サイクリン依存性キナーゼ8

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サイクリン依存性キナーゼ8: cyclin dependent kinase 8CDK8)は、ヒトではCDK8遺伝子によってコードされている酵素プロテインキナーゼ)である[1][2]

CDK8遺伝子にコードされているCDK8タンパク質は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)ファミリーの一員である。CDK8とサイクリンCメディエーター複合体英語版へ結合し、いくつかの機構で転写を調節する。CDK8はいくつかの転写因子に対して結合やリン酸化を行うことで、転写因子の機能を活性化もしくは阻害的な影響を及ぼす場合がある[3][4]。具体的には、CDK8はNotchの細胞内ドメイン[5]SREBP[6]STAT1のセリン727番[7]をリン酸化することが知られている。また、CDK8はメディエーター複合体のテールモジュールのサブユニットのターンオーバーに影響を及ぼすことで、転写活性化を阻害する[8][9]。さらに、CDK8はRNAポリメラーゼIIのメディエーターへの結合にも影響を及ぼす[10][11]

臨床的意義

CDK8大腸がんにおいてがん遺伝子としてはたらく。ヒトの大腸がんではCDK8遺伝子が増幅し、β-カテニンを介した転写が活性化されることで結腸における腫瘍形成が駆動されている場合がある[12]。一方で、CDK8は全ての細胞種で発がん性を有するわけではなく、Notch経路やEGFR経路においてはがん抑制因子として作用している可能性がある。具体的には、CDK8はNotchの細胞内ドメインのターンオーバーを促進し[5]、またC. elegansではEGFRシグナルによって駆動される細胞運命決定を阻害することが示されている[9]。さらに、CDK8はがん抑制タンパク質p53によって媒介される転写活性化を促進することから、がん抑制に重要な役割を果たしている可能性が示唆されている[13]。さまざまな組織におけるCDK8阻害の影響を明らかにするためにはさらなる研究が必要であり、現時点ではCDK8を標的としたがん治療薬のヒトでの試験は行われていない。一方で、コルチスタチンA英語版と呼ばれる天然物はCDK8とCDK19に対する強力な選択的阻害剤となることが示されている[14]急性骨髄性白血病(AML)の動物モデルでは、コルチスタチンAはCDK8とCDK19を阻害することで、CEBPA英語版IRF8英語版といった細胞のアイデンティティに関わる遺伝子を含むスーパーエンハンサー英語版関連遺伝子の選択的かつ不均衡なアップレギュレーションを引き起こし、細胞増殖を抑制して抗がん作用を発揮することが示されている[14]

CDK8のキナーゼドメインのATP結合ポケットの変異と関連した、常染色体顕性型症候群が記載されている[15]。この症候群の臨床像としては、脳梁の欠損、軽度から中等度の知的障害、筋緊張低下英語版てんかん発作、聴覚もしくは視覚の障害、行動障害、さまざまな顔面奇形、先天性心疾患、直腸肛門奇形が挙げられる[15]

相互作用

出典

関連文献

外部リンク

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