー記念賞受賞)
- Mr & Mrs Scotland Are Dead: Poems 1980–1994. Newcastle upon Tyne: Bloodaxe, 2002.(2003年グリフィン詩賞候補)
- The Tree House. London: Picador, 2004.(フォワード詩賞、スコットランド芸術評議会図書賞受賞)
- Waterlight: Selected Poems. Minneapolis: Graywolf Press, 2007.
- The Overhaul. London: Picador, 2012.(コスタ詩賞受賞)
- The Bonniest Companie. London: Picador, 2015.(ソルタイア協会スコットランド詩部門図書賞・年間図書賞受賞)
- Selected Poems. London: Picador, 2019.
- Skeins o Geese. 2023.(Jo Sweetingによる木版画付き12編)
- The Keelie Hawk. London: Picador, 2024.(スコット語詩集)
ノンフィクション・散文
- The Golden Peak: Travels in Northern Pakistan. London: Virago, 1992.(スコットランド芸術評議会図書賞受賞。後に Among Muslims: Meetings at the Frontiers of Pakistan, London: Sort of Books, 2002 として改訂再刊)
- Findings. London: Sort of Books, 2005.
- Sightlines. London: Sort of Books, 2012.(ジョン・バロウズ・メダル、オリオン図書賞受賞)
- Surfacing. London: Sort of Books, 2019.(ハイランド図書賞共同受賞)
- Cairn. London: Sort of Books, 2023.
編著
- Antlers of Water: Writing on the Nature and Environment of Scotland. Edinburgh: Canongate, 2020.
- Carve the Runes: Selected Poems of George Mackay Brown. Edinburgh: Canongate, 2021.
- The Golden Treasury of Scottish Verse (with Don Paterson and Peter Mackay). Edinburgh: Canongate, 2021.
受賞・栄誉
- 1981年 エリック・グレゴリー賞(英国著作者協会)
- 1994年 ジェフリー・フェイバー記念賞(The Queen of Sheba)
- 1995年 ソマセット・モーム賞(The Queen of Sheba)
- 1997年 ポール・ハムリン賞(詩部門)
- 2000年 ジェフリー・フェイバー記念賞(Jizzen)
- 2003年 グリフィン詩賞候補(Mr & Mrs Scotland Are Dead)
- 2004年 フォワード詩賞(年間最優秀詩集、The Tree House)[15]
- 2005年 スコットランド芸術評議会図書賞(The Tree House)
- 2009年 ロイヤル・ソサエティ・オブ・リテラチャー(FRSL)フェロー選出
- 2012年 コスタ詩賞(The Overhaul)[16]
- 2013年 ジョン・バロウズ・メダル(Sightlines)
- 2013年 オリオン図書賞(Sightlines)
- 2016年 ソルタイア協会スコットランド詩部門図書賞(The Bonniest Companie)
- 2016年 ソルタイア協会スコットランド年間図書賞(The Bonniest Companie)
- 2018年 ロイヤル・ソサエティ・オブ・エディンバラ(FRSE)フェロー選出
- 2020年 ハイランド図書賞共同受賞(Surfacing)
- 2021年 スコットランド・マーカー(国民詩人)就任[17]
また、彼女の詩はロンドン、ニューヨーク、上海の地下鉄構内に掲示されたほか、スコットランドの国立記念碑バノックバーン(Bannockburn)の巨大な木製梁に刻まれる詩として市民に選ばれた[18]。
思想・考え方
ジェイミーは、スコットランド人詩人、女性詩人、自然詩人といった単一のラベルで自らを規定されることを好まない。2005年のガーディアン紙のインタビューでは、こうしたカテゴリーが持つ「思い込みと荷物」から離れたいと語り、「こうしたカテゴリーが何を意味するかを刷新し続けることが詩人の仕事のうちの一つだ」と述べた[19]。彼女自身の言葉を借りれば、詩は「結合組織(connective tissue)」を提供するものであり、さまざまな問いや経験を繋ぎとめる媒体でなければならないとされる[20]。
自然と人間の関係性については、自然を牧歌的・受動的に描くのではなく、政治的・倫理的な問いとして捉える。ヘラルド紙(2019年9月17日)のインタビューでは、真の自然文学は政治的であらざるを得ないと語っている[21]。
詩の本質については、若いころは「声を見つけること」が詩人の課題と教わったが、年を重ねるにつれ、詩は声よりも「聴くこと(listening)」の技芸であると考えるようになったと述べている[22]。
スコットランド語については、その「口の中での感触と手触り」を楽しむと語り、スコットランドの詩の伝統は民衆の言語と分かちがたく結びついているという信念を持つ[23]。