キュービクル式高圧受電設備
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キュービクル式高圧受電設備(キュービクルしきこうあつじゅでんせつび)は、高圧で受電するための機器一式を金属製の外箱に収めたもの。単に「キュービクル」(Cubicle) や「閉鎖型高圧受変電設備」とも呼ばれる。

形態
キュービクル式高圧受電設備は、JIS C 4620で「高圧の受電設備として使用する機器1式を金属箱内におさめたもの」と定義されている[1]。JISでは公称電圧6.6 kV、系統短絡電流12.5 kA以下、受電容量4000 kVA以下のものを指しているが、これ以上の電圧・電流・容量であっても金属製の箱に収納されている受変電設備をキュービクルと呼ぶことはある[2]。その一例として比較的大規模で信頼性の高い設備に使用されるJEM 1425(金属閉鎖型スイッチギヤ及びコントロールギヤ)がある[3]。
受電設備のうち、中小容量の場合はキュービクル式のものが多く採用されるようになった[4]。一般には主遮断装置・取引用変成器を収納した受電箱と、変圧器・コンデンサなどを収容した配電箱から構成される[1]。
特長
キュービクル式高圧受電設備は以下の特徴を持つ。
- 金属製の箱に機器が一式で収容されているため、感電などの危険性が少ない[5]。
- 管理された工場で生産されるため、現地で組み立てるより信頼性が高くなる[4]。
- 標準化されたキュービクルが量産されているため、安価になりやすい[5]。
- 内部機器の簡素化や高信頼化により、信頼性を高くできる[5]。
- シンプルでコンパクトにまとまっており、設備の占用面積が小さい[5]。専用の部屋が不要で、地下室・屋上・敷地内の一部に容易に設置できる[5]。
- 現場作業が基礎工事、引込用高圧ケーブル工事、低圧回路工事、接地工事と少なく、キュービクルは据え付けるのみで手間が少ない[5]。工期を短縮しやすい[5]。竣工後の保守点検も容易である[5]。
- 経済産業省への手続きが推奨銘板による性能保証だけであるので、簡単に申請できる[5]。
内部機器
内部機器の周囲や下方は内部点検を行うのに十分な空間を設けなければならない[6]。それぞれの収納機器は金属箱の枠組に固定して取り付ける[6]。また、配線や端子など充電している部分は、扉を開いた時に作業者が容易に触れることがないように十分な距離を保たなければならない(透明なアクリル板など防護カバーを設けることで代替措置とすることもできる)[7]。
主遮断装置の構成によってキュービクル式高圧受電設備は以下の2種類に分かれる[8][9]。
- CB型 - 遮断器(CB)を用いたもの。受電設備容量は2000 kVA以下。
- PF・S型 - 電力ヒューズ(PF)と高圧開閉器(S)とを組み合わせたもの。一般に「簡易キュービクル」と呼ばれ、小容量の受電設備が使われる。受電設備容量は300 kVA以下。
計器類
開閉器類
保護装置
過電流、地絡発生時の機器の保護、過電圧抑制等を行う。保護継電器等。
変圧器
電圧の変圧を行う。なお、変圧器は2段積みにすることはなるべく避け、やむなく上下2段に置く場合は点検用空間を27.5 cm以上空ける[6]。変圧器1バンクの容量は500 kVA以下とする[10]。
- 変圧器 (T) 電圧の変圧
その他
設置場所
構造
扉
キュービクルは外面開放部となる扉の配置によって前後保守型(前後に扉を設けたもの)と前面保守型(前面のみ扉を設けたもの)に分かれる[3]。
扉はいずれも施錠できるものとし、80度以上空いた状態で容易に固定できる構造とする[6]。
通気
キュービクルの金属箱には収納機器の温度が最高許容温度を超えないために十分な換気能力を持ち、鳥獣や雨雪が入らない構造の通気孔などを設けなければならない[6]。特に屋上に設置されたキュービクルは適切な暴風雨対策が必要である[6]。
基礎
キュービクルの基礎はキュービクル本体の重量に耐え、地震などで容易に破壊しないものでなければならない[11]。津波が予測される地域では設置レベルを地面より高くしなければならない[12]。基礎の内側はモルタル打ちとし、排水できる構造とする[13]。
基礎の高さは検針窓の位置を考慮し、検針が容易な高さとする[14]。
屋上などで用いる場合は、基礎は建物に堅固に固定する[13]。コンクリートブロックは強度が不十分であるため使用してはならない[13]。防水を容易にするためにキュービクル下にトンネル状の空洞ができるゲタ基礎で設置することがあるが、雨水や湿気が風で吹き上げられないように遮蔽板を取り付けるのが望ましい[15]。
キュービクルと基礎躯体との間はアンカーボルトなどを用いて堅固に固定する[13]。このアンカーボルトは水平震度1には耐えられる強度でなければならない[13]。
開口部
キュービクル内部に雨水が入った時に排水できる排水口を設けなければならない[16]。小動物の侵入を防ぐため、開口部の数は最小限とし、また開口部に10 mm以下のパンチングメタルや金網を取り付ける[16]。
作業床
キュービクルを屋外に設置する場合は、キュービクル周囲で作業を行うための作業床のうち、キュービクル前面は原則としてコンクリート造などにより設置する[17]。作業床面は基礎上面から5cm以上10cm以下の間で低くし、幅は30cm以上としなければならに[18]。屋外の地上に設置する場合で、作業床のキュービクル前面以外の部分は砂利などを敷き、雑草が生えないようにする[18]。
作業通路
屋外でキュービクルに至る保守・点検のための通路は、作業者の安全が確保できる構造・状態にする[16]。通路はスレート屋根上は通路にするのは避ける[16]。
屋上の場合、垂直梯子はなるべく通路としてはならないが、やむを得ず高さ2 m以上の垂直梯子を設ける場合は墜落防止装置を設ける[16]。
柵
規格
キュービクル式高圧受電設備はJIS C 4620により規格化されている[5]。この規格は1968年(昭和43年)に制定された[3]。
認定キュービクル
一般社団法人日本電気協会による認定制度に基づく審査を受けたキュービクル。消防用設備等に供給する非常電源を確保することを目的とし、JIS規格よりも高い水準が求められる。認定キュービクルは消防法令における設備等技術基準に適合しているものとみなされるため、提出書類や検査等が簡素化されるメリットがある。認定品には認定銘板が貼付される。
1975年5月28日、消防庁告示第七号「キュービクル式非常電源専用受電設備の基準」により定められた。2001年12月21日に消防法施行規則第31条の4第2項に規定する指定認定機関として、2004年12月1日に同施行規則改正により登録認定機関として社団法人日本電気協会が認定され、同法人が認定業務をおこなっている。
推奨キュービクル
一般社団法人日本電気協会が制定した「キュービクル式高圧受電設備推奨規定」の基準を満たしたキュービクルのこと。推奨キュービクルには推奨銘板が貼付される。