クラスノヤルスク・メトロトラム
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クラスノヤルスク・メトロトラムは同地域で30年以上にわたり、建設が難航したクラスノヤルスク地下鉄建設計画を引き継ぐものであり、2022年にコストダウンの名目でロシア連邦政府とクラスノヤルスク地方政府により地下鉄からメトロトラムへの建設の最終合意がなされ、2023年に工事の着工が始まった。開業時期については当初、2026年に開業予定とされていたが、建設の進捗や技術的な調整により、2027年から2028年が開業時期との見解が強い。また、2026年2月14日に同市の市長であるセルゲイ・ヴェレシュチャギン氏は、「2026年中に地下トラムは開業する見込みは無い」とテレグラム上に投稿した[1]。
現在建設されている第一区画は主にクラスノヤルスク左岸中心部のみに建設され、一路線6駅(全長11.04km)になる予定である。また、メトロトラムであるため、3両編成の連接型トラム車両が導入される予定である。将来的には、既存の地上路面電車路線との接続や、エニセイ川を超えたクラスノヤルスク右岸中心部への第二区画の延伸も視野に入れられている。
歴史
地下鉄建設計画
1983年、ソビエト連邦政府によってクラスノヤルスクにおける地下鉄建設が正式に承認された。当時のクラスノヤルスクはシベリアにおける軍事および重工業の要衝であり、急速な都市発展により人口100万人到達が目前に迫っていた。ソ連の都市計画において「人口100万人」は地下鉄建設の重要な指標とされており、同市はその基準を満たす主要都市とみなされた。
また、地理的要因も建設を後押しした。クラスノヤルスクは、行政・文化機能が集中する左岸地区と、広大な工業地帯を擁する右岸地区が大河エニセイ川によって分断されており、両岸を結ぶ橋梁の交通渋滞が深刻な課題となっていた。そのため、過酷な冬季の気象条件下でも地上の渋滞に左右されず、川の底をくぐって両岸を迅速に結ぶ大量輸送システムとして、フル規格地下鉄の需要が高まっていた。
しかし、クラスノヤルスク地下鉄の建設は計画段階から困難を極めた。第一に、エニセイ川に近い中心部は地盤が非常に硬い一方で、地下水が豊富であった。そのため、浸水を防ぎながら掘り進めるには高度で高価な技術が必要であった。また、1991年のソビエト連邦の崩壊後のハイパーインフレと財政難により、政府からの予算供給が断絶した。これにより、建設計画には大幅に遅れが生じた[2]。
工事の着工と停滞
1995年になると、ようやく工事の着工が開始されたが、ソ連崩壊後のロシアでは、地下鉄のような巨大プロジェクトに一括で予算を出す余裕は無く、工事は慢性的かつ深刻な資金不足により停滞した。建設当初の3年間で掘削されたトンネルはわずか500メートルにとどまり、当初2005年とされていた開業予定は2014年へと延期されたが、それも果たされることはなかった。また、投じられた資金の多くは新規掘削ではなく、既存トンネルの崩落を防ぐための維持管理や、浸水防止対策に費やされ、年間数億ルーブルが消えていくという状態が10年以上も続いた。
2010年には連邦政府からの基金が打ち切られ、工事完了時期は完全に不透明となった。2015年初頭、シベリア連邦管区大統領全権代表のヴィクトル・トロコンスキーは、巨額の建設費用を問題視し、2020年まで地下工事を中止するよう指令を出した。この際、地下トンネルの掘削よりも、既存の地上交通設備(路面電車等)の整備に焦点を置く方針が示された[3][4]。
建設計画の再開と大規模な汚職
2018年、建設が泥沼化していた地下鉄建設だが、2018年にウラジーミル・プーチン大統領が地下鉄建設の再開を支持したことを受け、2019年に地下鉄建設計画は新たな動きを見せた[5]。連邦予算からは約10億ルーブルが投じられ、1990年代の古い設計図を現代の基準に合わせるための再設計と地質調査の発注などが行われ、フル規格の地下鉄として、2023年〜2024年の開業が目指された。しかし、計画が進んでいると思われた2022年6月に、設計を請け負っていた設計会社「クラスノヤルスク・チジズ」会長のオレグ・ミトヴォリ氏と、クラスノヤルスク地方のコンスタンチン・ディミトロフ運輸大臣が、公金を詐取し逮捕された。この大規模な汚職では、実際には行われていない地質調査や設計業務を「実施した」と偽り、連邦予算から約9億ルーブルが詐取されていた[6][7]。
メトロトラムへの転換と急速な工事
結果、この汚職事件により、フル規格地下鉄建設計画は完全に信頼を失い、予算の大幅な見直しを迫られた。これにより、2022年にクラスノヤルスク地方政府とロシア連邦政府との間でこれ以上の予算を投じての地下鉄建設が不可能だという結論に達し、地下鉄の代わりに建設費を抑えられ、地上の路面電車とも接続できるメトロトラムへの規格変更が正式に決定された[8]。
メトロトラム建設には信頼回復のため、汚職に関わった旧企業に代わり、モスクワの実績ある大手地下鉄建設企業の「 モスプロエクト-3 」が建設を主導した[9]。
メトロトラム建設にあたり、最初に行われたのは、1995年から2011年にかけて掘削された約5kmのトンネルが今も使えるかの確認であった。調査の過程では最新の機器が使用され劣化度の調査では、1990年代に設置されたコンクリートセグメントの大部分が再利用可能と判断された。また、フル規格地下鉄用の巨大なトンネルを、トラム用にリノベーションする設計変更が適用された[10]。
2023年から2024年には掘削作業が開始し、今まで未着手だった市街地中心部を早急に掘削するため、1日最大20mを掘り進むことができる最新鋭の大型トンネル掘削機の稼働を開始するなど、本格的な工事が始まった。
脚注
- ↑ “Красноярское метро не достроят в этом году, признал мэр” (ロシア語). НГС24.ру (2026年2月14日). 2026年2月17日閲覧。
- ↑ “История Красноярского метро 1983 - 2025 год - Красноярский завод металлических сеток (КЗМС)” (ロシア語) (2025年8月20日). 2026年2月17日閲覧。
- ↑ Коротич, София (2017年3月13日). “Толоконский: Строительство метро и аэроэкспресса в Красноярске нецелесообразно” (ロシア語). Континент Сибирь Online. 2026年2月17日閲覧。
- ↑ “Федеральный бюджет прекращает финансировать строительство метро” (ロシア語). Ведомости (2009年10月8日). 2026年2月17日閲覧。
- ↑ “Владимир Путин поручил возобновить строительство метро в Красноярске”. newslab.ru. 2026年2月17日閲覧。
- ↑ “Обвиняемому в хищении 900 млн со стройки красноярского метро грозит менее 5 лет” (ロシア語). dp.ru. 2026年2月17日閲覧。
- ↑ “Олег Митволь признал вину по делу о хищении более 900 млн рублей” (ロシア語). Коммерсантъ (2023年8月31日). 2026年2月17日閲覧。
- ↑ “В ГК «Моспроект-3» предложили идею достройки тоннелей метро в Красноярске и создания современной скоростной системы метротрамвая” (ロシア語). ГК "Моспроект-3". 2026年2月17日閲覧。
- ↑ “ГК «МОСПРОЕКТ-3» СТРОИТ ДЛЯ МЕТРОТРАМВАЯ В КРАСНОЯРСКЕ УНИКАЛЬНЫЙ ОБЪЕКТ” (ロシア語). ГК "Моспроект-3". 2026年2月17日閲覧。
- ↑ “Старые тоннели Красноярского метро проверят на деформацию”. ДЕЛА - новости Красноярска. 2026年2月17日閲覧。